
画像はイメージ(Ianaré Sévi/ Wikipedia Commons )
エジプトのアスワン近郊で発掘された10体のミイラ化したワニに関する新たな研究で、X線分析によって胃の中の内容物が明らかとなりました。
学術誌『Digital Applications in Archaeology and Cultural Heritage』に掲載されています。
胃の中から魚のミイラと釣り針
ミイラ化したワニが最初に発掘されたのは、2019年のことです。
スペインのハエン大学の研究チームが、アスワン近郊のクバン・エルハワ遺跡で、状態の良い10体のワニのミイラを発見しました。
その研究成果は、2023年にオープンアクセス専門の出版社「PLOS ONE」で発表されています。
今回、新たにイギリス・マンチェスター大学の考古学者リディア・マックナイト博士を中心とする研究チームが、ワニのミイラを再調査。
X線スキャン技術を用いて内部構造を詳細に分析した結果、胃の中に30㎝のミイラ化した魚と金属製の魚釣り針が含まれていることが判明しました。
体長約2.1mのワニは死の直前に魚を食べていたと考えられ、魚はほぼ消化されていないことから、ワニが食後間もなく死亡した可能性が高いと研究者は指摘しています。
古代エジプトでは、ワニは神「ソベク」の化身として崇拝され繁栄の象徴とされていたほか、エジプト人にとっては恐ろしい捕食者であり、死と生の世界を象徴する存在でもありました。
消化されていない魚の存在は、ワニが宗教儀式の供物として狩猟され、すぐに殺されてミイラにされたことを示唆しているということです。
この進展に対し、ネット上では「ナイルにいる大型のワニだよね」「とても重要なことに焦点があたったね」といった意見が見られました。