“車内”で焼肉やしゃぶしゃぶを楽しむ夫婦を直撃「魚を焼いていたら、若い警察官が…」職務質問かと思いきや、意外な理由だった

 北海道を舞台に車中泊の魅力を伝えるYouTubeチャンネル「てっちゃんあーちゃんねる@車中泊」。ご夫婦(夫:てっちゃん、妻:あーちゃん)が車内で作る豪勢な “車中飯”やほのぼのとした掛け合いで人気を博している。前回の記事に引き続き、今回は車中泊の際に職務質問されたエピソード、動画を制作するうえでこだわり、今後の目標などを聞いた。

◆「ミッドナイトパープル」のNSXで目立ちまくっていた

――お二人はいつ頃から車中泊を始められたのですか?

てっちゃん:10年ほど前です。あーちゃんと出会ったのも同時期ですね。ただ、付き合い始めた頃はバンではなく、スポーツカーでキャンプ場や釣りに行ったりしていました (笑)。ホンダのNSXでキャンプ場に行ってテントを立てていると、まわりにいた人たちが写真を撮りに集まってくるんです。

あーちゃん:他にそういう人がいませんでしたし、珍しかったんでしょうね(笑)。

――よほど目立っていたんですね。

てっちゃん:色をミッドナイトパープルに塗装していましたし、車高もめちゃめちゃ低くしていたんで。確か1メートルくらいしかなかったんじゃないかと(笑)。道の駅でもキャンプ場でも、どこに停めても目立ちまくっていました。

――車中泊をする場所は道の駅が多いですか?

てっちゃん:道の駅が多いですが、オートキャンプ場にも行きます。でも、道の駅が圧倒的に多いですね。オートキャンプ場に行く時はテントを立てたりもしますが、基本的に寝るのは車内です。

◆車内で魚を焼き、寿司も作る

――元々車が好きなんですか?

てっちゃん:今は北海道でバンドをやりながらライブハウスを運営しているのですが、昔は車の営業マンだったんです。高校を卒業して自動車メーカーに入社し、整備を10年間やって整備士の資格を取り、その後に8年間営業マンをやっていました。東京の支社に転勤の話をされたこともあるのですが、北海道から離れたくなかったので「それだったら辞めます」と言って退職して、ライブハウスの運営を始めたんです。

――コロナ禍にはライブができなかったでしょうし、運営は大変だったのでは?

てっちゃん:厳しい状況でしたが発想を変えて頑張りました。元々料理を作るのは得意だったので、「よし、ここはお弁当を作ろう」と(笑)。ライブハウスの入り口に友人に手伝ってもらいながらDIYでドライブスルーを作ってお弁当を売り始めたんです。近くの会社の社員の方々がお昼休みに買いに来てくれたりして……。自分含めて3人のスタッフで、1日80個くらい作って配達したりしていました。

――料理が得意だから車内でもいろいろなものを作るんですね。車内で焼肉やお好み焼き、しゃぶしゃぶなどを作って食べていますよね。家で食べるのとはまた違いますか?

てっちゃん:車内なので屋外で食べているわけではないですが、やっぱり家で食べるのとは気分が違いますし、それが醍醐味なのかなと。車内で魚を焼いたり、寿司を作ったりもしていますよ(笑)。

――動画を観ているといろいろなものを食べているので、そこが車内であることを忘れてしまうんです。キッチンにレンガのデザインの壁紙を貼ったりしていますし、どこかのレストランなのかな? って。

あーちゃん:それは視聴者さんにもよく言われます(笑)。

◆ハモを焼いていたら、警察官がやって来た

――車内での料理中、職務質問されているシーンも観ました。

てっちゃん:あれは一番最初に投稿した動画なんです。公園に車を停めて、ハモを車内の冷蔵庫から出して焼いていたら、若い警察官が僕らの車までやって来て「うゎ~すごいですね」ってびっくりしていました。「こういうのに興味があって、よくYouTubeとかで見るんですけど実際に初めて見ました」って(笑)。

あーちゃん:最初、警察官は「運転席の椅子が倒れていたので、何をしてるのかなと思って来たんです」と言っていたのですが、質問されたのはそれだけで、その後は「これっていくらくらいかかったんですか?」とか、車内に関することを聞かれて。

てっちゃん:俺らの車の中にかなり興味を持っていたし、ずっと話し続けるんじゃないかっていう勢いだったよね。

――今後は車内でどんな料理をしたいですか?

