天日干しだけじゃダメ!? 知っておきたいダニ退治の方法とは

第1回 どう対策したらいい? 梅雨時期に行いたいダニ対策
目には見えなくとも、どの家にも確実に生息しているダニ。体へ悪影響もあるとされるため、乳幼児がいる家庭では特に気になってしまうことだろう。普段何気なくおこなっている天日干しや布団乾燥機などは、ダニ対策として本当に効果があるのだろうか。アース製薬の虫ケア用品ブランドマネージャー、渡辺優一さんに聞いた。

天日干しだけじゃダメ!? 知っておきたいダニ退治の方法とは

ダニが多く発生する場所を再確認

布団やベッドなど、ダニのいる場所を漠然と知ったつもりになっているが、実際には家のなかのどこに多いのだろう。

「ダニは、人のフケや垢、汗を餌にして成長します。ですから、人が接触するベッドや布団などの布製品やお子さんが持つぬいぐるみに多く生息しています。最近ではフローリングのご家庭で利用しているカーペットやソファも該当します」(渡辺さん 以下同)

ダニは高温多湿を好む傾向にあり、気温が25度以上で湿度が60%以上の環境だと繁殖しやすい。だとすると、洗面所や浴室も該当するのだろうか。

「浴室の場合、常に人がいるわけではないですよね。それに、水が流れている場所ではフケや埃などがたまりにくいため、ダニが繁殖しにくいんです。それよりも、洗面所のマットのような布製品でジメジメしている場所に発生しやすい傾向があります」

実は効果がないダニ対策とは

ダニの多く発生する場所を把握したところで、次に押さえておきたいのが実際のダニ対策について。真っ先に思い浮かべるのは、天日干し。天気のいい日に陽の光をたっぷり当てるだけでダニが退治できているように感じてしまう。

「温度が50度を超えるとダニは弱ってくるので、熱を加えること自体は間違いではありません。しかし、天日干しだけではダニ退治としては不十分です」

渡辺さんいわく、布団を干すと表面の温度は非常に高くなるものの、布団の裏側やベランダの内側にかかっている半分は日が当たらず、あまり温度が上がっていない。天日干しで布団の表面の温度を上げても、ダニは居心地のいい裏側などに移動するだけなので、ダニの数は劇的には減らないとのこと。ただ、干すことで布団にこもった湿気を取ることはできるので、全く意味がないわけではないという。

同様に熱を加えるという意味では、布団乾燥機やドライヤーも使えそうだが…。

「布団乾燥機はいいと思います。機種にもよりますが、1~2週間に1度くらいの頻度でおこなうといいでしょう。ドライヤーも熱を加えるという意味では悪くありませんが、面積の広い布団やカーペットなどに使用すると考えると、効率はあまりよくないですね」

熱を加えると、ダニを減らすことはできる。しかし、ここで気をつけたいのが、退治と対策の違い。布団乾燥機やドライヤーで退治はできても根本的なダニ対策にはなっていないと渡辺さんは続ける。

「布団乾燥機やドライヤーを使用すれば、その時点で布団やカーペットなどにいるダニは死にます。ただ、ダニを増やさないための対策としては不十分です」

根本的なダニ対策には、予防効果のある駆除剤などの使用を推奨しているそう。最近ではスプレータイプの薬剤も販売されており、ソファやカーペット、布団などに使用すれば、ダニを増やさない効果が1カ月ほど持続する。

また、物理的にダニを吸い込めるとして、掃除機を活用している家庭も多いのではないだろうか。

「掃除機はダニを吸い込んでくれるので、有効です。ただ、かけ方が重要。普段掃除機をかけるときのようにサッとかけた場合、ダニの死骸は吸い込めますが、生きているダニは布の繊維につかまるので、吸いきれません。ゆっくり何回も往復してかけることがポイントです」

「なぜ効果があるのか」を知らないまま、やみくもにダニ対策をしていても、ダニは減らせない。正しい知識を身につけて、来たる梅雨を乗り切りたい。
(取材・文:畑菜穂子 編集:ノオト)

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