3.アスベスト除去工事で使える補助金
国土交通省では、民間建築物に対するアスベスト除去、囲い込み、封じ込めといった除去工事にも補助制度を創設しています。アスベスト調査と同様に、補助金制度を用意している自治体経由で受け取ることができます。アスベスト除去工事に使える補助金の概要は、以下のとおりです。
対象建築物:吹付けアスベスト等※1)が施工されている住宅・建築物
対象とする費用内容:対象建築物の所有者等が行う吹付けアスベスト等の除去、封じ込めまたは囲い込みに要する費用(建築物の解体・除去を行う場合にあってはアスベスト除去に要する費用相当分)
国の補助率: 地方公共団体の補助額の1/2以内(かつ全体の1/3以内)
※1)アスベスト含有調査で補助対象としているのは、吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウールです。
出典:厚生労働省|石綿 総合情報ポータルサイトTOP「補助金制度」
下記では、アスベスト除去工事で使える補助金の例として、2つの自治体をご紹介します。
3-1.補助金制度の例
(1)東京都(千代田区)
住宅の駐車場、倉庫等:1棟につき100万円 分譲・賃貸マンションの共用部分(廊下等・機械室・受水槽室・駐車場等):1棟につき100万円 ※吹付けアスベスト除去工事費用の3分の2を補助 |
(2)大阪府(豊中市)
調査対象建築物の所有者であり、当該建築物が本市の区域内に存すること |
豊中市内で、多数の者が利用する民間の建築物(一戸建て住宅を除く) |
1敷地あたり100万円 ※吹付けアスベスト除去工事費用の3分の2を補助 |
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4.アスベスト調査・除去工事の補助金を利用するときの申請方法
アスベスト調査・除去工事の補助金を利用するためには、自治体の条件を満たしたうえで申請書類を提出する必要があります。また、実際に補助金を受け取るまでに多くの工程があるので、事前に流れを把握しておきましょう。下記では、アスベスト調査・除去工事の補助金を利用するときの申請方法について詳しく解説します。
4-1.自治体に相談
補助金を利用する際は、まず自治体への事前相談が必要です。
対象となる建物や工事内容が補助金の条件を満たしているか確認し、必要な手続きについて説明を受けます。
4-2.補助金の交付申請
住宅が補助金制度の対象であった場合は申請書類を作成し、自治体へ提出しましょう。
必要書類は自治体によって異なり、種類もさまざまです。不備があると補助金の審査に時間がかかるため、事前相談で確認し、正確に揃える必要があります。
4-3.補助金交付の決定〜調査・工事の実施
補助金の審査に通った場合は、「交付決定通知書」が発行されます。交付決定通知書を受け取ることで、正式に補助の対象となる調査や工事を進められるようになります。
決定する前に業者と契約すると、補助金を受け取れなくなってしまうため注意が必要です。
必ず交付決定通知書を受け取ってから、業者に依頼するようにしましょう。
自治体によっては、業者を指定するケースもあります。調査結果によってアスベストの除去が必要と判断された場合は、認可を受けた専門業者で工事を実施します。
調査・除去工事が終ったときに作成される報告書は、補助金の申請手続きで必要な書類です。大切に保管し、なくさないようにしましょう。
4-4.自治体に報告書を提出
アスベスト調査・除去工事が完了したら、必要書類とともに報告書を自治体に提出します。自治体は提出書類にもとづいて審査を行い、適切に調査・除去工事が行われたかを判断します。報告書の提出に期限を設けている自治体もあるので、事前に確認しておきましょう。
4-5.補助金確定通知書の受け取り〜業者への支払い
提出書類に問題がなければ、「補助金交付通知書」が発行されます。自治体によっては、当初の見積もりから補助金額が変動しているケースもあるため、内容をしっかり確認しましょう。
補助金交付通知書を受け取った後には、業者に調査・除去工事代を支払う必要があります。
補助金は後払いとなるため、一時的に自己資金での支払いとなります。支払った後は請求書や領収書が発行されるので、補助金の請求に備えて大切に保管しておきましょう。
4-6.補助金交付請求〜受け取り
業者への支払いが完了したら、補助金の交付請求手続きを行います。必要書類として一般的に、補助金交付申請書や支払証明書、補助金確定通知書などが求められます。
提出期限が設けられているケースが多いため、早めに進めるよう心がけましょう。
自治体が提出書類を確認し、不備がなければ口座に補助金が振り込まれます。振込までの期間は自治体によって異なりますが、通常は数週間〜1ヶ月程度です。