電気温水器に比べて高効率で光熱費を削減できるエコキュートは、一戸建てやマンションなど、多くの住宅で普及しています。
当然ですが、エコキュートにも寿命があります。「設置から10年以上経つがまだ使えるのか」「最近お湯の出が悪い気がするが寿命だろうか」「交換にはどれくらいの費用がかかるのか」といった疑問や悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、エコキュートの寿命の目安と交換時期のサイン、長持ちさせるためのメンテナンス方法に加え、交換費用の相場や補助金情報まで詳しく解説します。
1.わが家のエコキュートは大丈夫?10年を超えたら知っておきたい寿命の目安
エコキュートは精密機器であり、いずれは寿命が来ます。設置から10年を超えると不具合が出やすくなるため注意が必要です。
まずはエコキュートの一般的な寿命を理解し、ご自宅の状況と照らし合わせてみましょう。
1-1.エコキュートの平均的な寿命は10年~15年
エコキュートの寿命は、一般的に10年〜15年程度が目安とされています。ただし、これはあくまで平均的な期間であり、使い方や設置されている環境によって大きく変動します。
エコキュートは、主に空気中の熱を利用してお湯を沸かす「ヒートポンプユニット」と、沸かしたお湯を貯めておく「貯湯タンク」の2つで構成されており、それぞれの寿命には少し違いがあります。
ヒートポンプユニットの寿命:5年~15年程度
貯湯タンクの寿命:10年~15年程度
ヒートポンプユニットは屋外に設置され常に稼働しているため、貯湯タンクよりも寿命が短い傾向があります。特に、コンプレッサー(圧縮機)などの部品は経年劣化しやすい部分です。
一方、貯湯タンクは比較的シンプルな構造ですが、内部の配管やパッキン、タンク自体の腐食などが劣化の兆候として現れます。
適切なメンテナンスを定期的に行えば15年以上使える場合もありますが、長く使うほど故障のリスクは高まることを覚えておきましょう。
1-2.設計標準使用期間は10年
多くの給湯器メーカーは、エコキュートを含む家庭用給湯器の「設計上の標準使用期間」を10年と定めています。これは、標準的な使用条件の下で、安全上支障なく使用することができる期間の目安を示すものです(※保証期間とは違うことにご注意ください)。
また、修理に必要な部品の保有期間は「製品の製造終了後10年」としているメーカーがほとんどです。
つまり、10年を大きく超えてエコキュートを使用している場合は、故障しても部品がなく修理ができないという可能性も出てくるのです。
まだ問題なく使えていたとしても、突然の故障で日常生活に大きな支障が出てしまう可能性もあります。特に冬場に故障すると、お湯が使えずに大変な思いをすることにもなりかねません。
そのため、10年という節目を迎えたら専門業者に点検をしてもらったうえで、交換の検討をし始めることをおすすめします。
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2.エコキュートが寿命を迎えるサイン
エコキュートが寿命に近づくと、いくつかのサインが現れることがあります。長持ちさせるためには、これらのサインを見逃さず早めに対処することが大切です。
2-1.よくある寿命のサイン
以下のような症状に気づいたら、早めに専門業者に相談することをおすすめします。
[1]リモコンにエラーコードが頻繁に表示される
一時的なエラーはリセットで直ることがありますが、同じエラーが何度も出る場合は内部部品の故障が考えられます。
エラーコードから推定される不具合を取扱説明書で確認し、頻発する際は専門業者に点検を依頼しましょう。
[2]設定温度までお湯が温まらない、湯温が安定しない
お湯はりやシャワーの温度が設定通りにならない、または途中で急に熱くなったり冷たくなったりする場合は、温度を調節する混合弁やヒートポンプユニット内部の電子基盤の不具合が考えられます。
[3]運転中に異音や異常な振動がする
これまでに無かった異音や大きな振動がする場合は、ヒートポンプユニット内部のコンプレッサーやファンモーターなどにトラブルが発生しているサインかもしれません。放置すると、さらに深刻な故障につながる可能性があります。
