3.予算1500万円以内でできる部分リフォームの費用相場

1章でお伝えしたように、1,500万円の予算があれば、戸建て住宅全体のリフォームが可能です。しかし内外装のスケルトンリフォームとなると、延べ坪によっては工事内容の取捨選択が必要になります。

予算配分を考えるために、部分的なリフォーム費用も確認しておきましょう。

3-1.水回りリフォーム

キッチン、浴室、洗面室、トイレの水回り設備をリフォームする場合は、200万円前後が目安となります。費用相場は以下のとおりです。

 お風呂 
 洗面所 
 トイレ 
キッチン
費用相場(グレード別)
ロー
ミドル
ハイ
    75~85 95~120 145~160
    75~85 110~130 165~185
  90~100 125~150 190~215
  125~165 155~210 295~360
  125~165 170~220 315~385
140~180 185~240 340~415

※水回りの内装張替え等リフォーム時の付帯工事含む ※単位:万円

出典:https://www.reform-guide.jp/topics/mizumawari-reform/

水回り設備はロー、ミドル、ハイの3つのグレードに分かれており、グレードが高くなるほどデザイン性や機能性が高くなりますが、その分費用も高くなります。そのためハイグレード品を選んだりオプション類を追加したりすると、あっという間に300万円を超えてしまうでしょう。

水回り設備はこだわるほど費用がかさむ部分ではありますが、商品グレードによって費用を調整しやすい部分でもあります。

予算に応じて、グレードやオプションなどの仕様を考えてみてください。

水回りリフォーム|費用相場・業者選び・安く抑える方法など全て解説!

3-2.内装リフォーム

内装リフォームは、壁紙、床材、室内扉、水回り設備の交換を行うのが一般的ですが、リフォームする部分としない部分を選べば費用を調整することができます。

パターン別の費用目安を見てみましょう。

パターン①
パターン②
パターン③

壁紙の貼り替え

天井壁紙の貼り替え

床材の張り替え

室内扉の交換

水回り設備一式交換

費用相場

130~200万円 200~380万円 380~620万円

出典:https://www.reform-guide.jp/topics/naisou-fullreform-hiyou/

表を見てわかるように、水回り設備を交換しなければ大きく費用を抑えられます。

しかしリフォームは部分的に行うよりもまとめて行ったほうが割引率が大きくなるため、設置から10年近く経っているのなら、水回り設備も交換したほうがよいでしょう。

内装フルリフォームの費用は?パターン別・築年数別の相場も解説

3-3.間取り変更

間取り変更は大がかりなリフォームになると思われがちですが、間仕切り壁の撤去や引き戸の設置などの軽微なものなら10〜20万円で可能です。

工事別の費用目安を見てみましょう。

リフォーム内容
費用目安
間仕切り壁の撤去+補修 10万円~
間仕切り壁の撤去+引き戸の設置 20万円~
リビングと和室をつなげる(畳からフローリング) 55万円~
リビングと和室をつなげる(フローリング・クロス全面交換) 142万円~
洋室2つをつなげる(フローリング上張り) 50万円~
洋室2つをつなげる(フローリング・クロス全面交換) 70万円~

出典:https://www.reform-guide.jp/topics/reform-madorihenkou/

内装リフォームならば部分的な間取り変更が可能なので、変更する部分としない部分を分けることで予算調整が可能です。しかし内装のスケルトンリフォームの場合は内装をすべて解体するため、全部屋の間取りを作り変えることになります。

費用は1章『【戸建て】予算1500万円でどこまでリフォームできる?』でお伝えしたものが目安となります。

よくある間取り変更リフォーム5種類と費用相場・注意点

3-4.断熱改修

断熱改修にかかる費用は、工事内容によって大きく異なります。

たとえば窓断熱だけならば数か所で行っても100万円以内でおさまるかもしれませんが、断熱材の充填となると、100万円を超える工事となるでしょう。

工事内容別の費用目安は以下のとおりです。

工事内容
費用目安

窓(1か所) 内窓の設置 6~15万円
断熱性の高い窓への交換 10~35万円
床(20坪・66㎡) 断熱材の充填 20~30万円
天井(20坪・66㎡) 断熱材の充填 15~50万円
内壁(45坪・150㎡) 断熱材の充填(内断熱) 80~250万円
屋根(30坪・60㎡) 断熱材の充填 10~60万円
断熱塗料での塗装 30~70万円
外壁(30坪・140㎡) 断熱材の施工(外断熱) 350~500万円
断熱塗料での塗装 80~120万円

※現場の状況や選ぶ商品によって費用や工費は変わってきます

※断熱材を入れた後、新しく天井・床・壁を張り替える場合は追加費用がかかります

出典:https://www.reform-guide.jp/topics/reform-1000manyen/

断熱材の充填は部分的に行うこともできますが、それだと十分な断熱効果が得られない可能性があるため、壁、天井、床、屋根のすべてに行うことをおすすめします。

「より断熱性を高めたい」という方は、住宅をすっぽりと包み込むように断熱材を施工する外断熱がおすすめです。費用は高額になりますが、その分高い断熱効果が期待できます。

