副業を始めるには元手となるお金が必要だけど、なかなか貯められない……。そもそもお金が貯められないと悩む人が多いのは、人間には「欲求のままに金銭を使ってしまう」習性があるからだといいます。記事では坂下氏の新刊『新版いますぐ妻を社長にしなさい』(フォレスト出版)より一部を抜粋し、副業の元手となる「種銭」を貯める秘訣を解説します。

人間の欲求には際限がない…だからお金が貯まらない

サラリーマンが副業をする場合、ビジネスの種類によってはそれなりの元手が必要になります。その「種銭」をどう捻出するかの考え方について前回ご紹介しました。

夫婦共働きで財布への「入り」を増やす、ふるさと納税を活用する、いくら・いつまでに貯めるかを明確にすることなどがポイントです。これらに加えて、確実に種銭をつくっていくコツがあります。

種銭をつくる段階では、基本的にはサラリーマンとしての給料が柱となります。その際に重宝するのが「新NISA」のつみたて投資枠や財形貯蓄です。給料の1〜2割程度でしたらムリなく貯められるはずです。

私がサラリーマンの頃はNISA自体がなかったので、約2割を財形貯蓄に回しました。なお、個人型確定拠出年金「iDeCo」は60歳まで引き出しできないので、種銭づくりには向いていません。

なぜ、新NISAのつみたて投資枠や財形貯蓄を活用するかというと、お金はあればあるだけ使ってしまって、なかなか貯まらないからです。これを、「支出の額は収入の額に達するまで膨張する」パーキンソンの第2法則といいます。

なぜ、全部使ってしまって貯まらないのか、その理由をご存じでしょうか? 理由はシンプルで、欲求や欲望のおもむくままにお金を使ってしまっているからです。人間の欲求には際限がありませんので、物理的なリミッターである「収入の額」まで使いきってしまうのです。

つまり、現実の支出の状況がいつの間にか「支出の額=欲望を満たすまで」となっているわけです。「支出の額=必要経費」に抑えることができれば、誰も苦労はしないのですが、ほぼ不可能な芸当です。

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意思の力はあてにならない…「天引き」が最強であるワケ

この厄介な現象への効果的な処方箋が1つだけあります。それは「天引き」です。効果的かつ確実な方法なので、社会保険料や所得税・住民税といった税金まわりの収納に活用されています。ご存じ、「源泉徴収」という仕組みです。

税金は給料として口座に振り込まれる前に差し引かれていますので、税金を支払っているという実感さえ湧きません。それくらい、あざやかな早業でお金が抜き取られてしまいます。

それと同じ原理を使ってお金を貯める代表的な方法が、新NISAのつみたて投資枠や財形貯蓄です。給与口座に振り込まれる前に天引きされてしまいますので、知らず知らずのうちにお金が貯まるという仕組みです。

パーキンソンの第2法則は万有引力の法則と同じように強力な法則です。人間の弱い意思で曲げられるような代物ではありませんので、素直に「天引き」に蓄財をゆだねてしまいましょう。

こうして、「天引き」という仕組みを活用すれば、「意思の力」を借りずに種銭を貯めることができます。「意思の力」とは、この世で一番あてにならないエネルギー源です。一番あてにならないものに、大切なお仕事をゆだねてはいけません。

日常生活のなかで「意思の力」を使って節約しようとしても必ず失敗してしまいますし、うまくいったとしても、貯まったお金の100倍のストレスが溜まります。

しかも、寝ても覚めても頭のなかで「節約」というケチケチキーワードが渦巻いてしまうので、せっかくの金持ちマインドが損なわれてしまいます。そうなっては、元も子もありません。

私も「天引き」の仕組みにはお世話になりました。株の損失を埋めるために一度は全額引き出して流用せざるをえませんでしたが、その後は心機一転、給料の2割を天引きしつづけてきました。

坂下仁

お金のソムリエ協会会長

※本記事は『新版いますぐ妻を社長にしなさい』(フォレスト出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。このメソッドによる結果に編集部は一切責任を負いません。自らの判断と責任により行っていただきますようお願いいたします。