そこで、どこまでの行動・発言が“モンスター”にあたるのか、実際に起こった事例をもとに、学校問題に詳しい全国webカウンセリング協議会理事長・安川雅史さんが判定する。
例1.幼稚園で自分の子どもと仲の悪い子がいる。うちの子は幼稚園に行きたくないと言っているから、その子とクラスを変えてほしい。
安川さんの判定は…○
「クラスメイトとどういうトラブルが起き、子どもにどういう問題が起きているのかを、具体的に幼稚園側に示すことが大事です。たとえば、上記のように『幼稚園に行きたくない』と言っているとか、精神的に参っている、夜眠れなくなっているなど…。
『親バカかもしれないけれど、子どもを楽しく園に通わせたいのです。次年度のクラス替えの時期に考慮していただけますと助かります』と伝えれば、あえて幼稚園側も同じクラスにすることはないでしょう」(安川さん 以下同)
例2.うちの子は洋式でないとトイレができない。『和式は入りたくない』と言って我慢していると、複数の親とともに、小学校のトイレを洋式に変えるよう要請した。
安川さんの判定は…○
「2012年度に福島県の小学校であった事例です。結果、学校のトイレをすべて洋式に変えました。これは、時代背景もあります。現在ほとんどの家庭で洋式トイレが使われていますし、和式トイレが原因で排泄を我慢するのは健康衛生上よくありません。
各学校側の予算の都合もあり、叶うかどうかはわかりませんが、トイレへ行きやすい環境を整えてもらうよう学校に要請することはかまわないと思います」
例3.スクール水着が一部の大人の性欲をかきたてるとの理由で、「スクール水着を廃止するか、水泳の授業をなくせ」とのクレームを小学校へ入れた。
安川さんの判定は…△
「これは言い方に問題があります。『私個人の意見ですが、娘を持つ親として不安です。大切な我が子を守りたいので、一度学校で協議をしていただけませんか?』と伝えるのが筋。『水泳の授業をなくせ』と相手に強制するのは、モンスターペアレントそのものです」
例4.「先生から『ブサイク』と言われた」と、子どもが言っていると、親が保育園に怒鳴りこんできた。保育士はそのようなことは一切言っていなかったが、「うちの子は絶対にウソをつかない」とゆずらなかった。
安川さんの判定は…×
「子どもの話をうのみにせず、冷静に判断しましょう。子どもは自分の都合がいいように、話を折り曲げて親に話すことがあります。
子どもから聞いた話の内容は、その日のうちに紙にまとめ、数日に分けて話を聞き直しましょう。ウソや作り話の場合は、必ずぶれてきます。真実をしっかり見抜くことが大事です」
子どものことが心配で学校に相談を持ちかけたり、疑問に思うことを学校側に伝えるのはモンスターペアレントの範疇には入らない。その言い方や態度ひとつなのだ。
(文・江川知里+クレッシェント)