夫が親権を獲得する方法
1.妻の育児放棄を立証する必要がある
妻が家事や育児を放棄していても、夫が親権を獲得するのは簡単ではありません。なぜなら、妻の育児放棄を「立証」しなければならないからです。妻がすんなり親権を譲ってくれればよいのですが、現実はそう簡単ではありません。
夫が親権を主張すると、これまで育児放棄してきた妻でも必死で親権を取ろうとするケースが多数です。そのときには、妻のほうも「これまで養育を主として行ってきたのは自分だ」と主張します。
妻側は母子手帳や子どもが小さいころの育児日記、幼稚園や小学校との連絡帳、子どもと一緒に写っている写真などの資料もたくさんもっているものです。裁判にもっともらしい資料を提出され「母親がこれまで養育を行ってきた」と主張されたら、裁判所は妻の言い分を信用して親権者として指定してしまう可能性も高くなります。それを防ぐには、夫側がしっかり「妻の育児放棄」と「父親が親権者として適切な事情」を立証する必要があります。
2.夫が親権を獲得するための資料
夫が親権を獲得するには、以下のような資料を集めましょう。
・妻の生活状況を示す写真(妻が家でゴロ寝しているものなど)
・妻の生活状況を示す日記帳などの記録(妻が家を出て帰宅するまでの時間などを夫が毎日つけたもの)
・夫がサインしている連絡帳(小学校や幼稚園とのやり取りについて)
・夫がつけている家計簿
・夫がつけている育児日記
・夫が所持している子どもの学校の行事予定表などの資料
・夫と子どもが一緒に写っている写真
・妻から来たメール(私には育児は向いていない、できない、子どものご飯も作りたくない、などと書いてあるもの)
・事情を知る人の陳述書(夫の親や親族でない第三者によるもの)
・妻が浮気している資料
上記のようなものがあれば、「夫が主として養育を担ってきた」と認定され、親権者として指定されやすくなります。
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離婚後に親権者の変更が認められる可能性
離婚時にはいったん妻を親権者としたものの「離婚後に妻が育児放棄していることが発覚したので親権者を変更してもらいたい」と希望する父親もいます。親権者の変更は可能なのでしょうか?
1.親権者の変更が認められるケース
離婚後に親権者の変更が認められるケースはあります。ただしいったん親権を定めた以上、よほどの事情がないと変更は認められません。頻繁に親権者が変わると子どもに対する影響が大きくなるからです。具体的には親権者を変更する必要性と離婚時からの事情変更が必要です。夫が「妻が育児放棄している」と主張しても、離婚時とそう変わった事情がない場合には、親権者の変更を主張しても認められないでしょう。
一方、離婚時には育児をきちんとしていたはずなのに、離婚後に男性ができるなどの事情があって育児をしなくなってしまった場合、離婚後に妻が育児に疲れて育児放棄してしまった場合などには、親権者の変更が認められる可能性があります。
2.親権者の変更を求める手順
親権者変更を求めるには、家庭裁判所で親権者変更調停を申し立てる必要があります。しかし調停の場では相手は変更に応じず「きちんと面倒をみているので、変更には応じられない」と主張する可能性が高いです。
そこで親権者を父親に変更するには「妻が育児放棄している証拠」が必要です。離れて居住している夫が育児放棄の証拠を集めるのはかなりの困難を伴います。一人で対応するのは難しいでしょうから、専門家に相談してみてください。