2006年7月、ルクセンブルクの1929年持株会社制度が、EU法に反する国家補助にあたるとして廃止されました。これは、EU各国が租税優遇措置を講じて投資を促すことを規制した結果によるものです。これがルクセンブルクの税制にどのような影響を与えたのでしょうか。国際課税研究所首席研究員の矢内一好氏が、ルクセンブルクの税制について詳しく解説します。

ルクセンブルクの概要

ルクセンブルク大公国(Grand Duchy of Luxembourg)は、西ヨーロッパに位置する議会立憲君主制大公国家です。オランダ、ベルギーと共にベネルクス三国と呼ばれています。

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世界第2位の鉄鋼メーカーの本社がルクセンブルクにある背景

フランス、ベルギー、ドイツに隣接するこの国は、国土の広さが神奈川県とほぼ同じで、人口は約63万人です。EU加盟国で通貨はユーロです。ルクセンブルクには、世界第2位の鉄鋼メーカーの本社があります。この会社の大株主は、同社のCEOでインドの資産家であるラクシュミー・ミッタル氏です。この背景には、同国の持ち株会社税制などが影響しているものと思われます。