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足の臭いを消す方法とは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】

足の臭いを消す方法とは?症状・原因・治療法・よくある質問【医師監修】

足の臭いでお悩みの50代・60代の女性のみなさんへ。この記事では、皮膚科医の中野貴光先生の監修のもと、足の臭いの原因と、すぐにできる対策から根本的な改善方法まで、わかりやすくお伝えいたします。

この記事3行まとめ

✓足の臭いは汗と菌が原因。特に「イソ吉草酸」という物質が強い臭いのもとです。
✓50代・60代は角質が厚くなりがち。丁寧な洗浄と保湿、靴の選び方が重要です。
✓セルフケアで改善しない、かゆみなど他の症状がある場合は皮膚科受診を検討しましょう。

足の臭いの正体とは?

Graphs / PIXTA

足の臭いは、医学的には「足部悪臭症(そくぶあくしゅうしょう)」と呼ばれることもあります。これは病気というより、足から発生する不快な臭いの状態を指す言葉です。

臭いの主な原因は、汗そのものではありません。足の裏にかいた汗が、皮膚の表面にもともといる「常在菌」によって分解される過程で、臭い物質が発生するのです。特に「イソ吉草酸(いそきっそうさん)」という物質は、納豆のような、むわっとした特有の臭いのもととして知られています。

50代・60代になると、肌のターンオーバー(新陳代謝)が遅くなる影響で、足の裏の角質が厚く、硬くなりがちです。この古い角質は常在菌の絶好のエサになるため、若い頃より臭いが気になりやすくなる方もいらっしゃいます。

よく見られる身体的症状

足の臭いの主な症状は、もちろんその不快な臭いです。しかし、臭いだけでなく、以下のような状態を伴うこともあります。

  • 足のじっとりとした湿り気:汗をかきやすい方は、常に足が湿った感じがすることがあります。
  • 皮膚のべたつき:汗と皮脂が混ざり合うことで、べたつきを感じることがあります。
  • かゆみや皮むけ:もし、かゆみや水ぶくれ、皮むけなどを伴う場合は、「水虫(足白癬)」の可能性も考えられます。水虫も特有の臭いの原因となるため、注意が必要です。

心理的な変化

「自分の足が臭うかもしれない」という不安は、思った以上に心の負担になるものです。

  • 人前で靴を脱ぐのが怖い(お座敷での食事会、友人宅への訪問など)
  • 臭いが周りに気付かれていないか、常に気になってしまう
  • フィットネスジムや温泉など、裸足になる場所を避けてしまう

こうした心理的なストレスから、社交的な活動が億劫になってしまう方も少なくありません。一人で悩まず、正しい知識で対処していくことが大切です。

統計データ

足の臭いに関する大規模な公的統計は多くありませんが、多くの調査で、成人の半数以上が自分の足の臭いを気にした経験があると報告されています。これは決して特別な悩みではなく、多くの方が共有する問題と言えます。特に、靴を履く時間が長い現代のライフスタイルでは、誰にでも起こりうる身近な悩みです。

足の臭いの原因とメカニズム

freeangle / PIXTA

主な原因

足の臭いの主な原因は、複合的ですが、大きく以下の4つに分けられます。

1. 生理学的要因

  • 汗:足の裏には「エクリン汗腺」という汗を出す器官が体の他の部位の数倍も集中しており、1日にコップ1杯分(約200ml)もの汗をかくと言われています。汗の99%は水分で、それ自体はほぼ無臭ですが、菌の増殖に最適な湿潤環境を作り出します。
  • 常在菌:私たちの皮膚には、健康な状態でも多くの種類の「常在菌」が生息しています。足の裏では、表皮ブドウ球菌やコリネバクテリウム属の細菌などが、汗や皮脂、垢(あか)を分解することで、臭いの元となるさまざまな物質を作り出します。
  • 角質と皮脂:新陳代謝によって剥がれ落ちる古い角質や、皮脂腺から分泌される皮脂は、常在菌にとって格好の栄養源となります。特に50代以降は、肌のターンオーバー周期が長くなる傾向があり、角質が溜まりやすく、厚くなるため、より菌が繁殖しやすい環境になりがちです。
  • 爪の汚れ:見落としがちですが、爪と皮膚の間や、爪の周りの溝には、古い角質や石鹸カス、靴下の繊維などが溜まりやすく、菌の巣窟となります。これが頑固な臭いの原因になることも少なくありません。

2. 環境的要因

  • 靴と靴下:通気性の悪い合成皮革の靴やゴム製の長靴、ブーツ、また吸湿性の低いナイロンやポリエステル製のストッキング・靴下は、汗を外に逃がすことができず、靴内部を高温多湿な状態にしてしまいます。これはまさに、菌を培養しているような状態です。
  • 同じ靴の連続使用:一度履いた靴の内部は、汗によって湿っています。完全に乾燥するには24時間以上かかるとも言われています。乾燥しないうちに再び履くことは、菌にエサと水分を与え続け、臭いを悪化させる大きな原因です。

3. 生活習慣・食生活

  • 食生活の偏り:肉類やバターなどの動物性脂肪を多く摂取する食生活は、皮脂の分泌を活発にし、体臭や足の臭いを強くする可能性があります。また、ニンニクやニラ、アルコールなども、体内で分解されて汗とともに排出される際に、臭いのもととなることがあります。
  • 疲労とストレス:過労や睡眠不足、精神的なストレスは、自律神経のバランスを乱します。これにより、体温調節とは関係なく汗をかく「精神性発汗」が促されることがあります。この汗は、アンモニアなど臭いの元となる成分を多く含むため、臭いが強くなる傾向があります。

4. 病気の可能性

  • 皮膚の病気:足の臭いが急に強くなったり、セルフケアで改善しない場合は、単なる臭いではなく病気が隠れている可能性も考慮すべきです。
  • 水虫(足白癬):白癬菌というカビ(真菌)の感染症。菌自体が臭いを発するわけではありませんが、水虫によって皮膚が傷つくと、そこから二次的な細菌感染が起こりやすくなり、強い臭いの原因となります。
  • 点状角質融解症:細菌感染により、足の裏の角質層が溶けて、多数の小さな窪み(点状の陥凹)ができる病気です。硫黄化合物が産生されるため、非常に強い特有の悪臭を放ちます。
  • 全身の病気:非常にまれですが、糖尿病、腎臓病、肝臓病など、特定の全身性疾患が原因で、体臭や足の臭いが変化することもあります。例えば、糖尿病が進行すると、アセトンという甘酸っぱい臭いがすることがあります。足の臭い以外にも気になる症状があれば、内科などのかかりつけ医に相談しましょう。

発症メカニズム

足の臭いは、以下のステップで発生します。

  1. 足の裏から汗が出る。
  2. 靴や靴下によって、足が高温多湿の状態(蒸れた状態)になる。
  3. 皮膚の常在菌が、汗や古い角質、皮脂をエサにして急激に増殖する。
  4. 増殖した菌がエサを分解する過程で、臭いの原因物質「イソ吉草酸」などを産生する。
  5. 発生した臭い物質が、靴や靴下にこもり、強い臭いとして感じられる。

リスク要因

以下のような方は、足の臭いが強くなる傾向があります。

  • 汗をかきやすい(多汗症)
  • 長時間、靴を履きっぱなしで仕事をしている
  • 通気性の悪い安全靴やブーツを日常的に履く
  • ストッキングやタイツを履く機会が多い
  • 水虫にかかっている
  • 角質が厚く、硬くなっている
  • 糖尿病などの持病がある(感染症への抵抗力が弱まることがあるため)
配信元: HALMEK up

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