1.「お疲れ様です」と「ご苦労様です」は失礼?

「お疲れ様です」と「ご苦労様です」は共に、ねぎらいやいたわりの気持ちを表すあいさつです。相手の苦労を思いやる気持ちは共通していますが、相手との関係性に応じて使い分ける必要があります。

目上の人に「ご苦労様です」は失礼

「ご苦労様です」は、目上の人には使いません。文化庁がまとめた「敬語の指針」によれば、この表現は目下の人に向けて使うねぎらいとされており、目上の人には不適切とされています。

苦労をいたわる表現なのに、なぜ失礼になってしまうのでしょうか。理由には諸説ありますが、一説には「ご苦労様です」の由来が影響しているといわれています。この「ご苦労様です」が、近代以前に君主が家臣に対して「ご苦労であった」と声をかけていたことに由来しているため、目上の人に使う表現ではないとされているのです。

「お疲れ様です」は社内の誰にでもOK。社外には要注意

一方、「お疲れ様です」は目上の人など、立場に関係なく使用できるあいさつです。「お疲れ様です」には、相手の肉体的・精神的な疲労をいたわる思いが込められており、仕事中や終業時の社内でのあいさつとして広く使われています。なお、一般的に社外の人には使いません。

「お疲れ様です」と「ご苦労様です」の違い

「お疲れ様です」と「ご苦労様です」は、相手との上下関係以外に、どのような違いがあるのでしょうか。国立国語研究所が運営する「ことば研究館」によれば、二つの表現は焦点が異なるとされています。

表現

焦点

ねぎらいの目的

お疲れ様です

心身の消耗・疲れ

「とても疲れている(疲れた)ことでしょう」と体調をいたわる

ご苦労様です

仕事の内容

「とても大変なお仕事ですね(でしたね)」と仕事内容を気遣う

国立国語研究所「ことば研究館」|ことばの疑問より作成

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2.【シーン別】「お疲れ様です」「ご苦労様です」の使い方

対面の場合

対面の場合は、相手との関係性に応じて「お疲れ様です」と「ご苦労様です」を使い分けましょう。なお「ご苦労様です」は部下から上司など、目上の人には使用しません。

上司から部下

お疲れ様です

よく交渉をまとめてくれました。お疲れ様でした。

ご苦労様です

見事なオペでした。ご苦労様。

部下から上司

お疲れ様です

お疲れ様です。◯◯の件について報告します。

ご苦労様です

※使用しません

同僚同士

お疲れ様です

今日は暑かったですね。施設への訪問、お疲れ様でした。

ご苦労様です

アセスメントもひと段落しましたね。ご苦労様でした。

メールの場合

メールの場合、上下関係にかかわらず、一般的に「お疲れ様です」を使用し、「ご苦労様です」はあまり使用しません。また多くの場合、社外には「お世話になっております」を使います。