「一回に2種類以上のワクチンを接種する『同時接種』を行いましょう。ワクチンの効果や安全性は、複数一緒に接種しても変わりません」
こう教えてくれたのは、NPO法人「VPDを知って、子どもを守ろうの会」の理事長、薗部友良さん。特に、0歳の早い時期に受けるべきワクチンは、3~4回接種しないと確実な免疫ができない不活化ワクチンが多い。そのため、ワクチンを1種類ずつ接種していては時間がかかり、その間に病気にかかってしまう危険性があるというのだ。
ここで気になるのは、その組み合わせ。同時に接種していいものや悪いもの、さらには本数の制限はあるのだろうか?
「組み合わせと本数に制限はありません。予防接種のスタートダッシュともいえる生後2カ月の段階では、『B型肝炎』『ロタウイルス』『ヒブ』『小児用肺炎球菌』の4つの接種が望ましいですね。多くは3~4回受ける必要があります」
なお、ワクチンの種類によっては、決められた時期を過ぎると接種を受けられなくなるものもある。受けられる年齢(月齢)になったら、すぐに接種するのが肝心だ。
「医療機関によっては、同時接種に懸念を示し、1本ずつや2本までと本数に制限をしているところもあります。しかし、欧米では同時接種は当たり前。アメリカでは2カ月の時点で6種類ものワクチンを同時に受ける例もあります。同時接種によって健康被害が出たということはありませんので、安心してください」
ちなみに、ワクチンはそれぞれの接種部位が重ならないように、腕の場合、左右それぞれ1~2本の接種が一般的だ。最近の赤ちゃんへの接種では、世界標準の大腿部に行うケースも増えているという。というのも、接種場所が広くて痛みの少ない大腿部なら、赤ちゃんでも片方に2~3カ所くらいは接種できるからだ。
同時接種は子どもを病気から守るだけでなく、接種に付き添う親の負担を減らしてくれるのがメリット。かかりつけの小児科の医師と相談しつつ、効率のよい予防接種を意識してみては?
(南澤悠佳/ノオト)