日本は長い期間物価が下落するデフレ経済の中にあり、「デフレ脱却が最優先」と言われ続けてきました。そんな状況も今や一変。ここ数年は食費やガソリン代など生活費の値上げが続き、家計が厳しいと感じている人も多いと思います。

実はデフレ下にあってもじりじりと上昇していたものが教育費です。今後も私立大学だけでなく、国公立大学も授業料などを見直す動きがあり、一段と学費の負担が大きくなることが予想されます。

今回は大学の学費事情について詳しく解説していきます。子育て中の人、これから子どもが欲しいと思っている方は、ぜひ学費についてゆっくり向き合う機会にしてください。

大学学費・入学費の平均は?

まずは国公立大学と私立大学の平均的な学費を確認しましょう。

参考)国公立大学:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移(令和3年)
   私立大学:文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について

国立と私立では入学料に大きな差はありませんが、公立大学の入学料がやや高めです。年間の学費は国立と公立はほぼ同じで、私立が国公立のおよそ2倍近くかかります。さらに私立の場合は施設設備費がかかり、初年度は入学料も含めて約136万円。2年目以降も年間約112万円かかり、4年間でおよそ472万円となります。学部によっては実験や実習料もかかるため、私立大学の学費は500万円ぐらいを目安にしていた方が良さそうです。

一方、国立大学は4年間で約242万円と、私立に比べて大きな差があります。ただし東京大学をはじめ、国立大学も大学法人として設備の老朽化、国際社会に適用できる人材育成などを理由に授業料の値上げに踏み切る大学もでてきています。東京大学の場合、2025年度より年間の授業料が現行の53万5800円から64万2960円と、10万円以上値上がりします。

少子化の影響で定員割れをする私立大学も増えており、授業料を改訂せざるを得ない状況です。国公立・私立を問わず教育費は上昇傾向にあると考えておく方が良さそうです。

中学や高校までと比べるとかなりの学費が必要になることが分かると思います。特に私立大学となると会社員の年収と匹敵するような金額です。そう簡単に捻出できるものではないため、早めに準備をしておくことが大切です。

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学費だけじゃない!大学入学までにかかる費用


学費
【画像出典元】「Sayuri I/Shutterstock.com」

筆者も高校や大学に進学する子どもの親として、今まさに教育費と向き合っています。当然、大学4年間の学費を一括で支払うわけではありません。2年生以降の学費は時間的に猶予があります。原則として前期・後期と2回に分けて授業料等を払うため、「2年生以降は1年に2回大きな出費がある」と意識して準備しておく必要があります。

大学4年間で考えた場合、1番お金が必要になるのが入学前です。まず受験自体にそれなりのお金が必要となります。多くの学生が大学入学共通テストを受検しますが検定料は以下のようになっています。

3教科以上:1万8000円
2教科以下:1万2000円
参考/独立行政法人大学入試センター

他にも下記のような費用を考慮しておく必要があります。

・受験会場への交通費や宿泊費
・成績開示のための手数料
・塾の直前対策や模擬試験の費用
・2次試験受験料(国公立大学は原則1万7000円)

私立大学を数校受験すれば、それぞれの受験代や交通費や宿泊費は数十万円とかかることになります。

志望大学に合格すると入学の申し込み手続きを行い、その際に入学料や1年前期の授業料、私立の場合は施設設備費等を払うことになります。また親元から離れて一人暮らしとなると部屋探しをし、アパートなどの契約にもお金がかかります。

また高校までは一般的に制服があり、入学式も卒業式も制服。冠婚葬祭も制服を着ていけば問題ありませんでした。ところが大学生は成人になるタイミングでもあります。スーツと合わせて礼服の購入を勧められたり、通学のために車の免許を取得したりと、学費以外にまとまったお金が必要になるのもこの頃です。

大学が国公立か私立か、一人暮らしするかどうかによって必要なお金は大きく異なってきますが、高校3年生後半の受験シーズンが本格化するタイミングから大学入学まで100万円から200万円ぐらいは必要になりそうです。そのために早めに準備しておくことが大切です。