性別で「お手伝い」を振り分けちゃダメ?

第3回 夏休みがチャンス! 子どもは「お手伝い」で伸びる
家庭内で子どもにお手伝いをお願いする際、「お姉ちゃんは女の子だから料理」「お兄ちゃんは男の子だから庭掃除」というように、性別で役割を振り分けたことはないだろうか?

しかし、お手伝いを通じて子に自主性やコミュニケーション能力を養う場合、性別に関係なくフラットに家事や仕事を分担させたほうが良いのだとか。ついつい、性別でくくりたくなるけど、そんなとき、親はどんな姿勢でいればいいのだろう? 三姉妹の父であり、K.I.T(金沢工業大学)虎ノ門大学院主任教授の三谷宏治さんに話を聞いた。

窓ふきをする子ども

●男女関係なく“係”として役割を振り分ける

「性別に関わらず“お手伝い”をさせるだけ、ですね。得意・不得意はあるでしょうけれど、ほとんどの家事は大した力仕事でもないので男女は関係ありません。掃除も食器洗いも洗濯も、性別に関わりなく“係”として、分担させましょう」(三谷教授 以下同)

「八百屋の子」として育った三谷さん自身、姉と弟に挟まれた3人きょうだいの真ん中として、膨大な家事と家業のお手伝いを分担してやりながら成長したという。

「どんなお手伝いも、まず2歳上の姉が担当し、2年後にそれを私が引き継ぎ、数年経って6歳下の弟が取り組むといった具合。性別は関係ありません」

例えば、夕食の準備。八百屋という夕暮れ時が多忙な仕事柄、両親の夕食は遅くなる。そのため、6時頃には子どもたちだけで先に夕食をとっていたという。

「母は“野菜の煮物”を作っておいてくれますが、それをカレーにするもシチューにするも自由です(笑)。調理して食器を出して配膳して食べて、片づけて、親たちの夕食の準備。毎日やっていたお陰で、ひとり暮らしのときの自炊も楽でしたよ」

家族で部屋掃除をする姿

●家事=家族みんなで分担すべきものと捉えよう

だが共働きが増加しているとはいえ、母親に家事の負担が集中している家庭はいまだ少なくない。そんな両親を見て育った子どもに「家事=女性の仕事」と思い込ませないようにするためには、どうすればいい?

「親の仕事は稼ぐことと子どもを育てること。それを2人が分担している家庭もあるでしょうし、父親が“稼ぐ”中心で、母親が“育てる”中心の家もあるでしょう。そのときには、次の3つのスタンスを夫婦間で確認しておくことが大事です」

1. 育児とは人材育成プロジェクトである。子どもを22歳で自立させ社会に出すことが目的

2. 家事はそのための最高の訓練の場である。極力、(小間使いではなく)子どもたちに任せる。常に家事は不完全であるが、それにお互い文句を言わないこと

3. 親の仕事とは、家事をすることではなく、子どもたちに家事をさせること

「子どもに対しては、家事はみんなで分担すべきもの、と伝えるだけでも構いません。ただそれを“絶対的なもの”と位置づけるだけでいいんです」

家事は家族みんなで分担すべきもの。この基本さえしっかり子どもに伝えることができれば、性別は関係ないのだ。料理も掃除も洗濯も、すべてはその子の生きる力につながっていくのだから。
(阿部花恵+ノオト)

お話をお聞きした人

三谷宏治
三谷宏治
1964年生まれ。K.I.T(金沢工業大学)虎ノ門大学院主任教授(MBAプログラム)。早稲田大学ビジネススクール、グロービス経営大学院、女子栄養大学 客員教授。
1964年生まれ。K.I.T(金沢工業大学)虎ノ門大学院主任教授(MBAプログラム)。早稲田大学ビジネススクール、グロービス経営大学院、女子栄養大学 客員教授。