誤解4.遺言書を書く年齢ではない
遺言書を書くのはまだ早い、そんな年齢ではないと考える人もいます。しかし人は「今」が一番若いわけですから、「まだそんな年齢ではない」と迷っていると、どんどん年齢を重ねていきます。65歳、70歳、75歳と遺言書作成を見送るうちに、認知症を発症するかもしれません。
遺言書は法的文書ですから、判断能力のある状態でなければ作成できません。作成するにもそれなりの負担がかかります(自筆証書遺言の場合は自分で書く手間があったり、公正証書遺言の場合は公証役場へ行かなければならなかったりなど)。「まだ早い」と先送りにしていたら、手遅れになる可能性があるのです。
以前、筆者と同年代(40代前半)でお亡くなりになって、お子さんがまだ未成年といった相続手続きに携わったこともあります。未成年を交えた遺産分割協議は特別代理人の選任が必要で、遺産分割の内容に制限がかかるなど手続きが大変になります。遺言書があれば遺産分割協議の必要もなくなるため、相続人に未成年者がいる場合でも相続手続きの負担をぐっと軽くすることが可能です。その相続手続きのときは、故人が若くして遺言書を遺されていたので、相続登記を始めとした相続手続きを非常にスムーズに行うことができました。
若いといっても何が起こるかはわかりません。事故や病気で突然相続が発生する可能性はゼロではないわけです。元気なときにしか書けないからこそ、「まだ早い」などとはいわず、行動することをおすすめします。思い立ったが吉日です。
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誤解5.遺言書を作成したら、財産が使えなくなってしまうのでは?
例えば、父親が「自宅不動産を長男に相続させる」と書いたら、父は自宅を売却できなくなるのでは?というような誤解もあります。
実際は売却できなくなるなどのことはありません。遺言を書いた本人が生きているのであれば、売却しようが他人に貸し出そうが自由です。売却した場合、その不動産は相続の対象から外れるだけです。遺言書に「自宅不動産を長男に相続させる」と書いていても、該当する遺産がなければ、その記述は単に“なかったこと”になります。
遺言書を作成しても、作成者本人が自分の財産を使えなくなる事態にはなりませんので、ご安心ください。