「和室を子供部屋にしたい」「介護ベッドを置けるようフローリングにしたい」「和室を洋室にして、リビングダイニングを広げたい」など、ライフスタイルや家族の成長、人数の変化にともない、和室を洋室にリフォームすることを検討される方は多いのではないでしょうか。

ここでは、和室を洋室にリフォームする具体的な方法や費用、ポイントや注意点、実例を詳しくご紹介します。

予算やリフォーム後の使い方をイメージしながら、暮らしに合ったリフォームをする際の参考にしてみてください。

1.【工事内容別】和室を洋室にリフォームする費用相場

リフォームパターン
費用相場
畳をフローリングへ変更 10〜30万円
壁・天井を張り替えるリフォーム 10〜25万円
押入れをクローゼットにリフォーム 11〜20万円
ふすまを洋室の建具へリフォーム 2~15万円
和室全体を解体して洋室へ全面リフォーム 25〜90万円
リビングダイニングと隣接する和室を繋げるリフォーム 25~140万円

和室を洋室にリフォームする費用は、どこまで洋室に近づけるかによって異なります。

畳をフローリングに変えるだけのリフォームから、和室全体を解体して完全に洋室にするリフォームまで幅広いパターンがあるため、予算に応じてリフォーム範囲を決めましょう。

部分的にリフォームするだけの場合から、間取りや収納まで手を加える全面リフォームまでよくあるリフォームパターンを6つご紹介します。

畳をフローリングへリフォーム【10〜30万円】

出典:https://www.8044.co.jp/gallery/312

和室の畳をフローリングにリフォームする費用は10~30万円(6畳)が相場です。

和室を洋室にリフォームするなら、最低限行いたいのが床のリフォームです。

介護用ベッドを置いたり、ご年配の方が過ごしたりする予定なら、畳よりも足元からの冷えを感じやすくなるため、フローリング材の下に断熱材を入れることもあわせて検討しましょう。

床材にどのような素材を使うかによっても、費用が大きく変わります。費用を安く抑えられるのは、カーペットやクッションフロアなどの素材です。一方で、無垢フローリングになると費用は高くなります。

和室の畳をフローリングにリフォームするには?費用と注意点

壁・天井を張り替えるリフォーム【10〜25万円】

出典:https://freshhouse.co.jp/case/2568/

和室の壁・天井を壁紙(クロス)に張り替えるリフォームの費用は10〜25万円が相場です。

和室は土壁や砂壁などになっていることも多いため、洋室にリフォームする際は、壁や天井を壁紙に張り替えることが多いです。壁紙(クロス)はデザインが豊富なうえに、消臭・抗菌作用のあるものやペット対応のものなど機能性に優れた商品も多く、用途に応じて選ぶことができます。

壁紙以外にも、珪藻土や漆喰などの塗り壁仕上げや、ペンキ塗りにする方法があります。また、天井はプリント合板や天然木化粧合板などに張り替えたりする方法も。叶えたい部屋の雰囲気や予算に応じて、検討しましょう。

【プロ直伝】和室の壁リフォームのすべて 費用や期間、選び方など

押入れをクローゼットにリフォーム【11〜20万円】

出典:https://freshhouse.co.jp/case/20538/

押入れをクローゼットにリフォームする費用は3〜20万円が相場です。

押入れは、布団などを入れるために奥行きが90cmほどに設計されています。そのため、部屋を洋室にリフォームする場合、押入れのままでは奥行きがありすぎて使いにくくなってしまいがち。クローゼットの奥行きは60cmが基本ですので、押入れをクローゼットにリフォームすれば、部屋を30cm分広くできます。

また、リフォーム時に合わせてやっておきたいのがカビや湿気対策です。防カビ用の壁紙を使ったり、押入れの壁を解体する際に断熱材を入れて結露対策をするのがおすすめです。

