ステップワゴンで車中泊を楽しむ夫婦の“円満の秘訣”。最大のこだわりは「ダブルサイズの高反発マットレス」

 北海道を舞台に車中泊の魅力を伝えるYouTubeチャンネル「てっちゃんあーちゃんねる@車中泊」。ご夫婦(夫:てっちゃん、妻:あーちゃん)が車内で作る豪勢な “車中飯”やほのぼのとした掛け合いで人気を博している。車中泊を始めたきっかけやこだわり、車中泊を通じて生まれた交流、これまで車内で作ってきたメニューについて聞いた。

◆今までの愛車は「2シーターのスポーツカーばかり」

――お二人の活動エリアはどのあたりですか?

てっちゃん:北海道全域です。道の駅などへ行って車中泊をしています。

――車中泊を始められたきっかけは?

てっちゃん:僕は元々キャンプや釣りといったアウトドアが好きだったのですが、今まで乗っていた車はアウトドアには向かない2シーターのスポーツカーばかりでした。キャンプのギアを積むにしてもそれほど載せられませんし、どうしようかな……と考えていた頃、たまたまステップワゴンを入手できたんです。車中泊をするようになったのはそこからですね。

あーちゃん:私はそこに便乗しました(笑)。

◆発信するきっかけは「50代になったタイミングで…」

――車中泊はプライベートの空間じゃないですか。それをYouTubeで発信されようと思ったきっかけは何だったのですか?

てっちゃん:自営のお店を北海道で16年くらいやっているんです。数年前に自分が50代になったタイミングで、今までとはちょっと違うことをやってみようと思ったのがきっかけです。車もあるし、車中泊の様子を動画で撮って投稿しようかなと。以前から車中泊をしている他の方々のYouTubeチャンネルを見ていて、「自分たちにもできるんじゃないか」と思っていたんです。

――YouTubeチャンネルを始めて、暮らしに変化はありましたか?

あーちゃん:視聴者さんが年に何回か北海道までわざわざ遊びに来てくれるんです。北海道にキャンプしに来たついでに立ち寄ってくれたり、あとは僕らに会うためだけに北海道まで来てくれたり……。大阪とか福井とか遠いところから来てくれるので嬉しいです。

てっちゃん:大阪から毎年来てくれるご夫婦がいるのですが、ものすごくデカいベンツのキャンピングカーで来るんです。旦那さんが70代で奥さんが60代くらいなのですが、いつも連絡をくれてキャンプ場に一緒に泊まりに行ったりしています。あとは『バンライフ狂』の方々をはじめ、YouTuberもけっこう来てくれます。

――北海道をメインに車中泊をされていますが、本州で行ってみたい地域やスポットはありますか?

てっちゃん:そのイメージはあまりないですね。愛着のある北海道を中心に活動して、北海道の道の駅など各スポットを紹介していきたいなと。なので、北海道への旅を計画されている方々にわかりやすく伝えることを心がけています。

◆最大のこだわりは「ダブルサイズの高反発マットレス」

――車中泊をするにあたってのこだわりはありますか?

てっちゃん:自宅でダブルサイズの高反発マットレスを使っているのですが、寝心地を一緒にしたいので車内でも同じものを使っています(笑)。寝心地はまったく同じなので、目覚めた時に「あれっ!?」って思うことはよくあります。「車の中だったっけ」みたいな(笑)。車で寝ると背中が痛くなるとかってよく言うじゃないですか。やっぱり疲れてしまったら車中泊はできないと思うんです。ベッドを家と同じにすることは最大のこだわりです。

あーちゃん:やっぱり寝心地は大事(笑)。

てっちゃん:自分たちみたいにハイエースやキャンピングカーなど大きな車だとスペースがあるのでマットレスを置けますが、小さい車で車中泊をされている方もけっこう多いじゃないですか。寝る時に疲れないのかなと心配ですし、僕らは大きい車じゃないと無理ですね。

――その他のこだわりは?

