お宮参りのしきたりはどこまで守る?

お宮参りのしきたりはどこまで守る?

第1回 祝う気持ち深める子どもの記念日
赤ちゃんが初めて神社に参拝するお宮参り。最近では旧来のしきたりにとらわれず、自由な形でお宮参りをするご家庭が増えています。

お祝いの気持ちを大切にしつつ、現代の暮らしにフィットするお宮参りの方法について、育児情報誌「miku(ミク)」編集長で、現代の子育て事情に詳しい、高祖常子さんに伺いました。

「お宮参りは、一般的に男の子は生後31日目、女の子は32日目と言われていますが、地域によって様々です。

昔は今よりもずっと赤ちゃんの命ははかなく、生後しばらくは赤ちゃんを古布でくるんだり、お古の着物を着せて悪霊の目に付かないようにする風習がありました。そんな赤ちゃんが自分の力で生きていく気配を見せるのが、生後1カ月ほどたった頃。そこで初めて祝い着を着せて土地の神社にお参りし、祝福を受けたというのが、お宮参りの由来です」(高祖さん 以下同)

生後1カ月といえば、現代では赤ちゃんが外出できるようになる目安。産院から戻って、お宮参りが初めてのお出かけになるという赤ちゃんも多いはず。

「できるだけ赤ちゃんとママの体調の良い、穏やかな天気の日に行うといいでしょう。真夏や寒い雪の日にあえて行わず、ずらして行っても大丈夫です。特にタブーとされる日はありませんが、同行する祖父母が、大安、先勝、仏滅など、六曜にこだわる場合もありますから、祖父母にも相談しておくといいですね」

お宮参り

なるほど、しきたりよりも、赤ちゃんとママの体調を優先したほうが、安心してお出かけできますよね。では、お参りする神社は、どのように選べばよいのでしょうか?

「地域の守り神である産土神(うぶすながみ)に誕生を報告し、赤ちゃんの成長をお参りするという行事ですから、自宅近くの神社にお参りしましょう。遠くの神社にお参りしたい場合は、赤ちゃんやママの負担にならないように、体調や交通機関なども確認しておきましょう」

お宮参りで有名な神社に、遠くてもお参りしたいというご家庭も多いかもしれません。神社では、どのようなことを行うのでしょうか?

「神主さんのお祓(はら)いを受けて祝詞(のりと)をあげてもらうのが一般的です。神社にお参りしてお賽銭(さいせん)を上げるだけでもかまいません。祝詞をあげてもらう場合は、事前に連絡しておきましょう。神社によって、時間が決まっていたり、予約が必要なところがあります。料金を提示している場合もあるので、確認しておくといいでしょう」

お宮参りの服装で気をつけることはありますか?

「赤ちゃんには、『一つ身』と呼ばれる背縫いのない着物を掛けるのが伝統的な装いです。最近は、ベビードレスなどでお参りする人も増えています。付き添う大人の服装も、パパはスーツ、ママはワンピースというケースが多くなっています。ママは授乳用のワンピースなどもおすすめです。正装なら特にこだわらなくても大丈夫です。また、衣装をレンタルするケースも増えています。記念撮影する場合は、写真スタジオで赤ちゃんの祝い着やベビードレス、親の衣装も一緒にレンタルできることもあります」

お宮参りのあとは、自宅に帰って着替え、ケータリングなどを利用して、祖父母を交えて会食するのがおすすめだとか。

出産後、体調の戻りきっていないママや生後1カ月の赤ちゃんに負担のかからないプランで、心に残る記念日を過ごしましょう。
(文・やまもとさくら+クレッシェント)

お話をお聞きした人

文/高祖常子
文/高祖常子
育児情報誌「miku」編集長。
NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事、認定子育てアドバイザーほか。叩かない子育て講座、子ども虐待防止や、家族の笑顔を増やすための講演活動も行う。3児の母。
NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事、認定子育てアドバイザーほか。叩かない子育て講座、子ども虐待防止や、家族の笑顔を増やすための講演活動も行う。3児の母。