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借地権を有効活用したいのに、地主の承諾が得られず困っていませんか? 借地権の譲渡や転貸、建物の増改築など、地主の承諾が得られない場合、裁判所が地主に代わって許可を与える「借地非訟手続き」という制度があります。今回は、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービスに掲載中の西明 優貴弁護士に「借地非訟手続きの種類やメリット、費用相場など」を解説していただきました。
「借地非訟手続き」とは?
借地非訟手続きとは、建物用の借地権に関する紛争を解決するための非訟事件手続きのことです。法的手続きには「訴訟」と「非訟」というものがあり、こちらは非訟の分類になります。
借地非訟手続きの類型については借地借家法という法律に記されています。借地非訟事件の類型の代表格が以下の5つです。
・借地権譲渡または転貸の許可申立事件
・借地条件変更申立事件
・増改築許可申立事件、(更新後の)建物再築許可申立事件
・競売または公売に伴う土地貸借権譲受許可申立事件
・借地権設定者の建物及び土地貸借権譲受申立事件
借地権とは、すなわち土地賃借権・土地を借りる権利です。この借地権を地主(土地の所有者借地権を設定されている人)から許可をもらって譲渡または転貸する場合の許可申立事件というものが比較的多いです。
借地条件変更申立事件は、土地の貸管に関する契約条件を変更するための申立てをする事件です。増築許可申立事件は増加築をするにあたって地主の許可を得るために裁判所に申立てをする事件のことを指します。
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借地非訟手続きのメリット(総論)
まず、この手続きの総合的なメリットについて解説します。
1つ目が公正性と一方的解決です。裁判所に借地権の紛争判断を求めると公正な状況で一方の意向を強制的に満たすことができます。法的手続前の交渉がまとまらないと時間が無駄に過ぎ、ビジネスチャンスを逃すことになってしまうかもしれません。その点、当事者間では解決できなかった問題に裁判官という第三者の目線が入ることで、問題解決しやすくなります。
2つ目が和解による早期解決が見込めることです。裁判のなかには裁判所からなにかしらの究極的判断をもらう前に和解で終わるものがあります。そうすることで当該紛争がよりスピーディーに解決しやすくなります。
借地非訟手続きでは和解による解決が多く、実際双方の譲歩による円満な解決が望ましいです。スピードは絶対的価値ですので、コスト効率がよくなりますが、解決スピードを優先するのか、経済的利益を優先するのか、天秤にかけたうえで自身の意向に沿い、総合的に考慮しましょう。