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●北海道・函館市で伝わる「ザリジ」という揚げ物を求め、老舗中華料理店『鳳蘭』を訪問。地元ならではの感動の美味しさに出会いました。

 函館市内には昔ながらの中華料理店が多く、店独自の個性的なメニューが観光客にも話題を呼び、その一皿のために足を運ぶことも少なくありません。現在移転して再営業を果たした『ぶんぶく茶釜』の「ベトナムラーメン」(https://www.syokuraku-web.com/column/99709/)のように、函館の食の文化史に残したい名物が存在します。

 かつて函館の中華料理店で提供していた揚げ物料理「ザリジ」もその一つ。それは、おそらく中国語の「炸里脊」(ジャーリージ)を語源とした、豚のから揚げ。昔は市内でも複数の店で提供されていたようですが、閉店などを理由にして、昨今では『鳳蘭』で食べられる代表的な一皿です。


ちょうど12時頃に訪問

 1950年創業の『鳳蘭(ほうらん)』は、「ザリジ」だけでなく、昔ながらの製法で作る「塩ラーメン」など函館の食文化を守り続ける老舗です。

 こちらで提供されるザリジは、豚肉を一口サイズにカットし、衣をつけて揚げたもの。思ったよりも衣は厚めで、もっちりしています。肉は赤身の部分なのか意外にもあっさり。から揚げというよりは、むしろ天ぷらに近いものを感じます。

鳳蘭の「ザリジ」をサッポロクラシックビールで味わう至福


「ザリジ」(ハーフサイズ)を、おなじみ「サッポロクラシック」とともに

 この独特のもっちりがクセになる食感お好みでからしやこしょう、醤油、お酢などを味付けを替えながらベストな食べ方を模索。「塩ラーメン」のスープにダイブさせ、衣をじゅわっとさせてからいただくのも良し。


酢、醤油、からしの組み合わせがベスト [食楽web]

 塩ラーメンは、とんこつ9割、鶏がら1割で炊いたスープ。野菜を使わないのが昔ながらの製法だそうで、塩のキレがありますが、さっぱりとした深みのある味。この透き通るようなスープが特徴です。


函館でしか味わえない至高の一杯

 このスープの中で泳ぐむっちりとした中太麺もほどよき柔さ。寒い中で食べるアツアツでさっぱりとした一杯、これぞ函館塩ラーメンです。

 あと中華料理繋がりで言うと、著者が学校給食で食べた、「クローヨ」(こちらもおそらく語源は中国語のクゥラオローと思われる)という酢豚のような料理があるのですが、これが無性に食べたくなる時があります。まだ函館市内で食べられるお店ってあるのでしょうか? もし知っている方がいれば教えてください~。

(撮影・文◎亀井亜衣子)

●SHOP INFO

鳳蘭

住:北海道函館市松風町5-13
営:11:00~20:00
休:火曜