
ネクタイをきっかけに始まったへラルボニーの歴史

へラルボニーの原点は、双子である松田崇弥・文登の重度の知的障害を伴う自閉症の4歳上の兄、翔太がいたことにある。「自閉症の兄へ向けられる冷たい視線を変えたい」という身近な想いが、新たなビジネスを生み出した。
もともとクリエイティブエージェントで働いていた崇弥は、25歳のときに見た障害のある作家のアート作品に感動し、クリエイティブと福祉を結びつけることに可能性を感じたという。2018年、文登を誘って起業し、障害のある作家によるアート作品を織り込んだシルクネクタイを企画。老舗紳士用ブランド「銀座田屋」の協力のもと、商品化を実現した。

これがきっかけとなり、障害のある作家によるアートをプロダクト化する自社ブランド「ヘラルボニー(HERALBOBY)」をスタート。国内外の主に障害のある作家とIPライセンス契約を結び、アート作品を知的財産として収益を得る新たなビジネスモデルを構築し、「異彩を、放て。」というキャッチフレーズのもと、ディズニーやJALなど数々の企業とも業務提携し、確実にその思想を広げてきた。
「これまで、障害のある作家のアート作品は社会貢献やチャリティーの文脈で扱われることが多かったが、作家の才能やアートの価値を正しく評価し、届けるためにも、非営利ではないところに意味がある」と文登は語る。そこにあるのは、「障害や福祉に対する認識を変えたい」という想いだ。
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“障がいと一番遠い場所” 銀座に出店

そんなへラルボニーが、2025年3月15日、都内初となる常設店「HERALBONY LABORATORY GINZA」を東京・銀座レンガ通り沿いにオープンした。
「LABORATORY」という名前には、歴史がありながら、新たな文化を取り入れ革新を続ける銀座の街で、この場所を実験室として、異彩を放つ作家とともにへラルボニーの思想を発信する場にしたいという想いが込められているという。
文登は銀座を「障害や福祉から最も遠い場所ではないか」と語る。

「国内外の名だたるラグジュアリーブランドショップが軒を連ねる東京の一等地ともいえる街で、今まで障害のある方が普通に歩いたり買い物をしたりといった風景はあまり見かけなかったと思うんです。でも、『HERALBONY LABORATORY GINZA』があることによって、そんな風景が当たり前になるかもしれない。障害のある方を含め、多様な人が集い、混ざり合う空間、そして街を作ることが、障害や福祉へのイメージを変えることにもつながるはずです」