赤ちゃんとの新しい生活に順応しながら、体を回復させていくには、どうすればいいのでしょうか?
産後ヘルスケアプログラムの開発・普及に取り組むNPO法人マドレボニータ代表の吉岡マコさんに伺います。
●女性の心身は出産で劇的に変化
出産では、赤ちゃんのあとに、胎盤が子宮から剥がれて排出されます。出産後の子宮や産道は傷ついており、出血が1カ月ほど続きます。骨盤や股関節がゆるんでうまく歩けなかったり、尿モレや乳房のトラブルが起きることも。
「この時期はゆっくり休んで体を回復させるのが第一です。しかし、出産で気持ちが高揚して、体内の傷や痛みを自覚できないまま無理をしてしまう人も。その時は元気なつもりでも、あとになって心身のトラブルにつながる場合があるので、まずはしっかり休養しましょう」(吉岡さん 以下同)
産後の興奮が落ち着くと、体の違和感や痛みに耐えながらの慣れない育児に睡眠不足、社会と切り離されたような孤独感、それらの苦しみを夫に理解してもらえない寂しさなどで、精神的に煮詰まりやすくなります。
「赤ちゃんがいて大変だからと、家にこもりがちになる人も多いでしょう。しかし、動かないでいると、かえって疲労がたまりますし、精神的にも鬱々としてきます。産後1カ月が過ぎて特に体調に問題がなければ、積極的に外に出て人に会ったり、運動をして筋力や持久力をつけることをおすすめします」
●マドレボニータの産後ケアプログラム
産後ケアの重要性を提唱するNPO法人マドレボニータでは、「産後のボディケア&フィットネス教室」でエクササイズやセルフケアのプログラムを提供しています。
「これは、出産で低下した体力の回復を促し、子育てに必要な力をつける4週間のプログラムです。産後の骨盤に負担のかかりにくいバランスボールエクササイズを中心に、体がすっきり軽くなるエクササイズや、シェアリングという身近な人とのコミュニケーションが円滑になるワークなどを行っています。教室は全国で開催しています。赤ちゃんを連れて外出するきっかけとしても最適ですので、ぜひ活用してください」
近くにマドレボニータの教室がない場合には、子育て支援施設や一時保育サービスなど、地域に子育てのサポーターを探してみましょう。
「子育てをひとりで抱え込まず、自分の時間を意識的に作ることが大切」と吉岡さんはいいます。
心と体が快適なら、母となった人生を楽しく豊かに過ごすことができそうです。みなさんも産後ケアに取り組んでみませんか?
(文・やまもとさくら+クレッシェント)