マイホーム購入にあたって多くの人が申し込む「住宅ローン」。審査に落ちても基本的に銀行側は否決理由を教えてくれません。しかしなかには、不動産業者などが「ヒント」をくれることもあるようで……。本記事では、田川さん(仮名)の事例とともに、住宅ローン審査に関わる信用情報についてFP事務所MoneySmith代表の吉野裕一氏が解説します。※個人の特定を避けるため、事例の一部を改変しています。

属性ハナマルの「大手企業勤めサラリーマン」の住宅ローン審査

現在、36歳の田川陽一さん(仮名)は同い年の妻・由香さん(仮名)と小学生の子ども2人の4人で地方で賃貸住宅に暮らしていました。陽一さんは大手企業に勤め、月収は70万円。妻の由香さんはパートタイムで事務職をしており、扶養内に収まるように働いています。子ども2人も大きくなり、現在の住まいも手狭に感じてきました。そこでマイホームの購入を検討していたところ、気に入った物件が見つかります。

見つけた物件は駅近くの高層階マンションの上層部、価格は諸費用込みで6,500万円です。購入を決めた田川さんは早速、住宅ローンに申し込みました。借入金は5,500万円、金利は変動金利で0.5%。借入期間は35年という条件で、団体信用保険はがんでも保証があり、適用金利の0.1%上乗せで加入できるというものです。借り入れ当初は月15万円の返済を検討していました。

一般的に住宅ローンの返済比率(年間の返済額を年収で割った割合)は20%~25%が適切といわれます。田川さんの返済比率は約25%でしたが、妻もパートに出ているし、今後の昇給もあるだろうからと少し高めでも問題ないと思っていました。

ところが、仮審査を受けたあと、担当の行員から想像もしていなかった連絡が。

「今回は審査が通らず、申し訳ありません。住宅ローンの本審査はお断りします」

予想外の展開に電話口で言葉を失いました。

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住宅ローン審査に重要な「返済比率」

住宅ローンの借り入れの際に、金融機関によっては年収による返済比率の上限を設けています。

年収400万円未満であれば35%、400万円以上であれば40%と決められていることが多いようです。田川さんの場合は、前述したように返済比率は25%程度だったので問題ありませんが、銀行から問われている返済比率は、住宅ローンに限ったことではなく、ほかの借入金の返済額も含めた返済比率になります。