もっとコストを抑えたい方は、押入れの棚を外してハンガーパイプを取り付けるのみなど、3万円~できる簡易的なリフォームも検討しましょう。

押入れをクローゼットにリフォーム!費用相場やポイントを完全解説

ふすまを洋室の建具へリフォーム【2~15万円】

ふすまを洋室の建具へリフォームする費用は、1枚あたり2~15万円が相場です。

和室のふすまを洋風建具に変更すると、印象が大きく変わります。

コストを抑えられるのは、今あるふすまの枠をそのまま活かして引き戸に変えるケース。工事せずにDIYで交換できる商品も販売されているため、検討してみるのも良いでしょう。引き戸用の敷居に交換する場合、既存枠の撤去や新規枠の取付工事が必要です。

部屋のプライバシーを重視する場合、開き戸に交換するのもおすすめです。開き戸は気密性が高いため音漏れしにくくなり、冷暖房効率も高まります。ただし、既存の枠は活用できないため、費用は高くなります。

和室全体を解体して洋室へ全面リフォーム【25〜90万円】

出典:https://freshhouse.co.jp/case/30673/

和室全体を解体して、完全な洋室へ全面リフォームする費用は、25〜90万円が相場です。

和室全体を完全な洋室にリフォームする場合、既存の壁の種類によってはつくり変え工事が必要な場合があり、費用が大きく変動します。

木造戸建て住宅に多く見られる、梁や柱が露出した「真壁づくり」の和室では、柱などが見えない「大壁」につくり変える工事が必要なため費用が高くなりがちです。一方、RC造のマンションなどにおいては、はじめから「大壁」の和室であることも多いため、壁の解体やつくり変えが不要になり費用が抑えられます。

リビングダイニングと隣接する和室をつなげるリフォーム【25〜140万円】

出典:https://www.8044.co.jp/gallery/468

リビングダイニングと隣接する和室をつなげるリフォームの費用は、25〜140万円が相場です。

昔ながらの家は部屋が細かく分かれていて、どうしても開放感が感じにくい間取りが多くなっています。リビングダイニングと和室が隣接する場合、間仕切り壁を撤去した上で洋室化すると広々と使えるでしょう。

必要な工事は、間仕切り壁の撤去と畳からフローリングへの張り替えです。

リビング側も含めて床・壁紙全体を張り替えると、コストは100万円を超えますが、より一体感が生まれます。予算があれば検討してみるのもよいでしょう。

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2.和室を洋室にリフォームする際のポイントや注意点

和室を洋室にリフォームする場合には、費用だけでなく暮らしやすさも考えて素材を選んでいきたいところです。

ここからは、洋室にリフォームする場合に選べる壁紙や床材の特徴を注意点も交えながらご紹介します。

壁紙は用途に合わせて選ぶ

壁紙は色や柄のバリエーションが多いだけでなく、壁紙自体に機能性を持たせたものが豊富にあります。

機能性のある壁紙の種類

汚れや傷に強い壁紙

ペット対応壁紙

抗ウイルス壁紙

抗アレルギー壁紙

消臭、抗菌壁紙

吸放湿壁紙

通気性壁紙

たとえば、介護のためのリフォームをするなら、ウイルスの増殖を抑制するタイプや調湿機能のある通気性の高いタイプの壁紙がおすすめです。また、ペットがいる家なら、引っ掻きキズなどにも強いタイプを選ぶと壁紙がボロボロになるのを防げます。

ほかにも、クローゼットの中に使うなら湿気をコントロールしたりカビの発生を抑えてくれる調湿作用のあるものや、珪藻土が練り込まれた壁紙を選ぶと良いでしょう。

壁紙(クロス)の失敗しない選び方|壁紙リフォームで理想のお部屋を実現!

