東京の一等地・銀座から、障害に関する価値観を変える。へラルボニーの常設店がオープン

へラルボニーの思想を体験できる「実験室」

重視するのは体験だ。店舗の1階には、アトリエ併設型ショップとギャラリーを備え、プロダクトを販売するだけでなく、実際にへラルボニー契約作家の創作活動に触れられるアトリエスペースを設置。

また、ギャラリーではアートの展示販売に加え、今後さまざまな展示企画を予定している。

アパレルを含むプロダクトの開発や店舗運営に携わるのは、セレクトショップ「トゥモローランド(TOMORROWLAND)」より、2024年に参画したリテールディレクターの大平稔。

また、チーフキュレーターを、25年4月よりCAO(Chief Art Officer)に就任した金沢21世紀美術館の黒澤浩美が務める。

「障害者アートというレッテルを取払い、本当にフラットな状態で作品やプロダクツを純粋に見て、感じて、触れてほしいという思いがあります。その先に障害が知られ、へラルボニーの活動に興味を持っていただくことが理想です」と、文登。

崇弥は、「最終的には世界中のどの街に出店しても、驚かれないくらいのブランドになりたい」と話す。「ここからがスタートラインだと思っています」

(広告の後にも続きます)

東京・岩手・パリ3つの拠点から“異彩を放つ”

現在、へラルボニーは、国内54の福祉施設、243人の作家と契約し、持続可能な事業を行っている。24年7月にはフランス・パリに子会社「HERALBONY EUROPE」を設立し、30年までに障害のある作家のアートライセンス事業を世界50カ国に拡大することを目標に掲げている。

また、銀座店に引き続き、3月31日には、岩手県盛岡市の中心部にある百貨店パルクアベニュー・カワトクにてヘラルボニーの旗艦店「HERALBONY ISAI PARK」をグランドオープン。ショップ、ギャラリー、カフェを併設した複合型の施設で、多様な人が行き交いくつろぐことのできる空間を目指すという。

東京・銀座、岩手・盛岡、そしてフランス・パリという、新たな3つの拠点から、へラルボニーは今後どんなメッセージを発信していくのだろう。

「国や文化によって濃淡はあれど、障害のある作家やその作品が正当に評価されていなかったり、正当な対価をもらえなかったり、といった課題は世界共通です。今後は、日本の象徴的な街である銀座、ローカルの盛岡、グローバル視点のパリの3つが互いに影響し合い、循環していくことで、より大きな規模での挑戦ができるのではないかと思っています」

異彩の作家たちが放つ輝きは、日本を越え、世界へと広がっていく。そのエネルギーの一端を目前にしたとき、これまで自分の中にあったレッテルなど、なんの役にも立たないと気づくはずだ。

HERALBONY LABORATORY GINZA

東京都中央区銀座2丁目5−16 銀冨ビル1F

https://store.heralbony.jp/pages/hlg

https://www.heralbony.jp/