てっちゃん:見栄えは気にしています。車内のキッチンとかにレンガのデザインの壁紙を貼ったり、茶系の色で全体をコーディネートしたり……。ごちゃごちゃしているのが嫌なので、できるだけすっきり見せるようにしています。それは車の中だけでなく家も同じです。

◆煙だらけになっても「あまり気にしない」

――ハイエースの車内で肉を焼いて食べていたことに驚きました。

あーちゃん:視聴者さんから「ニオイとか大丈夫ですか?」とよく言われます(笑)。

てっちゃん:対策としては車の換気扇をまわすのと窓を開けるくらいです。ニオイを気にするんだったら車中泊はしないです(笑)。確かに朝起きた時に「焼肉のニオイがするな~」とは思いますが、そのうち消えるんで。焼肉は動画の撮影をするしないに関わらず普段からやっています。

――焼肉以外にどんなものを車内で作っていますか?

てっちゃん:トンテキを作って食べたことがありますが、車内が煙だらけになってやばかったです(笑)。家にある鉄板を持ち込んで作ったのですが、煙がすごくて。お好み焼きも作ったことがあるのですが、煙系はやばいです。ただ、やばいと思いながらも窓を開けてやりますけどね。あまり気にしないというか、僕らの性格なんだと思います。

あと、二人でいて何が一番ラクかといえば、食べるものがほぼ同じなんです。二人とも基本的に食べ物に好き嫌いがなく、好きな食べ物が同じだったり。そこが一番ラクな部分じゃないですか。「これは食べられない、これは食べられる」って夫婦間でもありますよね。一緒に暮らしているわけですし、「これが食べたいのに食べられないのか……」となると、けっこう面倒だと思うんです。

◆「ほとんどケンカはしない」夫婦円満の秘訣は?

――動画を観ていて思ったのですが、お二人のやりとりがほのぼのしていますよね。それもチャンネルの魅力なのかなと。

てっちゃん:視聴者さんにも言われます。僕らの動画は台本のようなものがなく、普段のやりとりそのままなんです。動画を観てくれている友人からは「いつもの二人だよね」と言われています。

――いつも仲睦まじい印象ですが、ケンカとかはしないんですか?

あーちゃん:たまにですね。てっちゃんがものすごいお酒を飲む人なので。酔っ払い過ぎた時にちょっと怒ったりするくらいで、ほとんどケンカはしないです。

てっちゃん:要するに、僕が飲み過ぎなきゃケンカは起きない(笑)。

――仲がいいんですね。ちなみに、お二人はどこで出会ったのですか?

てっちゃん:僕が運営しているライブハウスのお客さんだったんです。

あーちゃん:ライブハウスの近くに住んでいたのでよく遊びに行っていました。楽器を弾くことはできませんが、歌うのは好きですし、音楽が好きなんです。さっきの食べ物の好き嫌いの話じゃないですが、共通の趣味があるのが仲のいい秘訣かなと。

◆車中泊はイベントではなく、“日常”

――お二人が感じている車中泊の魅力とは?

あーちゃん:道の駅などに行くと、キャンピングカーをはじめ地方ナンバーの車がたくさん停まっていて、夫婦やカップルで来ている方たちが多いじゃないですか。車中泊って一緒に料理をしたり車内のギアをDIYしたり、いろいろな場所へ行ったり、仲が良くないとできないと思うんです。そういうところが魅力ですし、車中泊をすることで仲がより深まっていく気がします。

てっちゃん:いいことを言うね(笑)。

あーちゃん:私たちにとって車中泊はイベントではなく、“日常”なんです。

てっちゃん:僕が考える車中泊の魅力は、自分のタイミングで行動できること。何かに縛られることなく、眠りたい時に眠れます。あと、お酒が好きなのですが、車で普通に出かける時って行き先で飲めないじゃないですか。でも、車中泊ならそれも可能です。例えば道の駅に気に入ったお店があった場合、「じゃあ、ここで飲もうか」という具合に融通がききます。

 旅行の場合、新幹線や飛行機に乗る時間が決まっていたり、ホテルのチェックインやチェックアウトがあったり、なんだかんだで縛られますが、車中泊にはそれがない。それが僕らに合っているのかもしれません。

<取材・文/浜田哲男>

【浜田哲男】

千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界を経て起業。「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ・ニュース系メディアで連載企画・編集・取材・執筆に携わる。X(旧Twitter):@buhinton