新しいことを学ぼうと決意したものの「なかなか続かずに挫折してしまった……」という経験は、誰にでも思い当たる節があるのではないでしょうか。一方で、「富裕層で学習を続けていない人はいない」と田中渓氏は言います。学習の習慣化を成功させる3つのポイントについて、田中氏の著書『億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド』(徳間書店)より一部抜粋・再編集し、詳しく解説します。

習慣化のコツは「死ぬほどハードルが低いことを1日15分」

今まで学習の習慣がない人に、いきなり「毎日1時間勉強しましょう」といってもまずうまくいきません。

学習をするうえで最優先すべきは、やはり習慣化。効果が表れる前に挫折してしまう人がほとんどだからこそ、どんなに短い時間でもコツコツと学習を継続することで複利の力を借りて大きなリターンをつくるのです。

習慣化に際してのポイントは3つです。

ひとつ目は、とりかかることへの吟味。世の中には「これだけ毎日やれば」といった情報に溢れかえっています。正直なところ、ある程度信頼できるソースのものであれば、どれでもいいと思います。本当に毎日できるなら。なので、「毎日できるか」「毎日やれれば効果がないわけがない」という目線で決めてください。

2つ目は、その毎日やることが、ややレベルやハードルが高いことであれば、そのハードルを死ぬほど下げる。子どもでも毎日できるレベルまで落としましょう。これは後述の作業興奮やドーパミンの話と絡みますが、とにかく続かないことには意味がないので、続けさせるための仕組みづくりです。

物足りないと思えたらそれは正しいです。習慣化が定着するまでは、物足りなくてレベルアップに飢えている状態でいいです。この段階で効果や成果を期待して焦らないでください。

最後は「1日15分」。これも最初は15分まで。やる気に満ち溢れている初日〜三日坊主までの期間は、とくにもっとやれると思ってしまいますが、15分でやめておきます。

これで仕組みが定着しはじめたら、ハードルをほんの少しずつ上げて、時間をほんの少しずつ長くしていきます。決してどちらも急に上げないこと。上げてしまったものをさらに下げるときに、後戻りしている気持ちになり、挫折したと決めつけてしまい、途端にゼロまで落ちてしまいがちです。

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習慣化を成功させるにはまず「脳の仕組み」を利用しよう

習慣化の力を身につけるためには、脳の仕組みを理解して活用するのがおすすめです。

人は動きはじめると脳の側坐核という部分が反応し、やる気物質のドーパミンが分泌されるとのこと。この現象を「作業興奮」といいます。面倒だった片付け、のはずなのに、はじめてみたら気がつけば1時間片付けに没頭していた、というあれです。

作業興奮は、動きはじめてから早くて5分ほどで起こるとのこと。まずはとにかく5分でも学習や運動をはじめると、残りの10分はドーパミンにまかせてオートパイロットで続けることができるという理屈です。

さらにドーパミンは達成感とも直結しているので、「今日もできた」という達成感でいい気分になることが明日のやる気にも好影響を与えるといわれています。つまり、脳を騙して学習や運動を習慣化させてしまうということです。

習慣化は、その内容によって定着までにかかる時間が違うことも知っておくといいでしょう。学習などは3週間〜1ヵ月、ダイエットや早朝活動など身体的なものは2〜3ヵ月、思考そのものの定着化には半年程度かかるといわれているので、効果を実感できるまでにこの程度の時間はかかるということを理解しておくと挫折しづらくなります。