面白い“だけじゃない”!春休み、大人こそ観たい映画4選

文:稲垣美緒(Harumari TOKYO)

ポン・ジュノ監督の新作『ミッキー17』でブラックユーモアを堪能

なんといっても2019年に『パラサイト 半地下の家族』でカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを獲得、アカデミー賞でも作品賞をはじめ4部門を受賞したポン・ジュノ監督の新作は外せない。常に社会問題を織り込み、人間の本質を鋭く描きながらも「エンターテイメント」に昇華させるポン・ジュノ作品。

本作『ミッキー17』は、《どん底》の使い捨てワーカー“ミッキー”による、権力者たちへの逆襲エンターテイメントだ。『TENET テネット』『ハリー・ポッター』シリーズ、『トワイライト』シリーズのロバート・パティンソン演じるミッキーは過酷な任務で命を落としては何度も生き返って(生き返らせられて)また過酷な任務へと向かう。ある日、自分の複製が同時に存在してしまったことから、物語が大きく動き始める。

違う惑星に移住する様子や先住の生物など、さまざまなエピソードはコミカルに描かれながらも、背景には植民地主義・労働の搾取や政治利用などの社会問題が透けて見える。大人だからこそ理解できる、社会派のブラックユーモアは痛快だ。

『哀れなるものたち』でマーク・ラファロの演技の幅に感嘆した人は、今作での彼の演技も見逃せない。

『ミッキー17』

https://wwws.warnerbros.co.jp/mickey17/index.html

全国公開中

配給:ワーナー・ブラザース映画

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映画はとにかくスカッと!派には『アンジェントルメン』

映画はやっぱり爽快感やスケールが大事!という人には『アンジェントルメン』をおすすめしたい。

ジェントルメンの国・英国諜報機関MI6の前身ともいわれる、実際に行われた非公式特殊部隊の作戦を描いたスパイアクションだ。

第2次世界大戦で招集されたイカれたメンバーが、秘密裏に潜水艦Uボートの無力化に挑むというストーリー。そのやり方は全然ジェントルメンではなく、コメディ要素や笑えるシーンも。戦争ものであるがライトなタッチでエンタメに振り切っている。

手がけるのは、『ジェントルメン』『スナッチ』のガイ・リッチー監督だ。007のモデルになっているだけあって、そのスピーディな展開とスリル満点のストーリーは折り紙付き。実話がベースになっているとは思えないほど、驚きの連続だ。これぞガイ・リッチー!という痛快なアクション。観終わった後の爽快感がたまらない。

『アンジェントルメン』

https://ungentlemen-movie.com/

4月4日(金)全国ロードショー