誕生と歴史。多くの物語がある大人のお菓子

日本にも複数の店舗を構える「ダロワイヨ」発祥のお菓子として、世界的に有名なオペラ。パリの象徴・オペラ座の荘厳な雰囲気が漂うお菓子には、その他の説もあるようで……?

島田シェフ
「オペラはフランス・パリのガストロミー『ダロワイヨ』が発祥というのが定説です。このお店のオーナーによって1955年に考案されたものが、世界へ広まったとされています。

しかし、実はそれより前に『マルセル・ビュガ』というパティスリーがオペラのもとになるお菓子を作っていたとの説もあります。その説では、ビュガの作ったケーキを食べた『ダロワイヨ』のオーナーがその味を気に入ったため、お店ごと買い取って“オペラ”と名付けてお店に出したとされていますね。

オペラの名前はパリのオペラ座に由来しており、オペラ座の屋根に佇む金のアポロン像が、ケーキでは金箔で表現されています。『ダロワイヨ』のオペラは表面のグラサージュを含めて7層で、日本でも7層のものが多い印象です」

松川さんは毎日チョコレートを食べるほどのチョコ好きで、ケーキでもチョコレートを使ったものを注文することが多いそう!オペラを口に運んだ瞬間に、たちまち笑顔があふれます。

松川さん
「コーヒーの風味がありつつ、まろやかさもあって美味しい!チョコレートとコーヒーの相性がぴったりで、普段スイーツを食べない人でも食べやすいケーキだと思います。大人の人がクセになるような、“大人の味”を楽しめました」

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フランスでは菓子店よりもパン屋に並ぶ?日本とは違った立ち位置に

日本では、多くのパティスリーに並んでいるオペラ。しかしフランスでは、菓子店で見かけることは少ないそう。

島田シェフ
「フランスでは、オペラを常に販売しているパティスリーはあまりありません。『ダロワイヨ』のオペラの知名度が高いことから、“他人のお店のお菓子”という印象があるのではないでしょうか。

一方で、常温でも経時変化が小さく、日持ちするお菓子のため、パン屋、ブーランジェリーのラインアップのひとつとして定着しています。

一方日本では、フランスに渡った日本のパティシエの第一世代の多くが『ダロワイヨ』で働いており、帰国した彼らによって多くのパティスリーに広まりました。うちの店の創業者も『ダロワイヨ』に務めた経験があり、層の数や厚みに違いはありますが、『パティシエ・シマ』のオペラにもその伝統が含まれています。

“生地にシロップをしっかりと染み込ませる”製法はフランス菓子の特徴の一種ですが、日本では、日本人の好みに合わせて生地にあまりシロップを染み込ませないお店もありますね。コーヒーとチョコレートの組み合わせが日本人に好まれることもあり、今のような定番のスイーツとして愛されるようになったのだと思います」