
介護にかかわる不安で大きいのが、お金の問題。
子どもが払うのではなく、親のお金を使うために、前もって準備を。
教えてくれたのは・・・
介護・暮らしジャーナリスト
太田差惠子先生
「遠距離介護」「仕事と介護の両立」などの視点から、さまざまな情報を発信する。『親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと』(翔泳社)ほか、著書多数。
「親のお金を使う」が大前提
「特に男性に多いのですが、『親の介護費用は子が負担すべきもの』と思い込んでいる人がいます。しかし、親の介護に子どもがかかわるのは、あくまでも親の自立のためのお手伝いです。介護費用を負担しすぎて、自分が老後破綻しないためにも、親の介護は、親のお金を使うことを前提にしましょう」。
そのためには、親がどのくらいお金をもっているのかを把握しておくこと。預貯金や月々の年金受取額、民間の医療・生命保険に入っているかなども知っておきたいところです。
ストレートに聞ける親子関係ならいいですが、財産を狙っているのではないかと疑って、話したがらない場合も。
「知人が、親の介護の時に困ったそう」など、誰かの体験談を交えながら、親が話してくれるのを待ちましょう。ただし、親のお金は親のもの。
強引に聞き出すことは法に触れるので注意しましょう。
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親のお金を入出金する方法
親の判断力が低下し、親自身が入出金ができなくなることがあるかもしれません。子が金融機関の窓口に行って親名義の通帳から代わりに出金するには、通常は委任状が必要です。
が、委任状を書けない事態も想定されます。
そこで、なにかの時はどの口座のお金を使えばいいか、キャッシュカードの場所と暗唱番号を聞いておくと安心。
金融機関によっては、1つの口座に2枚目のキャッシュカードである「代理人カード」を作れるケースもありますが、こちらも親本人の手続きが必要です。
親から一括で介護費用を預かった場合は、子名義の口座を新たに作り、そこから介護費用を出すという覚書を親子でかわす「預かり金」にするのも一案。
受け取ったお金は贈与にはならず、親の死後は財産として相続できます。