
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:「豊洲に住んでいる」と33歳男が言った途端に、デート相手の女が戸惑ったワケ
いつから、私の恋愛はうまくいかなくなったのだろうか。
それは年齢のせい?それとも、私の経験値が上がってしまったせい?
今回こそ、うまくいくと思っていた。2歳年下の和樹とは丸の内で飲んでいる時に声をかけられ、向こうは「すっごい綺麗ですね」と何度も言ってきた。
だから、見た目は合格点だったはず。
でも二度デートをして以降、和樹から連絡が来ない。
それなりに仕事も頑張ってきて、自立もしている。大手日系企業という信頼を活用し、ローンを組んで昨年マンションも購入した。
金食い虫でもないし、彼氏にワガママも言わないし、人としてそれなりに気も使えるほうだと思う。
デートの時だってそうだ。相手に迷惑をかけたり、負担になるようなことはしていないと思う。
それなのに、どうして和樹からは連絡が来なくなってしまったのだろうか…。
Q1:初デートで、女がすべきだったことは?
和樹と出会ったのは、金曜夜の丸の内だった。後輩の花ちゃんと二人で飲んでいると、男性二人組に声をかけられた。
「良ければ、一緒に飲みませんか?お二人、すごい綺麗だったので、思わず声かけちゃいました」
最初は軽いナンパかと思って無視しようかとも思ったけれど、はっきり言うと、私は和樹の顔がものすごくタイプだった。
しかも花ちゃんもまんざらでもない感じだったので、結局この日は4人で飲むことになった。
聞けば証券会社に勤務しているという和樹は帰国子女で、そこまでもセットで私のタイプだ。
「美月さん、身長何センチですか?」
「私ですか?165cmですけど…」
「美人だし、スタイルも良すぎません?」
「いえいえ。和樹さんも、身長高いですよね?イケメンだし」
「本当ですか?嬉しいなぁ」
初対面なのにものすごく褒めてくれる和樹。もちろん連絡先を交換して、すぐに二人でデートをすることになった。
そして初デート、和樹は有楽町にある、中華料理とスペイン料理の融合が楽しめる名店『テクストゥーラ(TexturA)』を予約してくれていた。
有楽町デートと聞いて、このお店を指定してくれるとすごく嬉しい。でもハイエンドな内装ながらも、どこか肩肘張らずに楽しめる…この絶妙な塩梅は、まさに初デートの正解だと思う。
「この前は、急に話しかけちゃってすみません。後輩の女の子…花さんでしたっけ?あの後大丈夫でした?」
「まったく!花ちゃんも楽しんでいたみたいですよ。そうそう、和樹さんの後輩の方と今度ご飯行くって言っていました」
「マジか!あいつ、やるなぁ」
そんな世間話から始まったデートだけれど、和樹は今日もカッコよかった。しかも相変わらず、ストレートにくる。
「美月さんって、本当に美人ですよね。よく言われると思いますけど」
「本当に、褒め上手ですよね」
「そんなことないですよ、本心ですよ」
ここまで褒めてもらうと、なんだかくすぐったい。
それと同時に、少し身構えてしまう。
― この人、遊び人…?
楽しみにしていた、名物の「パエリア」を食べながら、私は思わず目を伏せる。
35歳になる私は、遊び人に引っ掛かっている暇はない。真面目で、ちゃんと向き合って将来を考えてくれる人に時間を費やしたい。
「あの、和樹さんっていつもそういう感じなんですか?」
「え?」
「いや、女性慣れしていらっしゃるなぁと思って…」
すると、和樹は驚いたような顔で私の方を見てきた。
「そう見えます?美月さんって、面白いこと言いますね」
「え?そうですか?」
なんだか会話がふわふわとしていて、思わず二人で笑ってしまった。
「美月さんって…僕と同じ歳くらいですかね?敬語、やめませんか?」
「私は35歳です。和樹さんは?」
「僕は33歳なので、僕の方が年下ですね」
「そっか、年下か…」
2歳年下となれば、敬語でなくても良いのかもしれない。でも人見知りで気遣いの塊のような私の性格的に、初対面というか、まだ二度目の人に対して敬語を使わずに話すことなんてできない。
「敬語は…もう少し仲良くなったら、なしにします」
「美月さんって、真面目なんですね。そういう感じ、嫌いじゃないですけど」
からかわれているのかとも思ったけれど、今日和樹と話していて、わかったことがある。
彼は一見チャラく見えるけど、意外にいい人だ。そしてただ人との距離が近いだけで、社会人として、男性としてはちゃんとしてそうな気がする。
「美月さん、またすぐにデートに誘ってもいいですか?」
「はい、もちろんです」
そしてちゃんと、和樹は二度目のデートもすぐに誘ってきてくれた。
Q2:男が二度目のデート以降誘ってこなくなった理由は?
