やせない原因は食事でも運動不足でもなかった! 太る脳スパイラル
この記事は「アリシー」から提供を受けて掲載しています

やせない原因は食事でも運動不足でもなかった! 太る脳スパイラル

食べるタイミングが大事!
きつい食事制限、運動、サプリメント……。どんなダイエットをしても全然やせない。やせてもすぐリバウンドしてしまう。そんな悪いスパイラルにハマっていませんか?

やせない原因は食事の量でも、運動不足でもなく、なんと「脳」が原因かもしれないんです! そこで、ご自身もダイエット経験のある精神科医の奥田弘美先生に、リバウンドしない方法について伺いました。
<奥田弘美(おくだ・ひろみ)さんのプロフィール>
精神科医・産業医。都内クリニックでの臨床および都内16カ所の企業の産業医として、老若男女の心身のストレスケアに携わる。また、作家活動も精力的に行っており、ストレスケアやマインドフルネス、コーチング、ダイエットなどをテーマにした著作は20冊以上。近著は『心に折り合いをつけてうまいことやる習慣」(すばる舎)など。

■意識を変えれば、食事の量は減らせる!

——ダイエットに失敗する原因が、脳にあるというのは本当ですか?

「ダイエットの成功・失敗に大きく影響を与えるのは、無意識に身に付けてしまった食の考え方や行動パターンだと思っています。その考えや行動をコントロールしているのは脳なので、“太る思考パターンや行動を意識していない脳のまま”だとダイエットに失敗するということになります。

もっとも太る思考・行動習慣だと言えるのが、空腹ではないのに食事をすること。

自分の体が求めている以上に余分なエネルギーを摂取してしまうと、脂肪として蓄積していく仕組みになっているんです。なので、『体は今、本当に食べ物を求めているのかな?』と見極めて食べないと、どんどん太ってしまいます」

——なんと、シンプルな考え方なのですね!

「そうなんです。空腹じゃないのに食べてしまう人は、食事を『1日に朝昼晩、きちんと時間どおりに食べないといけない』とか『食べ物を勧められたら断ってはいけない』などというすりこみが影響していることもあります。

私自身も若いころはダイエットを繰り返していたこともあり、太らない人の行動や食事パターンを医師になってからも常にじっくり観察してきました。その結果、『お腹がしっかり空かない限り食べない』。これが共通する太らない人の習慣なんだと気づきました」
「ただし空腹は長時間ガマンしすぎると、一時的に空腹感が麻痺して鈍くなっていきます。例えば夜遅くまで残業をしている時などがそうです。その結果、体が飢餓モードに入るため、次に食事を食べるときに食欲が過剰にアップして、ドカ食いにつながりやすくなります。お腹がスッキリ空いたら、1時間以内には体に食べ物を入れてあげてください。

そのとき大切なのが『腹八分目か七分目までで箸を置く』ということ。『お腹がパンパンになるまでに食べる』『残さずに食べる』という思考もダイエットにはNGです。実は血糖値の上昇にはタイムラグがあるため、食卓で腹七~八分目で箸を置いても、1時間ほどたつと満腹になっています。太らない人は、お腹パンパンまで食べずに、ほどよい満足を感じる腹7~8分目あたりで箸を置いている人が非常に多いのです」
「『作った人に悪いから』『もったいないから』と思って、毎食、本来の満足ラインを越えて食事をしていると、どうしてもエネルギーが余りやすくなります。

食べすぎだと感じる人は、いつもより3分前に食事をストップすることを心がけてください。あと小鉢1品くらい食べられるかな?というところです。

肝臓にあるグリコーゲンタンクという糖質を蓄えておくタンクが、8時間おきぐらいにタンクのストック分が底をつくので、バランスの良い食事を腹七~八分目ぐらいに食べておくと、朝昼晩のタイミングで自然とお腹がスッキリ空きやすくなります。なので、夜ふかしをしなければ、夜遅くに空腹を感じることもなくなりますよ」

■「禁止」と思うほど食べたくなる!

——お腹が空いたら、甘い物も食べて大丈夫ですか?