断熱リフォームについて詳しく説明した記事がありますので、ぜひこちらも参考にしてください。

断熱リフォームについて徹底解説!種類や費用、補助金制度をご紹介

マンションでも断熱リフォームはできる!方法や費用などプロが解説

3-5.耐震補強(戸建て)

断熱改修と同様に、耐震補強も工事内容によって費用が大きく異なります。

平均的な費用は100〜200万円ですが、耐震性に問題があり大きな改修が必要になる場合は200万円を超えるケースもあるでしょう。

工事内容別の費用目安は以下のとおりです。

優先順位
補強工事の内容
費用目安
工事期間目安
高い 腐食・蟻害などの劣化を直す

家全体の場合25~100万円

ひどい場合~300万円

3日〜1ヶ月


壁を補強する

0.5間あたり9~15万円

10日〜1ヶ月
壁の配置バランスを整える

家全体で100~200万円

10日〜1ヶ月
基礎と柱を金物で固定する

1箇所あたり1~3万円

家全体で20~40万円

10日〜2週間
基礎に筋を入れる

1㎡あたり4~8万円

基礎全体の場合30~50万円

約1ヶ月
屋根面・2階の床面を強くする

1㎡あたり1.5~2.5万円

床面張替の場合2ヶ月~3ヶ月
基礎のひび割れを直す

1箇所あたり1~3万円

基礎全体の場合およそ10万円

2~3日

大規模の場合約1ヶ月
低い 屋根の軽量化

1㎡あたり1~2万円

家全体で90~150万円

全面改修で2週間~2ヶ月

出典:https://www.reform-guide.jp/topics/taishin-hokyo/

どの程度の耐震補強が必要なのかは、自分たちでの判断は難しいので、リフォーム会社と相談のうえ検討しましょう。耐震性は暮らしの安全面にかかわる重要な部分なので、費用を抑えることは考えず、しっかりと補強しておくことをおすすめします。

【徹底解説】一戸建ての耐震補強、築何年から必要?工事の内容から費用やかかる期間、補助金制度まで

3-6.外壁・屋根の改修(戸建て)

築20年を超える戸建て住宅で優先的に行いたい外壁と屋根の改修は、住宅の坪数に応じて次の費用が目安となります。

まずは塗装費用の目安から見ていきましょう。

【外壁と屋根の塗装費用】

坪数
費用相場
20坪 60~90万円
30坪 80~140万円
40坪 100~160万円
50坪 120~180万円
60坪 140~200万円

出典:https://www.reform-guide.jp/topics/gaiheki-yane-tosou-souba/

塗装のみならば、外装全体を行っても100万円前後で済ませられる場合がほとんどです。

再塗装の間隔は塗料の種類によって5〜20年周期と幅広いので、費用が多少高くなったとしても、耐用年数が長いものを選ぶのがポイントです。

【外壁と屋根の交換】

外壁と屋根の交換は、既存の外壁や屋根の上から新しいものをかぶせる『カバー工法』か、すべて取り払って交換する『張り替え(葺き替え)』かで、費用が大きく異なります。

工事内容
費用目安

外壁
カバー工法

張り替え

屋根
カバー工法

葺き替え

150~220万円
200~260万円
80~250万円
90~240万円

※30坪の住宅を想定

出典:https://www.reform-guide.jp/topics/gaiheki-coverkouhou/https://www.reform-guide.jp/topics/yane-fukikae-souba/https://www.reform-guide.jp/topics/yane-reform-coverkouhou/

外装リフォームは高額な費用がかかるので「どちらかだけにしよう」と考える方も多いのですが、足場代を考えると同時に行った方がお得です。予算1,500万円あれば外装全体を交換しても予算に余裕があるはずなので、外壁と屋根は同時にリフォームしたほうがよいでしょう。

また、費用を抑えられるのは撤去費用がかからないカバー工法ですが、屋根の重量が増えたことで耐震性が低下してしまう心配があります。

カバー工法を選ぶのなら、同時に耐震診断の実施もおすすめします。

外壁と屋根を同時に塗装する場合の費用相場は?見積もり例付きで解説

【完全ガイド】外壁リフォームは今すぐ必要?最適な方法や費用を解説

屋根リフォームの3つの方法!費用相場や業者の選び方も解説

3-7.増築・減築(戸建て)

1,500万円の予算があれば、場合によっては住宅の増築や減築も可能になります。

費用目安は以下のとおりです。

【増築の費用目安】

リフォーム内容
畳数
費用目安
既存の建物につなげる増築

(1階部分)

離れの増築

(木造の場合)

増築にかかわる諸費用

(建築確認申請、登記)

