
まとめ
- 川崎病では心臓の血管である「冠動脈」に合併症がおきたり、後遺症を残したりすることがある
- 冠動脈の後遺症が残った場合、川崎病が治った後も薬を飲み続けたり、場合によっては手術が必要になったりすることも
- 冠動脈の合併症によって生活への影響がでることもあるので、川崎病を適切に治療することが大切
前回の川崎病の記事では、川崎病の症状のほかに、川崎病が合併症を引き起こしうる病気であることを紹介しました。今回の記事はその続編で「川崎病の合併症・後遺症」を中心とした記事です。
川崎病では心臓の血管である「冠動脈」に合併症・後遺症が現れることがあり、注意が必要とされています (参考文献 1) 。今回の記事では、①冠動脈の合併症・後遺症とはどのようなものなのか②冠動脈に後遺症が残ったときに起こり得る影響について紹介します。
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Lumedia の中の学生
Lumedia 編集部の医師による指導のもと、記事を執筆しています。
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川崎病では「冠動脈」に合併症・後遺症をおこすことがある
冠動脈とは
全身の血管に炎症が起きる川崎病では、「冠動脈」という血管にも影響を及ぼすことがあります。この「冠動脈」とは、下の図で丸く囲った部分の血管で、心臓に酸素を送り届ける大切な血管です。

心臓の血管 (看護 roo ! 看護師イラスト集 の画像をもとに編集 )
川崎病では冠動脈に瘤 (こぶ) ができることがある
川崎病の合併症・後遺症として問題になるのは、この冠動脈に瘤 (こぶ) ができてしまう「冠動脈瘤 (かんどうみゃくりゅう)」という病気です (参考文献 1, 2)。
冠動脈瘤ができると、そこで血の流れが悪くなり、血が固まって血栓をつくることがあります (参考文献 1, 3) 。また、冠動脈瘤が後遺症として残った場合には、若くても冠動脈の動脈硬化 (※) のリスクが高くなり、これも血栓ができてしまうことにつながります (参考文献 2, 3) 。
※ 動脈硬化とは、動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態のことです
冠動脈瘤の中の血栓が大きくなったり、血栓が血の流れにのって飛んでいったりした結果、冠動脈が詰まって「心筋梗塞 (しんきんこうそく)」になることがあります (参考文献 1, 2, 3)。
心筋梗塞になると、症状として強い胸の痛みや呼吸のしにくさが出たり、心臓の細胞に酸素や栄養が届かなくなった結果、詰まった血管に頼っていた細胞がダメージを受けて死んでしまったりします。