物価高が続く中、2025年度も国民健康保険料の上限が引き上げられることが決まりました。国民健康保険は、自営業やフリーランスの方など、会社に属する健康保険に加入していない方が対象の公的な医療保険制度です。

今回は、2025年度の国民健康保険料上限引き上げがどれくらいなのか、国民健康保険の仕組みや引き上げの影響を受ける人、そして対策について解説します。

国民健康保険料の仕組みと計算方法

国民健康保険(国保)は、自営業者や退職者など、職場の健康保険に加入していない人が加入する医療保険制度です。保険料は加入者の所得や世帯状況などに応じて計算され、市町村に納めます。

保険料の仕組み

国民健康保険料は、以下の3つの要素で構成されています。

ア)所得割:前年の所得に応じて計算される部分
イ)均等割:世帯の人数に応じて計算される部分
ウ)平等割:一世帯あたり定額で課せられる部分

これらの要素を合計したものが、年間の保険料です。

保険料の計算方法

保険料の計算方法は市町村によって異なりますが、一般的には以下の様に算出されます。

1)所得割額の計算
前年の所得から、基礎控除や社会保険料控除などの所得控除を差し引いた金額(課税対象所得)を計算します。課税対象所得に、市町村が定める所得割率を乗じて、所得割額を計算します。

2)均等割額の計算
世帯の人数に応じて、市町村が定める均等割額を計算します。

3)平等割額の計算
一世帯あたり、市町村が定める平等割額を計算します。

4)保険料の合算
所得割額、均等割額、平等割額を合計して、年間の保険料を計算します。

続いて福岡市の「令和6年度国民健康保険料」の保険料率の表を見てみましょう。

引用:福岡市「国民健康保険料の計算方法」より一部抜粋

上記の表にあるように国民健康保険料は、医療費用の「基礎賦課額(基礎分)」と後期高齢者医療制度への「後期高齢者支援金等賦課額(支援分)」、そして40歳から64歳の加入者が負担する「介護納付金賦課額(介護分)」の3つの要素で構成されています。

また上記表の区分にある「賦課限度額」を見てみると、(1)基礎分:上限額65万円(2)支援分:上限額24万円(3)介護分:上限額17万円と、各項目に負担上限額が定められています。

(広告の後にも続きます)

国民健康保険料の上限引き上げはいつから?


保険料
【画像出典元】「stock.adobe.com/kvladimirv」

今回の2025年度の改定では(1)基礎分と(2)支援分の2つの項目で限度額が下記の様に引き上げられます。
・基礎分の上限額:65万円→66万円
・後期高齢者医療支援分の上限額:24万円→26万円

この結果、国民健康保険料の上限額が年間で合計3万円引き上げられます。なお介護保険事業に充てられる介護分の上限額17万円に変更はありません。

通常、国民健康保険の保険料の請求は毎年6月中旬頃に行われます。また請求金額は前年の所得を元に算出され、1年分を10回に分割して保険料を支払います。例年通りの請求スケジュールで進めば、2025年の6月に届く請求から変更されていると考えて良いでしょう。