高額献金の勧誘などが問題化していた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対して、東京地裁が2025年3月25日、解散命令を出したことを受け、全国統一教会被害対策弁護団の弁護士3人が3月28日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で会見を開いた。
教団の田中富広会長らは前日の3月27日に同じ場所で会見したばかり。教団側が展開した主張について「でっち上げか誇張」などと批判した。
教団主張「法人というものも、人権享有主体性が基本的には認められている」
解散命令は、宗教法人としての法人格を失わせる手続き。法人格がなくなれば、法人名義で財産を所有することができなくなる。法人格がなくなれば、税制優遇を受けることもできなくなる。ただ、法人格のない任意団体としては存続可能だ。そのため、教団側が憲法で保障されている宗教の自由と関連づけて解散命令を批判していることに対する疑問も出ている。
前日の3月27日の教団会見では、田中富広会長が
「教団が持っている全ての資産が没収されることになる」
「私たちのあらゆる人権を守るための行動が不可能になる」
などと主張。
近藤徳茂(のりしげ)法務局副局長は、法人としての人権が侵害されると主張した。
「個人の信教の自由だけが取り沙汰される傾向があるが、実は法人というものも、人権享有主体性が基本的には認められている。宗教法人も、やはり信教の自由の人権享有主体であると考えられるので、宗教団体を解散するということ自体が信教の自由に対する侵害であると言える」
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法人格消滅は「宗教団体についての死刑ではない」
被害対策弁護団とは見解が真っ向から対立している。紀藤正樹弁護士は、
「解散命令は税制優遇を受けられる法人格をなくすに過ぎず、信教の自由は許されている。宗教法人としての法人格がなくなることは、宗教団体についての死刑ではない。この点における統一教会の主張は、でっち上げか誇張だ。解散命令は財産の没収ではなく、単なる清算手続きだ」
などと指摘した。
清算手続きは、地裁の決定を高裁が支持して確定すると、裁判所が選任した清算人によってスタートする。弁護団は、清算に関する法の規定があいまいで、手続きに時間がかかっている間に被害者救済に支障が出るおそれがあるとして、特別措置法などの立法を通じて(1)清算人の権限を明確にする(2)複数の清算人の選任を可能にする、ことなどを求めている。
法人としての人権については、阿部克臣弁護士が否定的な見解を示した。
「それは日本では一般的な解釈ではない。宗教法人というのは、個人の信教の自由というものが保障されていて、個人や団体の信教の自由を、それ保障に資するためにその法人に財産帰属主体として認めたと…。そういう制度になる」
(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)