てっちゃん:何でしょうね……でも、たぶん何でも作りますよ(笑)。道の駅に美味しそうな肉があったので買って、道の駅の駐車場で窓を開けて焼いて食べていたら、「あの人たち、車の中で焼肉を食べてる」って子供にびっくりされた時もありました。普通に考えたら異様な光景だと思います。

 でも、車中泊の食事のシーンは豪勢にしたいというか、他の人が車内でやっていない料理をしたいんです。「こいつら、車の中でこれ作ってんのかよ」って思われるような料理を作る(笑)。

◆視聴者が本当にほしい情報を伝えられるよう意識

――車中泊をしている他のYouTuberと、いかに差別化するかを意識されている?

てっちゃん:そうですね。それと、僕らは情報バラエティを目指していて、テレビの情報バラエティ番組は研究がてらよく観ています。テロップの入れ方とかは参考にしていますし、オープニングから他のYouTuberが使っていない曲を挿入してみたり。自分はバンドをやっているので、自作の曲を挿入してみたり、いろいろ試行錯誤しています。

――確かに、道の駅をはじめとした観光スポットやそこで提供されているメニューなどの紹介の仕方が、情報バラエティ番組みたいだなと感じていました。そこはこだわっている部分ですか?

てっちゃん:他のYouTubeチャンネルで道の駅を紹介していたりするのを見ても、知りたい情報がなかったりするんです。なので自分たちのチャンネルでは、道の駅で売られているグッズや飲食店のメニューなんかを情報番組みたいに詳しく紹介したいなと。早送りで飛ばされることもあるかもしれませんが、かゆい部分に手が届くような情報を伝えられるように心がけています。

 視聴者さんは、道の駅の名称とかで動画を検索したりするんですよね。そういう方々がどんな情報を欲しているかといえば、道の駅でどんなものが売られていて、何が人気なのかといったことを知りたいと思うんです。車中泊とは少しはなれた周辺情報にはなりますが、そういうことも伝えたいなと。

◆サムネイルとタイトルに込めた気遣い

――どの世代の視聴者さんが多いですか?

あーちゃん:55歳~64歳の方が約44%と多く、男女比率は男性が約88%、女性が約12%です。

てっちゃん:キャンプ場や道の駅へ行くと、最近はキャンピングカーとかが多いです。乗っている人を見ると50代~60代の方ばかり。年を重ねるとそういう旅をしてみたいという気持ちになるんじゃないですか。自分も50代ですが、キャンプ場なんかにいると若い方ですから。

――今の50代~60代の方は一昔前とは違い、思考も見た目も若くてアクティブな方が多い印象です。

てっちゃん:そうだと思います。YouTubeチャンネルもその世代の方々を意識して作っていますしね。先ほども話しましたが、だからこそ動画でしっかりとした情報を伝えていきたいなと。せっかく動画を観てもらっても、情報が不足していてその後にググったりするのであれば手間がかかってしまいますからね。

 サムネイルには「車中泊」というワードを入れていますし、キーワード検索で引っかかりやすいように、動画のタイトルには必ず「北海道、車中泊、道の駅の名称」の順番で入れています。多くの方が「北海道のどこどこにある道の駅」みたいな感じで検索するじゃないですか。

――北海道各地で車中泊をされていますが、やはり北海道というエリアは全国的に見ても魅力的。

あーちゃん:夏はキャンプ場に地方からたくさんの人が来ていましたし、キャンプや車中泊をする場所として北海道は人気があると思います。

◆いずれ視聴者と交流するイベントをやりたい

――今後の目標やチャレンジしていきたいことなどはありますか?

てっちゃん:チャンネル登録率ってあるじゃないですか。大体のチャンネルが0.3%~0.5%くらいで1%だと高いと言われているのですが、僕らのチャンネルは1%あるんです。なので、一度観てもらえれば登録してくれる方が多いのかなと。動画がバズったことはないのですが、一度観ていただいた方の満足度みたいなものは高いということなので、とにかく多くの人に動画を観てもらいたいですね。観てもらえればチャンネル登録者も増えていくと思います。

あーちゃん:私は視聴者さんに会ってみたいです。盛大じゃなく、こじんまりとした感じでいいので、視聴者さんに会うイベントを開催してみたいなと。

てっちゃん:やるとなったら盛大にやるよ(笑)。

あーちゃん:毎回コメントをくれる方たちにお会いして、日頃の感謝を伝えたいですし、楽しい時間を過ごしたいです。

<取材・文/浜田哲男>

【浜田哲男】

千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界を経て起業。「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ・ニュース系メディアで連載企画・編集・取材・執筆に携わる。X(旧Twitter):@buhinton