床材は特性を考えて選ぶ

和室から洋室へリフォームする場合、床材選びもとても大切になります。

床材の種類

メンテナンス性や価格重視の「複合フローリング」

自然のぬくもりを感じられる「無垢フローリング」

価格をより抑えられる「クッションフロア、フロアタイル」

それぞれ特徴が異なるため、重視したいものに応じて採用しましょう。

メンテナンス性や価格重視なら複合フローリング

フローリングの中でもお手入れのしやすさや価格の安さで選ぶなら、複合フローリングがおすすめです。

複合フローリングは、合板などの表面に突板や挽板といった化粧材や木目模様がプリントされたシートを貼り合わせて作られています。

特に天然木の挽板が使われている複合フローリングは、見た目が無垢フローリングと遜色ないため、木の風合いを楽しみながら安価に抑えたい方におすすめです。

<複合フローリングが向いている人>

木の風合いが欲しいけれど価格を重視したい人

メンテナンスやお掃除しやすい床材にしたい人

自然の温もりや足触りを重視するなら無垢(単層)フローリング

床材の中でも、足触りが温かく柔らかいのが無垢フローリングです。樹種によって柔らかさが異なるので、好みの床の硬さを選べます。

また、無垢材ならではの風合いを楽しむことができる点も魅力です。

一方で、無垢フローリングには防音性がありません。そのため、防音規定のあるマンションで取り入れる際には、防音材を入れる工事をあわせて行う必要があります。(詳しくは「2-3.マンションの場合は防音性に注意する」をご覧ください)

また、無垢材はキズが付きやすいため、車椅子や介護用ベッドを置く際には注意しましょう。

<無垢フローリングが向いている人>

無垢材独特の風合いや経年変化を楽しみたい人

スリッパなしで過ごしたい人

フローリングの種類を徹底解説|自分好みのフローリングを選ぼう!

価格をより抑えるならクッションフロアやフロアタイル

より価格を抑えたいなら、クッションフロアやフロアタイルも検討してみましょう。

クッションフロアやフロアタイルはデザインが豊富かつ安価、さらに水や汚れに強い点が魅力的。一方で、ビニール素材のため通気性が悪い点がデメリットです。

介護用ベッドや子どもの学習机などを置く際には、柔らかいクッションフロアより家具の跡がつきにくいフロアタイルを選ぶのがおすすめ。ただし、クッションフロアよりも価格は高めであるため注意しましょう。

最近では、大理石調や木目調、コンクリート調などデザインも豊富にあります。色や幅、貼り方によっても空間の印象が大きく変わりますので、壁紙や部屋に置く家具などもイメージしながらコーディネートを楽しんでみましょう。

<フロアタイル・クッションフロアが向いている人>

水拭きして掃除をしたい人

費用を安く抑えてリフォームしたい人

豊富なデザインから選びたい人

マンションの場合は防音性に注意する

マンションの和室を畳からフローリングに張り替える際には、床材の防音性も必ず確認しておきましょう。

一般的に、マンションでは管理規約で床材の遮音等級が定められています。遮音等級とは下の階への音の響きにくさを表すもので、定められた基準に合った床材を選ばなければ工事の許可が下りません。

管理規約を事前によく確認して、リフォームの計画を立てましょう。

【マンションの床リフォーム】張り替え前の注意事項|工法・種類・費用を確認

使える補助金を確認する

和室から洋室へリフォームする際には、リフォーム補助金を使える場合があります。2025年3月時点で活用できる主なリフォーム補助金は次のとおりです。

対象や補助金申請の流れなどの詳細は、各公式ホームページを確認してみてください。

補助金制度
対象工事
補助金額
介護保険制度 例)

・和室の入口の段差解消

・介護のために洋室にした場合の手すりの取付け

※手すりの取付け/段差の解消/滑り止め、床材の変更/引き戸等への扉の取替え などのバリアフリー工事が対象

上限18万円

※所得に応じて給付額が異なる
子育てグリーン住宅支援事業 例)

・フローリングに張り替える際に床に断熱材を入れる

・和室の入口の段差解消

※必須工事である省エネリフォームと同時に行うバリアフリー改修も補助対象

上限40~60万円

他にもお住まいの自治体の補助金制度が利用できることもあるため、リフォーム前に自治体のホームページなどを確認してみましょう。

【2025年度の情報も】リフォームで使える補助金を一覧で紹介!申請方法も解説