大規模な自然災害は、私たちの生活だけでなく、金融市場にも大きな影響を与えます。特に地震大国である日本では、南海トラフ地震や首都直下型地震といった巨大地震の発生リスクが常に意識されており、その際の株価暴落は避けられないと考えられています。はっしゃん氏の著書『株の爆益につなげる「暴落大全」』(KADOKAWA)より、巨大地震による株価暴落の可能性と、その際に私たちがどのように金融資産を守り、長期的な視点で投資機会を捉えるべきかについて、東日本大震災後の日経平均株価の動きを振り返りながら解説していきます。

巨大地震による株価暴落

災害は忘れたころにやってくるともいわれていますが、日本に住んでいるということは地震のリスクを受け入れて生きていく必要があるということです。東日本大震災クラスの巨大地震が将来も高い確率で起こることが発表されています。

●南海トラフ地震の発生確率(M8~9程度):
 30年以内で80%程度、50年以内では90%程度

●首都直下型地震の発生確率(M7程度):
 30年以内で70%

南海トラフ地震や首都直下型などの関東大震災が発生すると、再び株価が暴落することになるでしょう。地震では、命を守ることが最優先ですが、同時に金融資産を守ることも大事です。東日本大震災をきっかけに日本では福島原発事故を教訓とした原発の新安全基準が定められ、再発防止が図られています。

しかし、地震・火山大国の日本において新安全基準で想定された以上の災害が発生しないという保証はありません。さらに、2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻では、原子力発電所が軍事的な攻撃対象となりうる事態も発生しました。新安全基準ではテロや航空機の衝突に対するリスクも考慮されていますが、戦争リスクは残っているといえるでしょう。

自然災害が原因となる株価暴落は予測が困難です。このような株価暴落時において、特定銘柄に資金を集中投資しすぎていたり、レバレッジをかけすぎたりしていると、命の危機と同時に金融資産にもリスクがおよびかねません。万が一の地震発生も考慮した暴落耐性のある投資を心がけておきましょう。

また、5年10年という長期スパンで見ると、自然災害で株価が暴落したところは投資チャンスと前向きに捉えることもできます。災害のときに慌てて株式を売る投資家ではなく、買い支えられる投資家になりたいものです。

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東日本大震災後の日経平均株価チャート

最後に東日本大震災後の日経平均株価チャートを見ておきましょう。

日経平均株価は震災の8カ月後に−23.9%安の最安値を付けたあとも低迷しました。株価が震災前の水準を回復したのは1年10カ月もあとの2013年1月に入ってからのことでした。しかし、震災前の水準を回復したあとはアベノミクスへの期待から株価は大きく上昇していくことになりました。



[図表1]東日本大震災後の日経平均株価チャート 出所:『株の爆益につなげる「暴落大全」』(KADOKAWA)より引用

●震災後の比較

震災発生直後:10,693.66円

震災後の安値:8,135.79円(−23.9%、8カ月後)

直後水準回復:2013年1月(1年10カ月後)

教訓
日本経済に大打撃を与える大震災や原発事故による株価暴落は影響も甚大で長引く可能性が高い。地震は特に予測不能なので震災が経済に与える影響度を慎重に判断すべき。

対処法
局所的な地震は株価にほとんど影響しないので被害規模を見極める。また、5年10年という長期スパンで考えると自然災害からの復興は高配当株などに長期投資するチャンスになる。

はっしゃん

投資家VTuber
ITエンジニア投資家