そのままでおいしいものに、かるく煙をまぶすだけ
「燻製は食品の保存性を高めるための手段として発達してきたので、昔通りのレシピで作ると大変な手間がかかります。でも冷蔵庫の無い時代ならともかく、今どき保存目的で燻製を作る必要って、あまりないですよね? だから燻製は味や風味を楽しむものと割り切ってしまってよいと思うんです。もっと気軽に、煙の風味を調味料をかけるのと同じように食べ物につける、そんな感覚でいいんじゃないですかね」
燻製と聞けば、大げさなものをイメージしてしまいますが、岡野さんの提唱する燻製は簡単お手軽をモットーとしたもの。初心者は仕込みも最小限で済むよう、そのまま食べてもおいしいもの」に、煙をまぶすだけ。そんな感覚で始めるのがよいとのことです。
そこで特におすすめいただいたものを、ワンポイントアドバイスと合わせて紹介していきます。
ポテチの燻製!? 超簡単燻製向きの食材たち
【チーズの燻製】
「スモークチーズ」という商品があるくらい、定番で間違いのない味。「とろける」などと書かれたものに限らず、高温では溶けてしまうことに気をつけましょう。火のついたスモークウッドからはなるべく離して配置するのがベターです。
【ポテトチップの燻製】
「スモーク味」が製品化されていないのが不思議に思えるほどの、しっくりなじむ美味しさ。重なった部分には煙が回りにくいので、きれいに広げた方が短時間で満遍なく煙がつきます。ただそこは神経質にならず適当で問題ありません。
【ナッツの燻製】
網の目より小さく、そのままでは下に落ちてしまうナッツなどはアルミホイルで作った簡易的な皿に載せて燻します。やはり重ねず広げた方がベターで、皿に接触した側は煙がつかないので途中で1~2度かきまぜるとムラなく煙がつきます。
【その他。うずらの卵(水煮)、はんぺん、かまぼこなどの燻製】
これらの食べ物も、燻製にすれば高級感のある味に。ただし、煙は水分と反応するとえぐみや酸味となって食材についてしまいます。こうした水分のあるものは、キッチンペーパーなどで表面の水分をよく拭き取るひと手間が必要です。
上記、それぞれの準備をしたらあとは燻製器の中でスモークウッド(ダンボール燻製ではウッドチップよりおすすめ。ホームセンターなどで買えます)に火をつけて煙を出し、蓋を閉めてからおおよそ30分、燻すのみです。
いろいろな食材があっても燻製器に入る限り、まとめてやってしまって問題はありません。
もちろん、完成時間は人それぞれの「煙風味の強さに対する好み」が一番影響しますが
、自作した密封度が低いダンボール燻製器の目安なので、もっと「ちゃんとした」燻製器であればもっと短い時間で完成します。
開けるたびに煙が逃げてしまう分、完成までの時間が伸びるものの途中で蓋を開けては絶対にダメ、なんてこともありません。燻され加減を確かめたいなら好きな時に開けて見てしまえばいいとのことです。
ちなみに、パパ・ママ友家族と一緒にやってみたBBQでは、特にチーズとうずらの卵が子ども達に大人気。ビールのつまみにとあてにしていた大人たちを尻目に、あっという間に食べ尽くされてしまいました。
燻製を作っている間にも、バーベーキューコンロで普通に肉や野菜を焼いておけば良いわけで手持ち無沙汰になることもありません。台所のコンロで使う燻製器もありますが、なんやかやでそれなりに煙の匂いはしますからね。屋外のBBQ+ダンボール燻製という楽しみ方、これ本当におすすめです!(文・宇都宮雅之)