千葉市のラブホテル「3分の1以上は不倫客」社長が告白。不倫客が増える“意外な曜日”も

千葉市中央区で「ミンナノホテル」「ホテルウキウキ」「ホテルミスト」などラブホテル5店舗を経営するトミーホテルグループ支配人の富田雄太さん(43歳)に不倫をテーマに取材を試みた。

◆不倫と思えるカップルが増える曜日とは

トミーグループのラブホテルはいずれも防犯の観点や警察の助言により、敷地内の駐車場やホテルの出入り口、エレベーター、廊下に防犯カメラを設置している。利用者が入る部屋にはない。

カメラで撮影する映像がバックオフィスのモニターに映し出されると、スタッフは利用客の部屋までの動きを確認する。富田さんは車から出た時の男女の恰好、しぐさ、廊下の歩き方、部屋の出入りの仕方から不倫の可能性を感じる場合があるという。

「可能性が高いと思えるケースは男女が別々の車で入ってきて、それぞれが1人で部屋に入ったり、1台の車で来ても部屋まで数メートルの間隔をおいて歩く時です。

歩きながら周囲を見渡し、警戒している雰囲気のケースも不倫かもしれません。男性のほうが、マスクやサングラスで顔を隠す傾向があります。

最近は、年齢がとても離れているカップルが増えてきました。男性は40~50代のイケてる感じで、女性は10代後半から20代でしょうか。これも不倫の可能性があるかと思います」

不倫と思える2人は、平日の午前11時から午後3時が最も多い。特に水曜日が増える。満室になる時も頻繁になり、売上がほかの曜日より多くなる。

「土日は仕事が休みなので家族とくつろぎ、週の半ばで会うようにしているのでしょうかね。ただし、芸能人の不倫が週刊誌などで公になると水曜日であろうとも、不倫と思えるお客さんは減ります。しばらくすると、また元のペースに戻りますが」

◆ワンガレージ・ワンルームのホテルで起きやすいトラブル

富田さんが経営する5店舗の中には、ワンガレージ・ワンルームのホテルもある。

1部屋に1つの駐車場があり、車庫から部屋に直接入れるのだが、ここで起きやすいトラブルがある。

不倫のような男女2人が駐車し、部屋に入ると、その後をついてきたかのように車が駐車場に入ってくる。そこから人が出てきて部屋に向かい、ドアを激しくたたいたりする。室内にいる男女とドア前で言い争いになる時があるそうだ。

「女性が2人を追いかけてくるパターンが多いですね。夫が不倫をしているかもしれないと察し、尾行してきたのかもしれません。

3人で言い争っていた時、その1人からフロントに電話が来たので私が伺い、仲裁に入ったことがありました。警察を呼ぶ場合もあります。中途半端な形で仲裁に入るよりも、警察がいるほうが冷静に話し合えるためです。

後をつけてきた女性が車を止めたまま、室内から2人が出てくるのを待っているケースもありました。この場合は私たちがホテルの敷地外に車を出していただけませんか、と頼みます。利用客以外の人の車を駐車できないことにしていますから」

◆お客さんの約3分の1が不倫関係か

一方で男性が車で乗りつけ、部屋に向かう男女を足早に追いかけるケースもあった。

男女は室内に入ったのだが、ドア前で「開けろ!」と怒る男におびえたのか、フロントに警察を呼んでほしいと頼んできた。フロントが警察に連絡を入れ、パトカーが現れるとドア前で怒っていた男はそそくさといなくなった。

ここまで問題化するケースは少数で、多くは仲睦まじくホテルを後にする。富田さんはラブラブな2人を見ると、感謝の思いを強くする。

「弊社のラブホテルを利用するお客さんの約3分の1、多い時期は半数近くが不倫なのではないかな、と思います。不倫については色々な意見があるのでしょうが、経営する立場からすると、ありがたいです」

◆探偵事務所か、信用調査機関の職員か

防犯カメラを見ていると時折、不審な車を発見する。駐車場内や付近に数時間止まっている。人が出てくる気配がない。そばに行き、「入室していただけるのですか?入室されないならば、駐車されると困ります」と丁重に伝える。

車中にいるのは通常は男性が1人、もしくは2人。ほとんどが、「わかりました」と離れていく。名刺を出したり、会社名や氏名を名乗ることはない。車は敷地外には出るが、その後も道路に止まっている時がある。

富田さんは男性の落ち着いた態度からして不倫の調査をする探偵事務所か、信用調査機関の職員ではないか、と思っている。

フロントに電話が入り、「こういう男性がそちらのホテルにいませんか」と尋ねられることもあった。名前を名乗ることはないが、電話の声は女性が多い。

ホテルとして利用客について尋ねられても一切応じないことにしているため、「お答えはできません」と丁重に答える。ほとんどが、その時点で電話が切れる。

◆パート社員たちが不倫していたことも

富田さんが驚き、困ったのが、パート社員たちがホテル内で不倫をしていたことだった。

20代の独身の男性と、夫や子どもがいる40代の女性のコンビが午前4時頃、ある部屋に入ったまま出てこない。その日は、お客さんが少なかった。

「不審に思い、私が部屋に入ったら行為の最中でした。ビデオをつけたまま。勤務時間中ですからね。2人は、室内を掃除するといった理由で部屋に入ったはず。

こんなことでは、大変に困ります。そのあたりの従業員教育はきちんとしてきただけに、ショックでした。これを機に2人とも辞めました。今は、そんなペアはいないと信じています」

◆ここでは“不倫のお客さん”は当たり前

パート社員が働きはじめると、数か月間は富田さんと話す時に「不倫のお客さんが多いですね」と驚いた口調になるが、やがて何も言わなくなる。その後、話題になることはほとんどない。

「不倫のお客さんが多数いるのは、ここでは当たり前と思うのかもしれませんね。うちの売上の大きな柱ですから、私としては感謝の思いでいっぱいです」

富田さんは多くの人にトミーグループのラブホテルを選んでもらえるように、これからも料理、掃除などサービスに力を注いでいきたいと締めくくった。

不倫には様々な見方があるが、ラブホテルの最前線では歓迎する声があるのも事実だ。

<取材・文/吉田典史>

【吉田典史】

ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数