
文具のとびら編集部
コクヨは、利き手問わず気持ちよく使えるようリニューアルした「ハサミ〈サクサ〉」を一般社団法人シブヤフォントへこのほど寄贈。その寄贈式を2025年2月6日13時から、東急プラザ原宿「ハラカド」7階のシブヤフォントラボで行った。
利き手問わず気持ちよく使えるはさみ
厚いものから薄いものまで軽い力で切れる“ハイブリッドアーチ刃”が特徴の「ハサミ〈サクサ〉」シリーズは、2024年12月11日に4種類12SKUをリニューアル発売。利き手を問わない切りやすさを実現する“傾斜インサート”を新たに搭載した(関連記事)。
傾斜インサートは、ハンドルに対して刃を傾けて成型する手法のこと。一般的にハサミで対象物を切る際は、刃と刃の隙間が少ない方が切れ味が良くなるが、使用者は知らず知らずのうちに、刃と刃の隙間が少なくなるように自身で左右の刃を近づけるための調整をする傾向がある。傾斜インサートを搭載することで、ハンドルを開閉するだけで刃と刃の隙間が自然と小さくなることを実現。使用者の利き手や技量に関わらず切りやすく、特にビニールのような薄いものに対して効果を発揮する。

この傾斜インサートは、自身も左利きである開発担当者が「ハンドルが左右どちらかに優位になることなく実現するには、刃側を工夫すればいいのでは」とひらめいたことがきっかけで開発したもの。傾斜インサートの開発では、多様な特性を持つユーザーとの対話とワークショップによるインクルーシブなものづくり”HOWS DESIGN(ハウズデザイン)”を取り入れている。ワークショップでは、左利きだけでなく、障がいがあり手が開きづらい人や力が入りにくい人も参加。7段階の傾斜をつけた試作を試してもらい、対話を重ね、切りやすい傾斜角度を最終的に採用したという。
贈呈式では、まずコクヨサステナビリティ推進室理事の井田幸男氏があいさつ。「我々は誰もが使いやすい商品づくりをしていきたいと思っていますが、それが世の中でどう使われているのか、本当に使いやすいのかをお聞きして、必要があれば改善していきたいと思っています。今回シブヤフォント様に使っていただいて、たくさんご意見をいただいて、よりよい商品づくりに生かしていきたいと思います。シブヤフォント様とは、これまでにもノートの絵柄に採用させていただいたり、大阪の本社にアートを飾らしていただいているので、これを機会にガッツリと連携させていただきたいと思います」と語った。
続いて、シブヤフォントラボ代表理事の磯村歩氏があいさつ。「シブヤフォント」では、障がいのある人とデザインを学ぶ学生との共創でフォント・パターンを生み出し、企業によるデータの利用を推進し、福祉還元と障がいのある人と社会との接点を創出する取り組みを行っている。「シブヤフォント」を採用した企業は100社以上にものぼり、コクヨも2024年3月にシブヤフォントとコラボした「ソフトリングノート〈Sooofa(スーファ)〉」の限定商品(下写真)を発売している。また、「シブヤフォントラボ」をオープンし、アートイベントやワークショップの開催、シブヤフォントを使った商品の販売を行っている。

磯村氏はあいさつの中で、「障がいのある方に何か支援をするのではなくて、互いにフラットなアーティストとデザイナーという関係性で何か取り組むことで新しいことに出会える。マイナスをゼロにするのではなく、マイナスをプラスに転じてイノベイティブを起こす。そういったことを目指し、いろんな方との掛け合わせをシブヤフォントで展開しています。開発プロセスで、障がいのある方をリードユーザーとして連携するというのは今までにもありましたが、開発が終わってから、シブヤフォントとコクヨさんとでいろんなコラボレーションを今日を皮切りにやっていきたい。商品開発後のプロセスでも、インクルーシブデザインの理念でコクヨさんと取り組んでいきたいと思います」と述べた。
コクヨ井田氏からシブヤフォントラボ磯村氏に「サクサ」が贈呈された
このあと、「サクサ」の体験会も行われた。サクサを使った人たちは、「すごい切りやすい」「左手でも使いやすい」「切っていて楽しい」など、その切れ味に驚いていたようだ。

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