2畳 約66万~78万円
4畳 約132万~156万円
6畳 約198万~234万円
8畳 約264万~312万円
6畳 約200万~300万円
10畳 約270万~500万円
15畳 約450万~700万円
22万~30万円

出典:https://www.reform-guide.jp/topics/zouchiku-hiyou/

増築では建物を新たにつくるため、高額な費用がかかります。

さらに10㎡を超える増築については建築確認申請や登記手続きに別途費用がかかり、2025年4月以降の工事なら、増築部分は省エネ基準にも適合しなくてはなりません。

増築面積によっては予算1,500万円の大半を占めてしまい、内外装のリフォームに予算を割けなくなってしまう可能性があります。

増築にかかる費用を徹底解説!費用を抑える方法もご紹介

【減築の費用目安】

減築方法
費用目安(1㎡あたり)
2階建てを平屋化 約10万円
2階建て住宅の部分的撤去 約9万円
平屋の一部除去 約8万円
2階建ての1階部分一部除去 約13万円
2階建ての2階部分一部除去 約14万円
2階建てを吹き抜け化 約10万円

出典:https://www.reform-guide.jp/topics/gentiku-hiyou/

減築の費用目安は減築方法によって異なり、足場の設置が必要になるような、大がかりな工事ほど費用が高くなります。庭を有効活用できたり固定資産税が多少下がったりとメリットもありますが、本当に解体すべきなのかを慎重に考えてみてください。

【実例付き】減築リフォーム6種を費用、補助金も併せて完全解説

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4.予算1500万円程度でフルリフォームした事例

ここまで費用目安について詳しく説明してきました。予算1,500万円でどのようなリフォームができるのか、なんとなくイメージができたのではないでしょうか。

しかし実例も気になるところです。

ここでは、予算1,500万円前後のリフォーム事例を見ていきましょう。

4-1.【戸建て】3LDK(約112㎡)築26年(1,365万円)

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築26年の戸建て住宅を購入し、フルリノベーションを行った事例です。

リビングを広げるために、もともと5LDKだった間取りを3LDKへと変更。さらに浴室横にランドリースペースを設けるなど、家事動線を考慮した間取りへと大きくつくり変えています。内装や設備類もすべて交換し、築年数による劣化をまったく感じさせない、新築のような住まいへと生まれ変わりました。

リフォーム費用

工期

リフォーム内容

施工面積

築年数

構造

1,365万円
3か月
フルリノベーション+防蟻工事
112㎡
26年
軽量鉄骨造

出典:https://www.artreform.com/example/7804/

4-2.【戸建て】4LDK+S→3LDK(87.76㎡)築40年(1,480万円)

after

築40年の戸建て住宅を購入し、内外装のフルリフォームを行った事例です。

増築を繰り返していた物件で耐震性に不安があったため、構造計算を行ったのちに耐震補強を実施。外壁材も張り替えて、外観デザインに統一感を出しました。

さらに狭小地で日当たりの心配があったため、日当たりを考慮してLDKを2階へ移動するなど、大がかりな間取り変更も行っています。

家全体をきれいに改修し、まるで新築のような仕上がりになりました。

リフォーム費用

工期

リフォーム内容

施工面積

築年数

構造

1,480万円
4か月
フルリフォーム
87.76㎡
40年
木造

出典:https://www.reform-guide.jp/topics/case/shinjyuku-chukojyutaku/

4-3.【戸建て】4K→3LDK(ー㎡)築52年(1,700万円)

after

築52年の古民家をリノベーションした事例です。

古民家ならではの土間キッチンは部分的に減築して洋室へとつくり変え、四間あった和室のうち二間は洋室へと変更。現代的な間取りへと変更しました。

一方で広縁や梁は活用するなど、古民家の趣もところどころに残しています。

費用は1,700万円になりましたが、古民家を生まれ変わらせる再生リノベーションを実現できました。

リフォーム費用

工期

リフォーム内容

築年数

構造

1,700万円
4か月
古民家リノベーション
52年
木造

出典:https://www.artreform.com/example/810/

4-4.【マンション】3LDK→1LDK(80.6㎡)築20年(1,500万円)

after

築20年のマンションを、フルリフォームした事例です。

もともと3LDKだった間取りを1LDKへと変更し、LDKを広く確保しています。

リビング床材には無垢材を選び、部分的にハニカムタイルを施工。さらにキッチンやカップボードは造作にするなど、とことんこだわりを詰め込んでいます。

一方、内装材はすべて解体するのではなく、処分費を加味してフローリングを上張りに。寝室には安価な複合フローリングを選ぶなど、予算配分にメリハリをつけて、希望を優先したこだわりのリフォームとなりました。

リフォーム費用

リフォーム内容

施工面積

築年数

1,500万円
フルリノベーション
80.6㎡
約20年

出典:https://az-ken.com/works/w77/