「孫の笑顔は最高の薬」といいますが、心には効いても、さすがにじいじばぁばのお財布には効かないようです。初孫が生まれるとお財布のひもが緩みがち。ところがお金は減ると目に見えてわかるため、急激な心のアップダウンを経験するケースもあるようです。本記事ではAさん夫妻の事例とともに、“孫育て”を楽しむためのポイントについて、オフィスツクル代表の内田英子氏が詳しく解説していきます。

もうすぐ待望の初孫誕生

Aさんは現在61歳。5歳年上の夫と2人、地方都市に住んでいます。夫は昨年仕事をリタイアしましたが、Aさんは60歳で定年退職後も継続して働き、ゆとりある暮らしを送っていました。

Aさん夫妻には2人の子どもがいます。いずれも別居していましたが、長女は2週間後にはじめての出産予定日を控え、里帰り出産のために実家に滞在していました。無事に生まれてきたら待ちに待った初孫の誕生です。Aさんは娘を見守りながら、毎日そわそわ、うきうきしながらそのときを待っていました。

予定日を超過し、2日が経ったころ、ついに娘が無事に出産。娘が退院後、2週間は実家に滞在するというため、帰宅直後からAさんは大忙しです。

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初孫のため…出費が止まらない祖父母

初孫のかわいさにAさんは有頂天。もちろん仕事中は孫と会うことはできませんが、離れているあいだも毎日違う顔を見せてくれる孫の写真を見ながら、これまでよりも毎日が充実したと感じていました。

Aさんの孫フィーバーは、娘と孫が県外の自宅に戻ってから、さらに盛り上がりました。時間ができた一方、ほとんど毎日娘から孫の写真や動画が送られ、成長とともに日に日に違う表情や動きを見せる孫にすっかり夢中です。

遠方に住む娘一家のため、毎週末はるばる…

ビデオ通話で話していると、娘は仕事で忙しい夫からの助けを思うように受けられず、毎日大変な思いをしているようでした。

Aさんの脳裏によぎったのは夫のこと。リタイアして時間もあるはずなのに、家事に協力的でない夫に、内心辟易していたのです。

「夫は年金も時間があるはずなんだから、そろそろ変わってもらわないと困る。なにより、いまは夫よりも娘の力になってあげたい」Aさんは思い切って、娘の自宅へ孫と娘のお世話をしにいくことにしました。

娘はAさんの住む県とは遠く離れた関東圏に暮らしており、行くためには飛行機を使います。しかし、滞在期間にあわせて休暇を取ることはそうそうできません。そのためAさんは土日の休みを使って毎週末、娘の自宅に向かいます。

半年後の通帳残高

そんな生活が続いて半年が経ったころ、Aさんは通帳を見て愕然としました。孫の誕生前から残高が約500万円減っていたのです。

Aさんにはもちろん思い当たる節がありました。もちろん孫と娘のための出費です。

「半年でこの状況はさすがにまずいわ……!」

Aさんと妻は一気に青ざめました。