嫌な気持ちを受け止め早く立ち直る力を育てる
「折れやすい心」が問題になっている中、注目を集めているのが「レジリエンス」です。
もともとは、環境学で生態系の復元力を表す言葉でしたが、現代心理学では「精神的な回復力」を意味する言葉として話題に。
また全米心理学会では、「逆境や困難、強いストレスに適応する精神力と心理的プロセス」と定義しています。
わかりやすくいうと、イライラや落ち込みを引きずらず、すばやく立ち直る力のこと。
「折れない心」「逆境に負けない心」とも言えます。
ポジティブサイコロジースクール代表の久世浩司先生も、レジリエンスの専門家として指導を行い、その効果を実感しているそう。
前向きな心を表す心理学用語であることから、「ポジティブシンキング」と混同しがちですが、2つは大きく違います。
ポジティブシンキングは、嫌な気持ちを否定してすべてをよく考えようとしますが、レジリエンスは、嫌な気持ちをそのまま受け止め、そこからいかに早く立ち直るかを考えます。
自分の心に素直でいられる分、レジリエンスの方がより自分らしく生きられるのです。
その結果、失敗からすぐに立ち直って、成功を引き寄せることができます。
精神的な回復力が強ければ、失敗をバネにして成功を手にすることもできるのです。
感情の「底打ち」をして立ち直る
つらいことがあった時に問題なのは「嫌な気持ちを抱くこと」ではなく、それを「長く引きずること」。
嫌な気持ちから抜け出せないでいると、次々とネガティブな考えがわき上がり、うつ状態に陥ることもあります。
レジリエンスを養うには、まずつらい感情を素直に、はっきり認めることが大切です。
つらい時は「私は怒っている」、「すごく悲しい」、「くやしい」などと、その時の気持ちを具体的に口に出しましょう。
自分を理解してくれる誰かに「私、今すごく落ち込んでいるの」と話し、「それは悲しいね」などと共感してもらえると、さらに認めやすくなります。
つらい感情を認めたら、次はその感情に「底打ち」をします。
あなたが没頭できる「切り替えスイッチ」を使い、それ以上ネガティブな心の沼に落ちていかないよう、自分の心にストップをかけるのです。
切り替えスイッチは人それぞれで、読書やカラオケ、家事、仕事など、どんなことでもOK。
とにかく、余計なことを忘れられることをすればいいのです。
思いつかなければ「体を動かす」、「音楽を聴く」、「深呼吸する」、「気持ちを書き出す」のどれかを試して。
嫌な気持ちが止まります。
次は、立ち直る段階へ進みましょう。
嫌な気持ちになる前のレベルにまで気持ちを高めていきます。
それには「得意なことやできることをして、小さな成功を体験する」、「成功している人の行動や習慣をまねして『自分もできる』と信じる」、「買い物など自分の気分を上がることをする」、「応援してくれる人と話をする」などが有効です。
つらいことが起きたら悲しい感情を認め、切り替えスイッチを押す。
そして立ち直るための行動をとる。
これらをできるだけ早い段階で行うことが大事。
特に切り替えスイッチは、その日のうちにオンを。
続けるうち、心がどんどん強くなっていくはずです。
執筆/監修:株式会社からだにいいこと
配信: いまトピママ