フジテレビと親会社のフジ・メディア・ホールディングス(FMH)は2025年3月27日、大幅な役員入れ替えを発表、40年以上もフジサンケイグループを支配してきた日枝久氏(87)が取締役を退任することになった。中居正広さんの女性トラブルを幹部たちが見て見ぬふりをしていたのも、日枝氏からとがめられるのを恐れたからだという指摘もあった。

経営刷新案は金光会長が書面で見せただけ

その絶対権力者の取締役退任で本当に経営は刷新されるのか。院政が敷かれるのではないかという指摘もある。27日のフジテレビ系の情報番組「めざまし8」が懸念したのもそのことだった。

番組の総合解説で、この1月までフジテレビ解説委員だった風間晋氏は「(日枝氏が)退任するということが実現されたっていうのは、とても大きいこと」と評価しながらも、心配そうにこう語った。

「(FMHの)金光修社長の(記者発表での)発言を聞いていて、オッと思ったのは、『(日枝相談役から)経営刷新を任せるといわれました』って言うだけで、ちゃんと言ってないんですよ、日枝相談役が『俺は辞めるって言いました』というふうには」

日枝相談役が本当にフジテレビの経営から身を引くつもりなのか、まだはっきりしていないというのだ。風間氏は「日枝相談役が自分の意志として辞めると言ったのかどうかは、ちょっとわかんないところがある。それって、将来的にいやらしくないかって思ったりしますよ」と言い、「現経営陣の言い方にもやもやした感じが残っているんです」と不満げだ。

これにコメンテーターのカズレーザーも、「それは私も感じますね。退任しちゃう方なんだから、あの方に責任があったとはっきり言っちゃったほうが、信頼回復にはつながると思うんですよね」と同調した。

日枝氏は腰椎骨折で入院中、今回の経営刷新案についても、金光会長が書面で見せただけという。

(広告の後にも続きます)

「よくぞ本当にここまでたどり着いた」

「信頼回復のためにできる限り早い方がいいという判断」。この日の取締役会後、報道陣の取材にそう語ったFMHの金光修社長とフジの清水賢治社長が秘密裏に進めてきた人事だった。清水氏は「よくぞ本当にここまでたどり着いたというのが、本当に私の実感です」。女性の登用や若返りも打ち出した。ある社外取締役は「文句の付けようのない人事ではないか」とみる。

今回の人事の焦点は、41年間にわたり取締役としてフジの経営に関わり、人事などに大きな影響力を持つフジの象徴・日枝氏の退任だった。