大人数で分け合うショートケーキといえば、言わずと知れたホールケーキ型。最近ではおひとり様用サイズのホールケーキも登場しているものの、「複数人でシェアするカットケーキ」はまだほとんど目にしない。

今回紹介するのは、そんなショートケーキの世界で異彩を放つ「東京エディション銀座」の『ストロベリーショートケーキ』。1カットで4~6人前だというこのショートケーキが生まれた理由や隠れた遊び心を、東京・銀座の中心で取材してきた。

4~6人前のショートケーキ。見た瞬間に心が躍る

ストロベリーショートケーキが運ばれてくると、その大きさにまず息をのむ。童話に登場するかのようなサイズ、美しい三角形のビジュアルはフィクションを疑わざるを得ない。テーブルにケーキが乗り、ようやく現実だと認識できると、喜びと期待がふつふつと湧き上がる。

ケーキに使われているいちごの数は、なんと約20粒。粒の大きさが同じものをなるべく選び、スポンジといちごのすき間がなるべくできないようにすることで、形を保てるのだそうだ。

東京エディション銀座・虎ノ門の製菓総料理長を務める向慶一シェフは、「僕は、ショートケーキには甘酸っぱいいちごが合うと思うんです」と話す。シェフの言葉通り、甘さ控えめのクリームの上品な風味を、いちごのほどよい酸味が絶妙に引き立てる。品種はあえて固定せず、その日入荷するいちごの味を見ながら、ショートケーキに合うものを使うそう。

生クリームは、一般的に使われることの多い脂肪分35%と45%の間をとった、脂肪分42%の北海道産のもの。ケーキの美しい形状を保つために必要な固さを満たしつつ、なめらかな口当たりやほどよいコクを楽しめるよう工夫されている。

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美しい飴細工の中身とは?

ショートケーキの上にのっている大きないちごは飴細工。表面の粒も表現され、つややかな赤色の見た目からは、本物のいちごとは違った可愛さが漂う。

割ってみると、中にはダイスカットのフレッシュないちごが。飴でできた大きないちごから小さないちごが出てくる……くす玉のような遊び心ある仕掛けに、なんだか嬉しくなってしまった。

ショートケーキは、人数をスタッフに伝え、切り分けてもらうことも可能。切り分けた後もなお美しい断面、素材の重さに耐えうる密度がありつつふわふわのスポンジ、コクと余韻を残しつつとろけるクリーム、みずみずしいいちご……。すべてが完璧で、見た目のインパクト以上の幸せな記憶を残していく。