二度目も和樹は変わらず、紳士だった。しかも前回家の場所の話をしたのだが、和樹は私の家に近いエリアのお店を予約してくれていた。
「美月さんのお家、お近くですか?近いほうがいいかなと思って」
「お気遣いありがとうございます。そうですね、ここから徒歩10分くらいですね。2年前にマンションを買って…」
実は、ローンを組めるうちに組んでおこうと思い、思い切ってマンションを購入した。賃料を支払うなら、購入したほうがいいかなと思ったからだ。
「え!すごいですね」
「全然ですよ。老後のための投資です」
「素晴らしいですね…」
そこからなぜか、投資などの話になった。でも私はお金の話をするのが嫌いではない。しかもうっかり、このお金の話で和樹と盛り上がってしまった。
「美月さん、老後に対する備えがすごくないですか?(笑)」
「この先、ひとりかもしれないので(笑)。その辺りは、抜かりなく」
でも、ふと気がついた。
デートでこんな話をするなんて、色気がなさすぎる。そこで慌てて次の話題を探そうとしていると、和樹のほうから話を振ってきてくれた。
「すごいな〜。じゃあ美月さんって、普段週末とかは何されているんですか?」
「何をしているかな…とりあえず午前中は家事をしたり?夜は友達と飲むこともありますが、家にいることも多いかな。和樹さんは?」
「僕は似たような感じですが、夜は大体友達と飲んでいますね」
「家でも飲むんですか?」
「まぁ、たまに。美月さんは?」
「私は家では一滴も飲まないです。外では飲むんですけどね」
そしてこの日は、お互いのプライベートのことも結構知れたと思う。前はまだ距離があったけれど、今日はもう少しだけ近く感じる。
「今さらですが、美月さんって今彼氏とかいるんですか?」
「いないですよ。もう4年くらい、いないかもです」
「え!そうなんですか!?こんな綺麗なのに…美月さんほどの美女、放っておかなくないですか?」
「そんなことないですよ〜」
正直、こうやってデートは繰り返すものの、最近はその先に進む機会が減ってしまった。でもこのことは、さすがに和樹には黙っておこうと思う。
「和樹さんは、モテそうですよね」
「いや、どうでしょう。普通ですよ」
そんな感じで、二度目のデートも楽しい雰囲気で終わることができた。
「今日も楽しかったです!ありがとうございます。あと、ご馳走さまです。和樹さん、お会計おいくらでした?」
「いやいや、大丈夫ですから。ここは払わせてください」
「じゃあお言葉に甘えて…ありがとうございます」
「美月さん、途中で下ろすのでタクシーに一緒に乗っていきませんか?」
一瞬、通り道なら乗っけてもらおうかとも思ったけれど、お腹もいっぱいだし少し歩いて、夜風に当たりたい気分だった。
「運動も兼ねて、少し歩きます。ありがとうございます」
「わかりました。夜道、気をつけて下さいね」
「和樹さんも。ありがとうございました」
こうして、手を振り合って解散した。
◆
しかしこの二度目のデート以降、なぜか和樹から連絡が来ない。
思い返しても、失礼なことはしていないと思う。お礼もちゃんと言えているし、何も悪いことはしていないはず。
それなのに、どうして彼から連絡が来ないのだろうか…?
▶前回:「豊洲に住んでいる」と33歳男が言った途端に、デート相手の女が戸惑ったワケ
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
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男が二度のデートで悟ったことは?