ブログで自分の経験や考えを発信しているのに、思うように成果につながらない……。一体なぜでしょうか? もしかしたら、読者に「自分の強み」が 十分に伝わっていないのかもしれません。本稿では、土谷愛氏の著書『適職はどこにある?』(大和出版)より一部抜粋・再編集し、情報発信の盲点を解説します。

ブログのオフ会での気づき

起業して何度も挫折しながらようやくつかんだ初売上の後。このまま売れ続けられるか、暗黒期に逆戻りするのか。ここが運命の分かれ道です。

「友達が昨日着てた服」を覚えていますか?

このタイミングで、わたしはとんでもない気づきを得ました。「自己分析」で人生を切り拓いた過程を赤裸々に発信したブログが少しずつ読んでもらえるようになったころ、読者さんとの交流会を開いたんです。来てくださった方とお話しする中、「愛さんのブログが好きです!」と言ってくださった読者さんからこんな質問をされました。

「ところで、愛さんは会社員時代にどんなお仕事をされていたんですか?」

内心、とてもびっくりしてしまいました。だって、当時わたしのブログには「営業時代の話」を何記事も書いていたから。「わたしのブログの読者さんなら、わたしが元営業マンだと全員知っているはず」と、恥ずかしながら勝手に思いこんでいたんですよね。

そうか、仮に好きな人であっても、人のことってそんなに覚えていないものなんだ!と衝撃を受けました。多くの人が、「友達やパートナーが昨日着てた服」を覚えていないのと同じように。

でも確かに考えてみれば、仮にブログ10記事書いたとして、そのうち7記事に営業ネタを書いていたとしても、残りの3記事だけを読んでくれた人だっているはず。

そりゃ、すべての記事に思い入れを持って書いているわたしからすれば「何度も書いてるのに」かもしれないけれど……、「じゃないほうネタ」のたった1記事を読んで好きになってくれた読者さんからしたら「元営業マン」なんてわかるわけないのです。

だとすれば、どうやらここに、これから売れ続けるためのヒントがありそうです。

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強みを知ってもらうために

わたしのサービスがこの先も売れ続けるためには、より多くの読者さんに「わたしの強み」を知ってもらわないといけません。このときの「強み」とはもちろん「売上につながる特徴」のこと。たとえばもし「強み発掘サービス」を売っているなら、

・わたしがいかに人の強みを見つけることを仕事にしたいと思っているか

・どうやって人の強みを見つけるスキルを身につけてきたか

・強みを見つけた人が実際にどう変わったのか

などが「売上につながる特徴」になりそうです。で、逆に言えば「これ以外の特徴」を伝える優先度は必然的に下がります。だって「わたしは子どものころ犬を飼っていて」とか「食べ物ならいちごが好きで」なんて特徴は「サービスを買いたくなるか」で見れば不要な情報ですからね。

それからというもの、わたしは「売上につながる自分の強み」をしっかり知ってもらうための発信を強化しました。たとえば、

・わたし自身が初めて「強みの種」を見つけたときのエピソード

・お客さんの「強み」を見つけて、これまでと違う広告を提案した話

・「強み」を見つけて売れるようになっていった、営業時代の部下の話

・友達の自己分析を手伝うとき、どんなアドバイスをしてみたか

・流行っている商品や伸びている会社を見て、どんな「強み」があると感じたか

など、より「強み」や「自己分析」という軸に絞って、なにをしてきたか・なにができるか・なにを考えているかなど「サービス購入を迷っている人の背中を押す情報」を重点的に発信しました。こうして並べてみると、全部が全部「ものすごい実績」とか「誰にも真似できない、人より突出したスキル」というわけじゃないんですよね。起業初期ならなおのこと。というか、たいていの人にはそんな「すごい特徴」なんていくつもありません。

単純に「実績」や「能力」で比べられたら、もっと優秀で有名な人は山ほどいます。だけど、むしろ自分が「すごい人」じゃないからこそ、そのぶん「自分の強みを伝えまくること」しかできない。

「知らなかった人だけど、これだけいろいろ発信してるなら……(なんか自信ありそう・信頼できるかも・一度話を聞いてみよう)」と思ってもらえたらチャンスです。だから毎日ブログを書き、メルマガを書き、SNSも投稿し、音声や動画でもアップし、慣れてきたら知人にお願いして漫画やアニメーションなども作ってみました。

わたしが出す、どのコンテンツに触れてもらっても「わたしの強み」が伝わるように。

土谷 愛

mideal inc.

代表取締役社長