2025年4月13日に開幕する大阪・関西万博の公式ガイドブックについて、制作途中のイラストが掲載されてしまったとして、大阪府や国が作る日本国際博覧会協会が発行元として公式サイトで謝罪した。

公式ガイドは、国連の旗が間違っていたなどと訂正されたばかりだった。万博を巡っては、建設工事の遅れなどが度々報じられており、運営のずさんさを指摘する声も出ている。

「いろいろ不手際を言われてきた大阪万博ですが…」

「前代未聞な事が起きました!」。イラストを提供した絵本作家の青山邦彦さん(59)がXへの投稿でこう明かしたのは、3月26日のことだ。

投稿によると、青山さんは、未来都市のイラストを描いていたが、制作途中で「レイアウト検討のために必要」と言われ、制作途中のものをスマホで撮って編集部に送った。しかし、完成品ではないまま、ガイドに載ってしまったという。

完成品との比較写真を見ると、飛行機の黄色い部分やヘリの青色が塗られていなかったほか、ビルの窓や木の葉の色もまだ薄いままだった。

公式ガイドは、19日にすでに3080円で発売されており、青山さんが編集部に知らせると驚いていたという。投稿では、「善処して下さる事を切望します!」と訴えた。その後も、「一石世の中に投じたつもりが、かなりの恥さらしになってしまいました」「いろいろ不手際を言われてきた大阪万博ですが、まさか自分にも降り掛かるとは思ってもみませんでした」と嘆いた。

そして、27日になって、発行元の日本国際博覧会協会副会長を務める大阪府の吉村洋文知事が、記者団の前でイラストの誤りを認め、「作家の方の大切な著作物であり申し訳ない」などと陳謝した。

協会も28日、「お詫びとお知らせ」を公式サイトで出し、「制作者の方の意図に反して制作途中のイラストを誤掲載した」と認めて謝罪した。販売中のガイドについては、完成品を載せた訂正表を差し込み、重版では完成品を載せるなどの対応をすることを明らかにした。

公式ガイドを制作したJTBパブリッシングも同日、公式サイトで謝罪したうえで、イラストを誤るまでの経緯を説明した。

(広告の後にも続きます)

「どんだけ杜撰な仕事してるんだよ」「本当に懸念だらけ」

それによると、青山さんに下書き段階のイラストを写真に撮って送ってもらい、ページデザインの制作に使用した。しかし、校正の過程で、印刷会社とのデータ確認が不十分だったため、その後に預かった完成版に差し替えることなく発行してしまったという。また、イラストには、編集者が書いた文章に一部誤りがあったとして、これも合わせて訂正した。

制作途中のイラストを掲載したことについて、ネット上では、「これは経験あるな」との声も出たものの、厳しい意見が多い。「どんだけ杜撰な仕事してるんだよ」「お粗末としか言いようがない」といった声のほか、「関西万博 本当に懸念だらけ」などと今後を危ぶむ向きもあった。

イラストを手がけた青山さんは、協会などから謝罪が出ると、「半年続く博覧会ですから、開催前の失敗が払拭されるくらいの成功を切に祈ります」とXでフォローしていた。

協会の広報報道課は3月28日、J-CASTニュースの取材に対し、青山さんから2月5日に制作途中の画像が下請けの編集プロダクションに送られ、完成品は同10日に届いたとJTBパブリッシングから聞いたと明かした。そのうえで、「作者の方の完成品を元来載せるべきところ、途中段階のものを載せてしまって申し訳なく思っています。ご購入された方にきちんと見せられなかったことも、お詫びしたいです」と話した。

公式ガイドを巡っては、3月21日にも別の誤りがあったとして、JTBパブリッシングが公式サイトで謝罪したばかりだ。協会によると、国連の旗の色が違っていたほか、イスラエルやパレスチナの首都についての注釈で誤記があったという。協会では、「公募して委託した出版社で起きたことについて、私どもの責任は当然あると認識しています」と自らの非も取材に認めた。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)