所有しているアパートの老朽化や空室が目立ってきたので、ローンを組んでリフォームを検討しているものの、「どこで借りればよいのかわからない」「現在の運用状況に合うローンはあるのだろうか」などの不安や悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。アパートリフォームローンの主な選択肢は3つあり、運用状況によって柔軟に選択できます。

本記事では、アパートリフォームローンの借入先や利用する際のポイントなどを詳しく解説します。あなたに合ったアパートリフォームローンを選択し、将来の収益を高められるようにしましょう。

1.アパートリフォームローンの3種類

アパートリフォームローンとは、賃貸物件のリフォームに利用できるローンのことです。投資物件を対象としているため「不動産投資用リフォームローン」とも呼ばれます。

金融機関によって異なりますが、アパートリフォームローンで借りた資金でできるリフォームは以下のような工事です。

アパートリフォームローンの主な利用用途

外装、外壁、屋根、屋上の補修・塗装など

バルコニーや共有部(廊下・階段・軒天など)の防水対策、塗装など

給排水管などの設備交換

内装工事

宅配ボックスなどの付帯設備の設置

水回り設備の交換

耐震・免震工事

太陽光発電設備などの環境配慮型設備の設置・交換

アパート購入が主な使い道の「アパートローン」や、資金使途が自由な「フリーローン」も賃貸アパートをリフォームする際に活用できます。

それぞれのローンを民間金融機関で比較し、以下の表にまとめました。

アパートリフォームローン
アパートローン
フリーローン

金利 1.0~5.0%程度 2.0~5.0%程度 2.0~15.0%
融資限度額 1~5億円程度 1,000万円程度 1,000万円程度
返済期間
30~35年程度 10~20年程度 ~15年程度
保証人 不要なケースが多い 必要なケースが多い 不要
担保 不要なケースが多い 必要なケースが多い 不要

※2025年3月時点の情報です。

金利や融資限度額、担保の有無などを考慮すると、アパートリフォームローンを利用するのが一般的です。なお、一般的なリフォームローンや住宅ローンは自宅でなければ利用できないため、注意しましょう。

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2.アパートリフォームローンの借入先

アパートリフォームローンの主な借入先の概要を、以下の表にまとめました。

住宅金融支援機構

(省エネ住宅・耐震改修)
日本政策金融公庫

(一般貸付)
民間金融機関

(関西みらい銀行の例)

金利タイプ 全期間固定 変動 変動
金利 0.77~1.03% 1.0~3.0%前後 2.65%
融資限度額 リフォーム費用の80%

(10万円単位)
  • 4,800万円

    (運転資金・設備資金)
  • 7,200万円

    (特定設備資金)
  • 1,000万円

    (1万円単位)
    返済期間 最長20年

    (1年単位)
  • 最長5年

    (運転資金)
  • 最長10年

    (設備資金)
  • 最長20年

    (特定設備資金)
  • 最長20年

    (1ヶ月単位)
    保証人 必要 相談 不要
    担保 必要

    (300万円以下は不要)
    相談 不要

    ※2025年3月時点の情報です。

    出典:住宅金融支援機構「賃貸住宅リフォーム融資(省エネ住宅)」  

        住宅金融支援機構「賃貸住宅リフォーム融資(耐震改修)」

        日本政策金融公庫「一般貸付」

        関西みらい銀行「関西みらいアパートリフォームローン」

    ここからは、それぞれの借入先の特徴やどのような場合におすすめできるのかを見ていきましょう。

    2-1.住宅金融支援機構

    アパートリフォームに利用できる融資制度として、住宅金融支援機構は主に以下の2つを提供しています。

    賃貸住宅リフォーム融資(省エネ住宅)

    賃貸住宅リフォーム融資(耐震改修)

    これらは、省エネ性能や耐震性能を向上させるために行うリフォームに対しての融資です。リフォーム内容が限定されており保証人が必要なものの、全期間固定かつ低金利で借りられるのは大きな魅力でしょう。

    アパートの省エネ性能向上や耐震改修を検討しており、今後の金利上昇リスクを避けたい場合におすすめします。ただし、最大でリフォーム費用の80%までしか融資を受けられないので、手元資金で賄うか、ほかのローンを組み合わせなければなりません。

    なお住宅金融支援機構では、新築並みに全面リニューアルする工事や住宅セーフティネット制度への登録を条件とした賃貸住宅リフォーム融資も提供しています。条件やデメリットを踏まえたうえで、現在の状況に応じて検討してみてもよいかもしれません。

    住宅セーフティネット制度は、低所得者や高齢者、外国人など「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない住宅として登録し、提供する制度です。

    参考:国土交通省「住宅セーフティネット制度

    2-2.日本政策金融公庫

    日本政策金融公庫は、中小企業や個人事業主向けに「一般貸付」という枠組みで融資を行っています。資金の使い道が限定されていないため、賃貸アパートをリフォームする際に利用できます。

    事業性が考慮されるため審査は厳しめですが、政府系の金融機関なので低金利なことが特徴です。金利は担保の有無や返済期間によって変動するものの、年1.0〜3.0%が目安です。

    融資実行までに1〜2ヶ月程度と時間がかかり、保証人が必要なケースが多いなどのデメリットはありますが、融資限度額が最大7,200万円と高いので大規模なリフォームをする場合におすすめです。

    2-3.民間金融機関(銀行・信用金庫)

    銀行や信用金庫などの民間金融機関もアパートリフォームローンを提供しています。たとえば関西みらい銀行のアパートリフォームローンは、担保や保証人が不要で最大1,000万円まで借りられ、2025年3月現在の適用金利は年2.65%です。

    一般的に公的金融機関のほうが低金利ですが、借入条件が厳しく融資実行までに時間がかかります。一方で民間金融機関は金利が高くなりやすいものの、柔軟に対応してくれるケースが多く融資速度が速い傾向にあります。

    なお、金融機関によって融資条件や金利、返済期間などが異なるため、アパートの運用状況や手元資金などを考慮し総合的に判断して選びましょう。また、リフォーム範囲の条件も異なるので注意してください。

    民間金融機関のアパートリフォームローンは、リフォームをスピーディーに進めたい方や公的金融機関での借入が難しい場合におすすめします。