シロアリは、建物の基礎や構造を脅かす非常に厄介な害虫です。一度シロアリ被害を受けてしまうと修繕には高額な費用がかかり、建物の安全性にも関わります。そのため、シロアリ対策は予防策を行うのが最も効果的です。
しかし、予防を始める前に知っておくべきことがいくつかあります。例えば、費用相場や費用に影響を与える要因、業者選びの重要なポイントなどです。そこで今回の記事では、シロアリ予防を検討している方に向けて、必要な情報を幅広く解説します。費用を抑えるコツや注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1.シロアリ予防にかかる費用相場
シロアリ予防の費用相場は、住宅の規模や施工内容によって異なりますが、1坪あたり6,000円〜8,000円が目安です。例えば、30坪の住宅であれば施工の対象となるのは15坪程度なので、9万〜12万円程度が必要になります。シロアリ予防の見積もりは、1階の床面積で算出されるのが一般的です。
業者によっては、㎡数で単価が記載されていることもあります。㎡単価で見積もりを提示された場合は、「㎡数×3.3」で坪数に変換することが可能です。例えば、㎡単価が1,000円であれば、坪数は「1,000円×3.3=3,300円」となります。
(参考)シロアリ予防を行った方が良い家・タイミング
シロアリはコンクリートも噛み砕けるため、木造だけでなくRCやSRCの住宅も行うべきです。コンクリート自体は食べないものの、その先にある木材を目掛けてシロアリは進んでいきます。
シロアリ予防を行うタイミングとしては、下記の2つが挙げられます。
新しく家を建てる際に、シロアリ対策が建築基準法で義務付けられています。しかし、防蟻剤の有効期限は5年と言われているので、5年ごとシロアリ予防を行うことが推奨されています。
公益社団法人しろあり対策協会が認定している防蟻剤の有効期限は5年。これは長期間有効な薬剤は、環境に悪影響を与えると考えているからです。そのため、前回の防蟻処理から5年経った家もシロアリ予防を行うタイミングとなります。
参考:日本しろあり対策協会「シロアリQ&A:5年間の保証がついていますが、5年経ったら必ず再施工しなければならないのでしょうか」
シロアリ予防は必要?自分でできる対策と依頼費用
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2.シロアリ予防の費用を左右する5つの要素
シロアリ予防の費用は、さまざまな要素によって異なります。下記では、シロアリ予防の費用を左右する要素を5つ解説します。
2-1.建物の構造
シロアリ予防の費用は、建物の構造によって大きく変動します。一般的に、木造住宅はシロアリの被害を受けやすく、対策が必要不可欠です。そのため、木造住宅の予防費用は比較的高くなります。
一方で、鉄骨造やRC造(鉄筋コンクリート造)の住宅は木材の使用量が少ないので、予防費用は低めになる傾向があります。また、床下の高さや基礎の種類(布基礎、ベタ基礎など)も影響し、点検や薬剤散布がしやすい構造のほうがコストを抑えやすいです。
2-2.地域
シロアリの発生しやすさは、地域によって異なります。特に温暖で湿度の高い地域ではシロアリが繁殖しやすく、予防措置がより重要となるため、費用が高くなる傾向があります。例えば、九州や四国、沖縄などの地域ではシロアリ被害のリスクが高く、それに伴い予防費用も高めに設定されることが一般的です。
一方、寒冷地である北海道などはシロアリの活動が制限されるため、費用が比較的抑えられる場合があります。
2-3.施工方法
シロアリ予防の施工方法には、主に薬剤散布、ベイト工法、物理的バリア工法などがあります。
それぞれの特徴は下記表のとおりです。
薬剤散布 | 安価 | 即効性があるが、定期的に再施工が必要 |
ベイト工法 | 高額 | シロアリの巣から根絶できる。定期的にベイト剤を補充する必要がある |
物理的バリア工法 | 高額 | 侵入箇所にネットや防蟻シートを張る。効果が長期間にわたって持続する |
薬剤散布は比較的安価で即効性がありますが、定期的な再施工が必要です。
一方、ベイト工法は毒餌を撒いて巣に持ち帰らせるためシロアリの住処を根絶する効果が期待できますが、設置や管理に手間がかかり、費用も高くなります。
建築時に行う物理的バリア工法(防蟻シートの敷設など)は初期費用がかかるものの、長期間にわたって効果を発揮するため、ランニングコストを抑えられる点がメリットです。
2-4.保証内容
シロアリ予防の費用は、施工後の保証内容にも影響します。一般的に、保証期間が長く、保証内容が充実しているほど費用は高くなる傾向があります。例えば、5年保証と10年保証では、後者のほうが高額になりやすいです。
また、保証の範囲によっても異なり、「シロアリ被害が発生した場合の無料再施工」や「被害を受けた建物の修繕費用の補償」などが含まれる場合は、費用が高くなる可能性があります。
2-5.業者の規模
シロアリ予防を依頼する業者の規模も、費用を左右する要因の一つです。全国展開している大手業者は、豊富な実績や高品質なサービスを提供している一方で、広告宣伝費や人件費が反映されるため、費用が高めになることがあります。
一方で、地域密着型の中小業者は、比較的リーズナブルな価格でサービスを提供する場合が多いですが、対応エリアやアフターサービスの充実度に差が出ることがあります。費用だけでなく、業者の信頼性や口コミ、実績なども考慮しながら選定しましょう。