[4]本体や配管からの水漏れ
貯湯タンク本体や接続配管から水漏れがある場合、内部部品やパッキンの劣化、配管の腐食などが考えられます。
わずかな水漏れでも放置すると漏電や他の部品故障の原因となるため、注意が必要です。
[5]ブレーカーが頻繁に落ちる
エコキュートの専用ブレーカーが頻繁に落ちる場合は、何らかの原因で漏電している可能性があります。
危険な状態ですのですぐに使用を中止し、専門業者に点検を依頼してください。
[6]電気代が急に高くなった
家族構成やライフスタイルに変化がないのに、急に電気代が高くなった場合、エコキュートの熱交換効率が低下している可能性があります。
ヒートポンプユニットの能力が落ち、お湯を沸かすのにより多くの電力が必要になっているのかもしれません。
2-2.寿命に影響する要因
エコキュートの寿命は、様々な要因によって左右されます。
[1]使用頻度
毎日お湯を多く使うご家庭ほど、当然ですが機器への負担は大きくなります。
[2]設置環境と地域の気候
屋外設置のヒートポンプユニットやタンクは雨風や紫外線にさらされるため、劣化が進みやすくなります。海に近い地域では塩害、寒冷地では凍結によるダメージも考慮が必要です。
[3]上水道の水質
水道水に含まれるミネラル分が多い(硬度が高い)地域や、塩素濃度が高い地域では、配管やタンク内部に水垢が付着しやすく、熱効率の低下や故障の原因となることがあります。また、井戸水や温泉水はメーカーが使用を推奨していない場合がほとんどです。
[4]メンテナンス状況
定期的なお手入れや点検を行っているかどうかで、寿命は大きく変わってきます。
[5]推奨されない入浴剤の使用
硫黄、酸、アルカリ、塩分を含む入浴剤は、配管や熱交換器を腐食させる可能性があるため、メーカーが推奨していない場合があります。また、にごり湯タイプの入浴剤も、フィルター詰まりの原因になることがあります。
2-3.寿命を延ばす日常メンテナンス
少しでもエコキュートを長持ちさせるためには、日頃のメンテナンスが重要です。
以下にご自身でできる簡単なお手入れをご紹介しますので、取扱説明書を参考にしながら実施することをおすすめします。
[1]エコキュート周囲の清掃(定期的)
ヒートポンプユニットの周りに物を置いたり、落ち葉などが溜まったりすると、空気の吸い込みが悪くなり、効率が低下します。常にきれいにしておきましょう。
[2]配管の水漏れチェック(定期的)
貯湯タンクやヒートポンプユニット周りの配管接続部から水漏れがないか、目視で確認します。
[3]浴槽フィルターの掃除(定期的)
浴槽アダプターのフィルターに髪の毛やゴミが詰まると、お湯の循環が悪くなり、エラーの原因になります。こまめに取り外して掃除しましょう。
[4]給水ストレーナー(ゴミ取りフィルター)のお手入れ(年に数回)
貯湯タンクへの給水配管についているフィルターのゴミを取り除きます。詰まるとお湯の出が悪くなることがあります。
[5]貯湯タンクの水抜き(年に2〜3回)
タンクの底に溜まった沈殿物(水垢など)を排出するために、取扱説明書の手順に従って貯湯タンクの水抜きを定期的に行いましょう。汚れがひどい場合は、専門業者にタンク洗浄を依頼することも検討してください。
[6]逃し弁の点検(年に2〜3回)
タンク内の圧力が上がりすぎたときに、圧力を逃がす安全装置です。正常に作動しないと故障の原因になりますので、レバーを操作して正常に水(またはお湯)が出るかを定期的に確認します。
2-4.プロによる定期点検のすすめ
ご自身でのメンテナンスに加えて、3年に1回程度(設置から10年目以降は毎年を推奨)専門業者による定期点検を受けることをおすすめします。
プロの目で詳しくチェックしてもらうことで、自分では気づきにくい内部の劣化や不具合を早期に発見できるでしょう。不具合が軽微なうちに部品交換などの修理を行えば、大きな故障を防ぎ、結果的にエコキュートの寿命を延ばすことにつながります。
点検費用はかかりますが、突然の故障による修理費用や、買い替え費用と比べれば、トータルコストを抑えられる可能性もあります。
