税務調査の際は“雑談”に要注意
税務調査は通常朝10時から始まりますが、到着していきなり「あれを見せろ」「これを見せろ」とはいいません。最初の1時間ほどは、故人の人となりや経歴や趣味等についての雑談から始まることが多いです。
しかし、この税務調査官との“雑談”は要注意です。筆者の経験上、優秀な調査官ほど人当たりが柔らかく、聞き上手な人が多い印象があります。
今回のケースでもAさんの身に着けていた腕時計を褒めるところから、思わぬ追徴課税となりました。必要なことはもちろん答えなければいけませんが、積極的なおしゃべりには気をつけたほうがよいでしょう。申告漏れした財産については相続税の本税のほか、ペナルティとして過少申告加算税と延滞税が課されます。
今回の場合、Aさんは申告漏れが指摘されたため、泣く泣く形見の一部を売却し、相続税の追徴税額の納付にあてることとなりました。
財務省は「個人の財産」への監視を強めている?
今回のケースのように形見の腕時計だと思って申告が漏れた場合、本税のほか各種加算税や延滞税なども課されることとなってしまいます。
相続された動産で金銭的価値がありそうなものを保有している場合、その金銭的価値を見積ったうえで申告する必要があります。
余計な詮索を受けずに済むよう、保有財産の一覧表などを作成・保管しておくことをおすすめします。
宮路 幸人
多賀谷会計事務所
税理士/CFP