「どんなダイエットでも、間食やスイーツをある程度制限しなければ成功しません。ただ、人は『○○してはダメ』と禁止されると、執着心が増して、余計にそれが欲しくなる心理を持っています。

また、ダイエットを決意すると、人は一種のストレス状態に入っているので、ストレスがたまるほど、甘い物で手っ取り早く血糖値を上げて脳の疲れを解消しようという欲求が生まれがちです。

無理に制限するのではなく、甘い物を欲しくて仕方がなくなった時は、ときどき朝食の炭水化物であるパンやご飯と置き換えて食べると良いですね。朝に食べると、エネルギー源となって日中に消費されますので、脂肪になって蓄えられにくくなります。ただしケーキを何個でも食べて良いというわけではなく、普段食べているパンやご飯のカロリーと大体同じ量で置き換えてくださいね」

——甘いものがOKだと、ダイエットのストレスも緩和されますね。

「ただし、『甘いスイーツ×甘い飲み物』という糖質の重ね食べは避けてください。糖質は大量に摂ると、舌が甘いものに慣れてしまって、味覚がマヒします。

なので、ストレスがたまって食欲が増えても、甘いものだけで解消しようとせずに、たんぱく質やビタミンが摂れる食品を多めに食べるように意識してください。特にたんぱく質は、お腹が空きにくくなる効果もあります」

■「ながら食べ」はダメ! 五感を使って食べよう

——食べ方で、ほかに気をつけるポイントはありますか?

「テレビやスマホを見ながら……ではなく、ゆっくりと味わって食べることです。できるだけしっかりと香りを嗅ぎ、食べ物の色や形を眺め、ゆっくりと口に中に入れてじっくりと噛みながら、舌や口腔に感じる感触や、味、歯ごたえ、咀嚼する音などを楽しみましょう。

この視覚・嗅覚・触覚・味覚・聴覚といった五感を徹底的にじっくり感じながら食べる方法は、マインドフルネス瞑想の1つである “マインドフルネスイーティング”に近い食べ方といえますので、メンタルを安定させる効果も期待できます。

これを行うと、同じ量の食べ物でも、何倍も楽しみながら食べることができます。また、しっかり噛むことで一口も長くなり、脳の満腹中枢も刺激されて、満足度が上がります。すると、自然に食べる量を減らすことができるのです。

食べることに集中していると、ストレスになる嫌なことから離れる時間も作れるので、イライラも収まって気持ちも落ち着きやすいですよ」
——友達同士など複数で食べる時はどうしたらいいのでしょうか?

「まずは友達に合わせるのではなく、自分の胃袋と対話して、食べる量や種類を決めてください。注意すべきことは、すでに満腹なのに、友達がケーキを食べたいからと、“つきあい食べ”をしてしまうこと。その場合は、『満腹だから、コーヒーだけで』などと断るようにしてください。

飲み会でも、“ダラダラ食べ”に気をつけること。人は、目の前に食ベものがあると、満腹になったあとでもついついつまみがちです。なので、『食べるのは○時まで』などと食事をする時間を決める、自分が本当に食べたいものを腹七~八分目だけ食べるなど、自分なりのルールを作っておくといいと思います」

■軽い運動や睡眠でストレスを軽減させて

——睡眠不足も“太る脳”になりがちとも聞いたのですが……。

「そうです。睡眠不足は体にとってストレスになるので、食欲がわくホルモンが放出されます。しかも、クッキーやスナック菓子、ラーメンなどのジャンクフードが欲しくなるというデータもあるんですよ。

ダイエット中は、睡眠を7時間以上確保するとベストです。睡眠をたっぷり取ると、体の代謝がよくなり、老廃物を排出しやすくなります。また、ぐっすり眠ることで成長ホルモンがしっかり分泌されて、脂肪燃焼が活発化するんです」

——最後にアリシー読者にメッセージをください。

「大人になると、太る大きな原因の1つにストレスがあげられます。ストレスがかかると苦しさを紛らわすために、“食べる”という手軽に快感を得られる行為に走ってしまいがちになります。

しかし太らない人は、もともと『お腹が空かないと食べない』という習慣がしっかり身についているため、ストレスは食べること以外のことで発散をしようとします。例えば入浴やマッサージ、エステなどをじっくり楽しんだり、ショッピングや映画館やライブに行ったり、好きな本や動画を楽しんだり。彼らのように食べること以外の楽しみをどんどん見つけましょう。そうするとアクティブになり、食べることへの執着もなくなりますよ」
食べるタイミングや無意識に身につけてしまった食習慣を見直すことも大切! と同時に、食以外のストレス解消方法を見つけると、“太る脳”から食事へ執着しない“やせる脳”に変えられ、太りにくい体になれるかもしれませんね。

(宮平なつき+アリシー編集部)
なつき
なつき
フリーライター。美容、健康、ダイエット、料理、恋愛、結婚、子育て、教育、インテリアなど、“女性のライフスタイル”にまつわる記事や、著名人のインタビュー記事を主に執筆。趣味は、スポーツ観戦と旅行。
フリーライター。美容、健康、ダイエット、料理、恋愛、結婚、子育て、教育、インテリアなど、“女性のライフスタイル”にまつわる記事や、著名人のインタビュー記事を主に執筆。趣味は、スポーツ観戦と旅行。
女性向けに情報を発信するWebメディア「アリシー」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。グルメやファッション、マンガ・エッセイなどアリシーの一部コンテンツは、姉妹サイト「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
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