他責思考と取れる態度が火に油を注ぐ結果となった。山尾志桜里氏は、立候補を予定していた参院選で国民民主党から公認見送りとされたことに対して2025年6月12日、同党に対して「統治能力には深刻な疑問を抱いているので、今後は一線を画させていただく」と恨みと無念さをにじませた声明文を発表した。

山尾氏に対する同情の声もある一方で、自身の不倫疑惑など自分の非をほとんど認めない姿勢ととらえた向きもあり、「すごい逆ギレ発言」「私は悪くないってこと?」と冷たい視線が注がれている。

不倫相手の妻が自殺の報道「事情を存じ上げません」

そもそもの騒動の発端となったのは、10日に開かれた自身の出馬会見だった。山尾氏は記者から、8年前の不倫疑惑などで追及を受けたが、歯切れの悪い回答を連発。「8年前に申し上げたことは事実」と、間接的に不倫疑惑を否定したものの、質問に正面から答えなかった。不倫相手の妻が自殺したとする週刊誌報道に対しては「私は事情を存じ上げません」と明言を避けた。

国民民主党が山尾氏を夏の参院選比例代表に擁立することが報道されてから、SNS上ではネガティブな反応が相次いだ。山尾氏だけが原因とは断定できないものの、世論調査で国民民主党の政党支持率は急落している。

物議を醸した会見翌日の11日、国民民主党の玉木雄一郎代表は山尾氏の公認内定を取り消すと発表。榛葉賀津也幹事長は同日、「全国の都道府県連、地方議員から『(公認を)見送ってほしい』という声があった」と説明し、党内から山尾氏に対する拒絶反応が相次いだことを明らかにした。

これを受け、山尾氏は12日、自身のX(旧ツイッター)で声明文を発表。「党の都合で排除されてしまう政党では、志ある方も今後立候補の決断に躊躇してしまうのではないでしょうか」などと恨み節を吐き、自ら離党届を出して決別を宣言した。

(広告の後にも続きます)

不倫相手とされた人物を政策顧問に起用

一連の騒動に、SNSでは「一番悪いのは出馬を促した党本部だと思います。山尾氏が爆弾抱えてる人間なのは既に分かっていること」などと、玉木氏や党に対する批判は出ている。

他方で、10日の出馬会見で批判を浴びる原因を作った山尾氏の「自業自得」であるとする声も根強い。山尾氏が12日に発表した声明文には、自身の記者会見での対応のまずさを反省する文言は乏しい。

Xでは、山尾氏に対する批判が依然として噴き上がっている。「やっぱり全部他責思考」「逆ギレして捨て台詞」「引き際までみっともない最悪の対応」「素直に認めて謝ってたらまた違ったかも」「謝ったら死ぬ病」といった具合だ。

テレビ番組などでコメンテーターとしても活動する山岸久朗弁護士は、自身のXで「山尾志桜里さんの手記を見て非常に驚いた。自分のせいであるという反省が1mmも感じられないことに」と指摘。警視庁捜査一課OBでYouTuberとしても活動する佐藤誠氏も、「逆ギレか?自業自得にしか映らないのだが」と呆れたような反応を示した。

週刊誌に不倫疑惑を報じられた2017年当時、山尾氏は逆風の中で衆院選に勝利すると、直後には神奈川新聞のインタビューで「むき出しの好奇心には屈しない」と宣言。不倫相手と報じられた男性弁護士を政策顧問に起用し、世間を驚かせた。

2021年には、議員パスを私的利用して不倫相手と密会し、不倫相手の元妻が自殺したとする週刊誌報道があった直後、次回の衆院選への不出馬を宣言した。

12日の声明では最後に「よく相談しながら、今後の政治活動について熟慮したい」と結んだ山尾氏。今後、どこかの政党から声がかかることはあるのだろうか。