スタイルのある装いが憧れを誘う萬田久子さん。
新刊では自身のワードローブを公開しながらファッションの楽しみ方を紹介しています。
そんな彼女に大人のおしゃれの極意を聞きました。

年齢を重ねるほどおしゃれが楽しくなる

大人のファッションアイコンとして絶大な支持を集める萬田久子さん。
著書『萬田久子 オトナのお洒落術』では、その素敵なファッションの秘密を解き明かしています。

自由でかっこいい着こなしは「好きなおしゃれを楽しんでいいんだよ」と私たちの背中を押してくれます。

「年齢とともに、自分が好きなスタイルを表現しやすくなる気がします。みんなが諦めてくれるというか(笑)。何を着ていても、帽子のツバがどれだけ広くなってもギャグにしてくれますから。好きなおしゃれを楽しむためには、〝振り切る〟ことが必要かもしれませんね」

本書のコーディネートはすべて私服によるセリフスタイリング。19歳でミス・ユニバース日本代表に選ばれた時に着ていたコム デ ギャルソンのワンピースなど、長いお付き合いの服たちもお目見えしています。

「私はファッションとともに生きてきましたし、どの服にも思い入れがあるから手放せなくて……。整理しなくちゃと悩んで試行錯誤もしましたが、やっぱりときめいちゃうんだもの。サヨナラできないですね (笑)。だけど、どの服も新しいエッセンスをいれてあげると輝きを取り戻して、よみがえってくるんですよね。こんなことなら全部残しておけばよかったわ」

さらに、「おしゃれはやる気とチャレンジ!」と断言する萬田さん。大人にとって好きな服は〝鎧〟にもなるとも。

「ちょっと億劫な場所やたくさんの人に会う時に、自分の着こなしが決まると楽しい気分になるし、自信をもって出かけられるんです。着る服で自分のキャラクターを決めるようなところもあります。だから、ドレスコードが大好き。誰でも新しいおしゃれに挑戦するのは気恥ずかしいものだけど、そんな時はドレスコードをエクスキューズにすればいいんです。例えば、友達と餃子を食べに行く時ならチャイニーズ風という具合に」

心からおしゃれを楽しんでいる萬田さんでさえ、「着ていく服がない」と呆然とすることがあるのだとか。
そんな時の特効薬は〝歌〟だといいます。

「服が決まらないだけのことなのに、我ながらどうかしているなと。南こうせつさんの『夢一夜』を歌っていると自分のバカさ加減に気づいて、だんだん決まってくるんです(笑)」


ヨウジヤマモトのアバンギャルドなドレスに、ティファニーのボーンブレスレットを合わせたモードな遊び心が薫る装い。

ドレス¥715,000/ヨウジヤマモト、ブーツ、リング、バングル/本人私物、イヤリング/スタイリスト私物

『萬田久子 オトナのお洒落術』
萬田久子
¥1,980(講談社)

萬田久子さんのファッションへの思いや萬田イズムあふれるルール、おしゃれを楽しむための「美と健康」について深掘り。すべて私服によるセルフスタイリングで、長年愛用してきたアイテムたちを使った愛がほとばしるコーディネートは必見。

(広告の後にも続きます)

編集部のおすすめ

日本文学ファンは必読!文豪の世界に思いを馳せて

『坂の中のまち』
著/中島京子
¥1,760(文藝春秋)

坂が多いことで知られ、夏目漱石、江戸川乱歩、安部公房……といった名だたる文豪のゆかりの地でもある、東京都文京区小日向。
進学を機に上京し、小日向に住むことになった大学生の真智が不可思議な出来事や人々に出会うさまが、著者ならではの軽妙な筆致で描かれます。
作中に織り込まれた文学知識も日本文学ファンにはたまらないはず!

シンクロする“組織と肉体”。新感覚の“ボディメイキング小説

『ミスター・チームリーダー 』
著/石田夏穂
¥1,650(新潮社)

管理職として働きながら、ボディビル大会で入賞を目指す男性を主人公にしたボディメイキング小説。
大会前の減量が停滞していた彼は、勤務先のムダを省くことでなぜか自分の脂肪も減らせると気づき、組織の代謝を上げようと奮闘する……というストーリー。
トレーニー特有の必死さやある種の傲慢さが、リアルかつコミカルに描かれます。

撮影/白井裕介 スタイリング/Yu Morimoto ヘアメイク/黒田啓蔵(Iris) 文/安田晴美

大人のおしゃれ手帖2024年12月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください