誤解6.遺言書を作成しても、その内容が実現されるか不安
最後は「遺言書を書いてもそのとおりにならないのではないか、書いてもムダなのではないか」という誤解です。
遺言は亡くなったあとに効力を発揮するものですから、本人が遺言の行く末を見届けることはできません。その意味では、確かに不安を感じる方もいるでしょう。
しかし、遺言は相続において最優先事項です。遺言書があっても相続人全員の合意によって遺産分割協議が行われ、その結果遺産が再分配されるケースもありますが、基本的には、遺産は遺言に書いてあるとおりに分けることになります。
自筆証書遺言の場合は、遺言書そのものが破棄されたり、隠蔽されたりなどのリスクがないわけではありません。しかし、これらのリスクは法務局の保管制度(自筆証書遺言書保管制度)を使ったり、公正証書遺言で作成したりすれば回避できます。また、遺言書の実現性を高めるために、司法書士等の専門家を遺言執行者に定めるという方法もあります。
(広告の後にも続きます)
遺言書は、基本的に「書くべきもの」
遺言書の具体的な作成方法については本稿では割愛しますが、一般的に遺言書は「書くべきもの」としてご理解いただけたらと思います。
遺言書は何度でも書き直すことができます。財産の内容が大きく変わったり、気持ちが変わったりした場合に改めて遺言書を作ることも可能です。もし、先に作った遺言書と後に作った遺言書の内容が重複している場合は、後に作った遺言書(=最新版)の内容が有効になります。定期的に遺言書の内容を見直すことで、現在の家族への想いや資産状況を整理することもできます。
佐伯 知哉
司法書士法人さえき事務所 所長
1980年生まれ。大阪府泉大津市出身。高知大学理学部卒。相続の専門家として、相続へ不安を抱えるお客様や、その家族が安心して手続きに臨めるよう、単なる手続きにとどまらず、SNS等を活用した情報発信にも力を入れている。
YouTubeチャンネル『司法書士/佐伯ともや』では、相続登記を始めとするお役立ち情報の解説から、趣味の筋トレやサプリメントのこと、VLOGなど幅広く発信。